絶食時ではない中性脂肪値上昇も危険性がある

中性脂肪値の増加を心配する方も多いと思います。しかし、必ずしも10時間以上の絶食を経ずに血液検査を受ける場合もあるでしょう。その場合の中性脂肪値が何の参考にもならないかと言うと、そうではありません。

非絶食時の中性脂肪値は非常に重要です。

詳しくはわかりませんが、家族性高カイロミクロン血症で中性脂肪値が2200mg/dL以上の異常高値を示す人はアテローム性動脈硬化症にほとんどならないのだそうです。カイロミクロンは大きすぎて動脈の中に入れないと考えられています。だからと言って、中性脂肪値が高いことは良いことではありません。通常の人では、中性脂肪値はVLDLに含まれる中性脂肪を測定しているからです。

以前の記事「カイロミクロンのレムナントは侮れないのかもしれない」「レムナントリポタンパク質は食後12時間経っても大量に残っている」で書いたように、カイロミクロンが悪いのではなく、カイロミクロンのレムナント、またVLDLのレムナントが悪さをすると考えられます。

アテローム性動脈硬化症ではカイロミクロンのレムナントおよびVLDLレムナントが多く存在しています。

糖質制限をして食事回数が少ない場合を除いて、通常の生活をしている場合は頻回に食事をするため、早朝起きた後食事をするまでの間の数時間が絶食状態であり、それ以外は非絶食状態です。絶食時ではない時間の方が圧倒的に長いのです。

だから絶食時ではないときの中性脂肪値は重要な意味を持っています。

女性7587人と男性6394人を対象に、平均26年間追跡調査を行った研究があります。非絶食時は食後1~8時間を意味しています。(図は原文より)

上の図は左が横軸が食後の時間、縦軸が中性脂肪とレムナントコレステロール値を示しています。日本の単位と違うのですが、中性脂肪値は1mmol/Lが約88.5mg/dLと考えてください。レムナントコレステロールは1mmol/Lが約38.6mg/dLです。右のグラフは脂肪摂取試験です。脂肪摂取後中性脂肪は4時間でピークを迎え、203.5mg/dLに達しています。一方、一般の人の通常食の中性脂肪値の4時間後のピークは61.8mg/dLと書かれていますが、もっと高いのではと考えます。

上の図は非絶食時の中性脂肪値とレムナントコレステロールの関係です。横軸は中性脂肪値で、縦軸はレムナントコレステロール値です。非常にきれいな右肩上がりの関係を示しています。つまり、非絶食時の中性脂肪値が高いほど、レムナントコレステロールも高いということです。

上の図は中性脂肪値の値で分類した、心筋梗塞、虚血性心疾患、総死亡の累積発生率です。左が女性、右が男性。上のグラフから心筋梗塞、虚血性心疾患、総死亡です。どれも中性脂肪値の増加に伴い増加しています。

上の図は心筋梗塞、虚血性心疾患、総死亡の危険率です。上のグラフが女性、下が男性で、女性の方が中性脂肪値に対する危険率の増加が大きいです。

つまり、絶食時ではなくても中性脂肪値が1mmol/L(88.5mg/dL)を超えることはレムナントコレステロールを増加させて、心筋梗塞や虚血性心疾患、総死亡の危険性を高める可能性があるのです。

絶食時ではなかったからという言い訳で、中性脂肪値が高いことを自分自身で納得させても意味はありません。

以前の記事「大量のコレステロールを摂るとどうなるか? その1」で書いたように、糖質制限をしている私は、脂質を60g一気に摂取したにもかかわらず、中性脂肪値は33から105までしか上昇せず、しかもピークは1時間後でした。4時間後にはすでに低下してきています。この中性脂肪値の上昇は単なるカイロミクロンの増加に伴ったものと考えられ、レムナントは非常に少ないでしょう。

しかし、非絶食時とは言え、食後5時間も6時間も後に測定した中性脂肪値が200や300を超えているとしたら、それは要注意かもしれません。

以前の記事「食後の中性脂肪スパイクとsdLDLの関連」で提唱した、食後のTGスパイクは小さな危険なsdLDLの増加にも関連しています。

「食後の中性脂肪値の上昇は関係ない」と侮ってはいけません。

「Nonfasting triglycerides and risk of myocardial infarction, ischemic heart disease, and death in men and women」

「非絶食トリグリセリドおよび男性および女性の心筋梗塞、虚血性心疾患、および死亡のリスク」(原文はここ

コメント

  1. ねけ より:

    いつもお世話になっております。

    糖質制限はスーパー以上に継続していますが、月に3回から週1ぐらいの頻度でしゃぶしゃぶなど鶏・豚中心に爆食いすることがあります^^;翌朝に体重が1kg前後増加するほどです。

    やっぱりTGスパイク的にもよろしくないですよね。。。

    普段特に食生活的に我慢しているつもりはないですが、やっぱりストレス発散的な自覚はあります。上手くコントロール出来ればいいんですけどね。

    • Dr.Shimizu より:

      ねけさん、コメントありがとうございます。

      体重1kgの変動など全く問題ありません。普通のことです。水でさえ1リットル飲めば1kg増加します。
      尿や便を出せばその分体重は減ります。
      糖質制限をしていると、もちろん一時的にはTGは増加しますが、上りも少なく、上がっている時間も短いと考えられます。
      TGスパイクは起きていないと思います。
      肉を爆食いするときに、糖質を同時に摂っていなければ全く問題ないと思います。