PPI(プロトンポンプ阻害薬)はピロリ菌根絶後の胃がんのリスクを高める

先日の記事「糖尿病はピロリ菌根絶後の胃がんのリスクを高めるかもしれない」では、ピロリ菌を除菌した後も、糖尿病がある人では、胃がんのリスクが高くなることを書きました。つまり、ピロリ菌だけ考えてもダメだということです。恐らくは、ピロリ菌は小さなころに感染し、その後少しずつ胃に悪さをしていきます。そして大人になってあるときに胃の症状をもたらし、さらに胃がんに発展するのでしょう。もしかしたら子供のころに除菌すればその後の胃がんのリスクはかなり低下するのかもしれません。胃がんのもとになるものは、かなり早い段階で胃に存在し、糖尿病があると、それができてから除菌しても間に合わない可能性があるのです。

今回は糖尿病ではなく、PPI(プロトンポンプ阻害薬)との関係です。

以前の記事「PPI(プロトンポンプ阻害薬)は胃がんのリスクを高める」でも書いたように、PPIは胃がんのリスクを高くすると考えられています。しかも、ピロリ菌を除去した後の胃がんのリスクも増加させるようです。

ピロリ除菌は33%~47%で胃がん発症のリスクを軽減するといわれていますが、かなりの割合ではピロリ菌根絶後も胃がんに発展しています。

今回の研究によると、ピロリ菌除去療法を受けた人で、PPIを少なくとも週に1回以上使用していた人の胃がんのリスクは、PPIを使用していない人と比較して2.44倍も高くなっていました。さらにがんの部位別では非噴門部で2.59倍もリスクが増加していました。(表は原文より改変)

PPIの頻度用量反応関係
HR(リスク)95%CIp値
非使用(毎週未満)1
毎週~毎日未満2.431.37から4.310.002
毎日使用4.551.12から18.520.034
PPIの頻度1年以上使用2年以上使用3年以上使用
HRHRHR
非使用(毎週未満)111
毎週~毎日未満1.810.980.58
毎日使用5.046.658.34

上の表で示すように、PPIの使用頻度、期間とともにリスクが増加しました。毎日使用している人では非使用者と比較すると4.5倍以上リスクが高くなっています。毎日使用者で1年以上使用していると5倍、2年以上で6.65倍、3年以上になるとなんと8.34倍にもリスクが増加していしまいます。

PPIを長期に飲んでいる人は逆流性食道炎があるのかもしれません。逆流性食道炎は糖質過剰摂取が原因である可能性が高いです。ピロリ菌を除菌し、PPIが長期に必要であれば、ピロリ菌以外の原因も十分に考えなければなりません。PPIそのものもリスクを増加させますし、PPIが必要な状況、つまり糖質過剰摂取もリスクを増加させます。

また、PPIは胃の酸性度を低下させ、ピロリ菌以外の細菌が増殖してしまう可能性も高くなります。

ピロリ菌陽性+糖質過剰摂取+PPI使用の方は十分に注意が必要です。若くても毎年胃カメラ検査を受けましょう。そして、糖質制限とPPI中止をできる限り行うべきだと思います。

「Long-term proton pump inhibitors and risk of gastric cancer development after treatment for Helicobacter pylori: a population-based study」

「ピロリ菌治療後の長期プロトンポンプ阻害薬と胃がん発症のリスク:集団ベースの研究」(原文はここ