2型糖尿病に対する糖質制限の長期的効果 3.5年のエビデンス

以前の記事「2型糖尿病に対する糖質制限の長期的効果 2年間でも圧倒的! その1」「その2」では、糖質制限の2年という長期的な効果を示した研究について書きました。今回の研究はその続きで、3.5年の長期的効果のエビデンスを示しています。

前回よりも参加者が少し減りましたので、ベースラインの平均値は異なっていますが、通常の治療では達成できない結果となっています。

3.5年間のデータはベースラインで平均年齢55歳、平均BMI40.8で、糖尿病診断から平均8年の人です。日本人とは別次元の肥満を対象としています。

HbA1cの減少:2年間 7.7%から0.9%減少、3.5年間 7.4%から0.6%減少

体重減少:2年間 114.56kgから11.9kg減、3.5年間 117.4kgから10.9kg減

中性脂肪:2年間 197.2mg/dLから43.9減、3.5年間 189mg/dLから41減

HDLコレステロール:2年間 41.8mg/dLから7.8増、3.5年間 43から9増

nonHDLコレステロール:3.5年間 139mg/dLから10減

総コレステロール:2年間、3.5年間とも統計的に有意な変化なし

LDLコレステロール:2年間 103.5mg/dLから11.1増、3.5年間 有意な変化なし

糖尿病薬を処方された参加者の割合は、84.6%から67.1%に減少し、糖尿病薬の50.2%およびメトホルミン以外の糖尿病薬の71.4%が中止されました。薬による治療を行わなない、または単剤治療の参加者の割合は、52.5%から81.9%に増加しました。

さらに、参加者の45.5%(65/143)は、3.5年で薬物療法なし(34/65、52%)またはメトホルミンのみ(31/65、48%)でHbA1c6.5%未満を達成しました。つまり3.5年後には半数近くが糖尿病を逆転していました。2年間では糖尿病の逆転が53.5%でした。ただ、参加者の37.8%が1年間から3.5年間の治療でこの状態を維持していました。3分の1以上はずっと糖尿病を逆転していたのです。

さらにさらに、参加者の22%が3.5年で糖尿病の寛解を達成し、参加者の17.5%が2〜3.5年の治療で寛解状態を維持しました。(完全寛解か部分寛解かは書かれていませんが。部分寛解は投薬なしで少なくとも1年間の糖尿病以下の高血糖症、5.7〜6.5%のHbA1c(2回のHbA1c測定)、完全寛解は投薬なしで少なくとも1年間の正常血糖、5.7%未満のHbA1cとしています。)2年間では部分と完全を合わせた寛解は17.6%なので、さらに寛解率が増加したことになります。

通常の治療では、まず逆転や寛解は得られません。早く糖質制限を始めれば逆転も完全寛解も達成できる確率が上がると思います。

この研究は5年間追跡するそうなので、あと1.5年後にまた新たなエビデンスが出てきます。

糖尿病の人が糖質制限をやらない理由は何でしょうか?

糖質過剰症候群

 

「A Continuous Remote Care Intervention Utilizing Carbohydrate Restriction Including Nutritional Ketosis Improves Markers of Metabolic Risk and Reduces Diabetes Medication Use in Patients With Type 2 Diabetes Over 3.5 Years」

「栄養ケトーシスを含む炭水化物制限を利用した継続的なリモートケア介入により、3.5年以上2型糖尿病患者の代謝リスクのマーカーが改善され、糖尿病薬の使用が減少する」(原文はここ

2 thoughts on “2型糖尿病に対する糖質制限の長期的効果 3.5年のエビデンス

  1. 主治医に叱られる、もしくは見放される恐怖からでしょうかね。
    糖尿病でも糖質制限拒否の方々。

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