糖質制限と食後ウォーキングを組み合わせると…?

糖質制限をして、さらに食後の血糖値上昇を抑えるために食後のウォーキングなどを行っている人もいるでしょう。その効果はどれくらいあるのでしょうか?

以前の記事「食事の前の運動により血糖値低下効果はあるのか?」では食前の運動の血糖値に与える効果について少し考察しましたが、糖質制限+食後の運動については研究があります。血糖値は当然糖質制限で変動が少なくなりますが、それ以外の効果はどうでしょう。

今回の研究では2型糖尿病の人が対象です。コントロールの食事はPFCバランスで、25:20:55と低脂肪食で、炭水化物は主に低GIと高食物繊維のものです。糖質制限食では 25:65:10としています。各食事は500kcalですので、ちょっとエネルギー量が少なすぎです。糖質制限+食後運動群では食後30分以内に15分のウォーキングを行います。(図は原文より)

上の図はAが4日間の血糖値の変動を表しています。コントロール群では血糖値スパイクがバンバン出ています。糖質制限群と糖質制限+食後運動群では安定した血糖値変動です。右のグラフは血糖値のグラフの曲線下面積です。コントロール群と比較して糖質制限群では86%の減少、糖質制限+食後運動群では94%の減少です。糖質制限では運動の有無にかかわらず圧倒的な血糖値の減少を認めます。

上の図はFMDの食事を変更する前後での変化を見ています。上からコントロール群、糖質制限群、糖質制限+食後運動群です。FMDは血管内皮機能の検査、腕を圧迫し血管内皮細胞から生成されるNO(一酸化窒素)によって、開放後どれだけ動脈が拡がるかをみる検査です。糖質制限+食後運動群だけがFMDの有意な増加を認めました。糖質制限+食後運動群ではFMDの変化が有益/無視できる/有害である割合は、25/75/0%でした。 コントロール群と糖質制限群では変化はありませんでした。しかし、糖質制限動群ではFMDの変化が有益/無視できる/有害である割合は、11/88/1%であったのに対し、コントロール群では0/61/40%と有害である割合が非常に高くなりました。

上の図は食事の変更前後でのEMPsの違いを表しています。EMPsは血管内皮細胞由来微小粒子で、血管内皮細胞が傷害を受けたときに増加します。EMPsは糖質制限群で65%と有意な減少でした。そしてEMPsの変化が有益/無視できる/有害である割合は、95/4/1% とほとんどが有益な変化です。糖質制限+食後運動群とコントロール群では有意な変化はありませんでしたが、糖質制限+食後運動群でEMPsの変化が有益/無視できる/有害である割合は、17/42/41% だったのですが、コントロール群では6/26/68%でした。コントロール群で有害である割合が高いのは十分予想ができますが、糖質制限+食後運動群で41%も有害というのは意外な結果です。

低脂肪食のコントロール群は血管に良い影響はありません。糖質制限と食後のウォーキングを組み合わせると、血管内皮の機能が改善し、血管が拡張しやすくなります。糖質制限のみでも血管内皮の傷害が減少します。逆に言えば、食後高血糖が血管を傷つけている証拠でもあります。血糖値スパイクは酸化ストレスを増加させます。食後の血糖値スパイクの抑制は食後運動の有無にかかわらず起きているので、運動よりも食事が重要であることは確かです。

ただ、今回糖質制限+食後運動群でEMPsは減少していません。研究の日数が短く、長期に行えば違う結果が出る可能性もありますし、運動がもたらす別の要素があるのかもしれません。これについては私は明るくないのでわかりません。

糖質制限に食後の運動が必須かどうか?ということを考えるのであれば、どちらでも良いと思います。運動は重要ですが、血糖値コントロールや血管に対する利点は食事の方が重要なのだと思います。

糖質制限で高脂肪食の方が血管にやさしい食事です。

「Carbohydrate restriction with postmeal walking effectively mitigates postprandial hyperglycemia and improves endothelial function in type 2 diabetes」

「食後のウォーキングを伴った炭水化物制限は、食後の高血糖を効果的に緩和し、2型糖尿病における内皮機能を改善する」(原文はここ

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