新型コロナウイルスワクチン接種後、7人の死亡例が確認されており、そのうち5人が出血性脳卒中で、そのうち4名は脳出血です。厚労省の報告では、
一般人口の出血性脳卒中の発生率は1日100万人当たり0.97人であり、ワクチン接種後では観察期間を30日としたら0.12件で、観察期間を9日としたら0.41件であり、いずれも一般人口で通常に起こりうる発生率よりも低いから、問題がないかのように言っています。
しかし、ワクチン接種後の脳出血が自然発生だというのであれば、60代~70代の女性で脳血管疾患は死因の第3位であり、しかも脳血管疾患のうち脳梗塞が脳出血の2倍です。死因の第2位は心疾患です。いくら自然発生率よりも低いとは言え、脳出血よりももっと多い発生率である脳梗塞や心疾患で亡くなった人がほとんどいない状況(一人男性が急性心不全です)で考えれば、因果関係ありと考えるのが普通でしょう。少なくとも一度中断してちゃんと精査しなければならないと思います。こんなに同じ死因で亡くなるのはあまりにも不自然です。しかも脳出血で亡くなったのは全員女性です。
また、亡くなってはいなくても、脳出血を起こした方は他にいないのでしょうか?報告を見てみると、気になるものもいくつかあります。4月4日までのデータです。329番の58歳の男性、1138番の43歳女性(この方はもやもや病の記載もあり、これが基礎にあったことが原因かもしれません。)、1479番の53歳男性、脳出血を起こしています。1386番の53歳女性はくも膜下出血です。1497番の31歳男性は大脳静脈洞血栓症を起こしています。428番の27歳の男性は心筋炎と急性冠症候群です。もやもや病の女性を除いても、少なくとも死亡までには至らない3名の出血性脳卒中が生きています。自然発生でしょうか?
厚労省はちゃんと調べて説明する義務があります。
ところで、脳出血はコレステロール値と関係していると言われています。(表は原文より改変)
(Lower) | (Higher) | |||||
---|---|---|---|---|---|---|
LDLコレステロール mg/dL | <80 | 80–99 | 100–119 | 120–139 | ≥140 | |
Multivariable HR | 1.0 | 0.65 (0.44–0.96) | 0.48 (0.32–0.71) | 0.50 (0.33–0.75) | 0.45 (0.30–0.69) | |
総コレステロール mg/dL | <160 | 160–179 | 180–199 | 200–219 | 220–239 | ≥240 |
Multivariable HR | 1.0 | 0.97 (0.65–1.46) | 0.63 (0.42–0.96) | 0.62 (0.40–0.95) | 0.59 (0.37–0.95) | 0.55 (0.33–0.91) |
非HDLコレステロール mg/dL | <100 | 100–120 | 120–139 | 140–159 | 160–179 | ≥180 |
Multivariable HR | 1.0 | 0.56 (0.36–0.86) | 0.51 (0.34–0.77) | 0.43 (0.28–0.66) | 0.33 (0.20–0.54) | 0.42 (0.26–0.68) |
上の表はLDLコレステロール、総コレステロール、非HDLコレステロールと脳出血での死亡リスクです。LDLコレステロールが80未満の人と比較すると、140以上の人では死亡リスクが半分以下です。他の総コレステロール、非HDLコレステロールについても同様です。実際には80未満の人をもっと細かく分けると60未満の場合が最も脳出血の死亡リスクが高いようです。
LDLコレステロール | |||||
---|---|---|---|---|---|
<80 | 80–99 | 100–119 | 120–139 | ≥140 | |
全原因死亡 | |||||
Multivariable HR | 1.0 | 0.81 (0.74–0.87) | 0.72 (0.66–0.78) | 0.67 (0.62–0.73) | 0.66 (0.61–0.72) |
総心血管疾患 | |||||
Multivariable HR | 1.0 | 0.80 (0.68–0.94) | 0.76 (0.65–0.89) | 0.72 (0.62–0.85) | 0.82 (0.70–0.96) |
総脳卒中 | |||||
Multivariable HR | 1.0 | 0.73 (0.59–0.91) | 0.67 (0.54–0.83) | 0.65 (0.52–0.81) | 0.67 (0.54–0.84) |
出血性脳卒中 | |||||
Multivariable HR | 1.0 | 0.70 (0.51–0.95) | 0.56 (0.41–0.77) | 0.54 (0.39–0.75) | 0.51 (0.37–0.71) |
くも膜下出血 | |||||
Multivariable HR | 1.0 | 0.79 (0.47–1.33) | 0.73 (0.44–1.20) | 0.64 (0.38–1.08) | 0.62 (0.37–1.05) |
脳出血 | |||||
Multivariable HR | 1.0 | 0.65 (0.44–0.96) | 0.48 (0.32–0.71) | 0.50 (0.33–0.75) | 0.45 (0.30–0.69) |
脳梗塞 | |||||
Multivariable HR | 1.0 | 0.75 (0.55–1.02) | 0.77 (0.58–1.04) | 0.75 (0.55–1.02) | 0.85 (0.62–1.15) |
冠動脈疾患 | |||||
Multivariable HR | 1.0 | 1.14 (0.81–1.62) | 1.19 (0.85–1.67) | 1.11 (0.78–1.57) | 1.50 (1.07–2.10) |
脳出血および冠動脈疾患 | |||||
Multivariable HR | 1.0 | 0.90 (0.70–1.17) | 0.84 (0.65–1.08) | 0.81 (0.62–1.05) | 0.97 (0.75–1.26) |
上の表は様々な心血管疾患の死亡リスクです。全原因死亡でさえLDLが高い方が死亡リスクが低いです。脳梗塞やくも膜下出血ではLDLコレステロールとの関連は認めません。一方冠動脈疾患だけはLDLコレステロール140以上でリスクが高くなっています。
以前の記事「LDLコレステロールを低下させることの有益性の証拠はない!」で書いたように、スタチンでLDLコレステロールを低下させる利点はほとんどありません。さらに「急性心筋梗塞や急性心不全ではLDLコレステロール値が高い方が死亡率が低い」で書いたように、急性の心疾患ではLDLが高い方が死亡率が低くなっているという報告もあります。
LDLコレステロールを評価する場合、これまでの全ての研究は糖質過剰摂取の中だけで行われてきています。もちろん、糖質制限をした場合のLDLもどれくらいが適切かはわかりません。しかし、糖質過剰摂取状態でさえLDLコレステロールが高い方が死亡率が低下し、脳出血も低下しています。脳出血というと高血圧との関係ばかりに目が行きますが、低LDLコレステロールも大きなリスク因子です。
なぜLDLコレステロールが低いと脳出血が起きやすいかはわかっていません。コレステロールは細胞膜を形成する重要な成分であることと関係しているかもしれません。また、LDLは恐らく様々な役割があり、凝固系にも関係があるのかもしれません。
LDLコレステロールが低くて喜んでいるのは間違いでしょう。スタチンも使わずにLDLコレステロールがかなり低い場合は注意が必要かもしれません。
今回の新型コロナウイルスワクチンの脳出血で亡くなった方のLDLはどうだったのかは公表されないのでわかりません。しかし、今後ワクチンを接種する方でLDLコレステロールがかなり低値であればワクチン接種を回避した方が良いかもしれません。
「Low-density lipoprotein cholesterol concentrations and death due to intraparenchymal hemorrhage: the Ibaraki Prefectural Health Study」
「LDLコレステロール濃度と脳実質内出血による死亡:茨城県健康調査」(原文はここ)
外国に比して、日本では同じ病気?と思うほど死者数がすくないコロナウィルス感染症。
(マンボウやら緊急事態やら喧伝も、一日の感染者数1,000人単位なのに死者数数名という意
味不明な状況)
ワクチン副反応よりワクチン接種の利益が大きいとのことですが、日本でもそれがあてはまるのか疑問ですし、個人的にはワクチンのほうが(社会的に差別を受けかねないことを除けば)
感染よりも恐怖です。
鈴木 武彦さん、コメントありがとうございます。
今のところ日本はワクチンの利益は少ないですね。ただコロナ脳に対する心理的効果はあるかもしれませんね。
>通常に起こりうる発生率よりも低いから、問題がないかのように言っています。
一般群は総人口が母集団ですが、ワクチン接種群は当然ワクチンを接種した人が母集団です。
高齢者にワクチン接種が進んでいない現状では、母集団の年齢構成が違いすぎて比較できません。
このデータを違う角度から見れば、「新型コロナウイルスワクチンは出血性脳卒中に効く」いう事になってしまいます。
しかし、そんなことはあり得ないと思うので、ワクチンの影響がないと言う事であれば、発生率はほぼ同じでないとおかしいです。
全く違う母集団を比べて発生率が少ないから安全だと結論付けるのは全くナンセンスです。
以上のように私は考えますが如何でしょう。
西村 典彦さん、コメントありがとうございます。
実際には問題ないとは言っていませんが、訳のわからない数字でごまかそうとしています。
脳出血ばかりがこれほど起きているのは調べるべきです。
今後高齢者の接種がどんどん行われますが、心配です。