ノンアルコールのビールというのは何となく理解できます。運転はしたいけどビールを飲んだ気持にもなりたい場合、特にみんなでお酒を飲むときに1人だけ飲めないときなどニーズはありそうです。しかし、最近妙なCMを見ました。微アルコールのビールの宣伝です。その名も「ビアリー」(ここ参照、下の写真もこのサイトより)です。
そして、こんな記事がありました。
ビールもワインも、家飲みはヘルシーに…「低アル」飲料が続々新登場
2021年07月21日 読売新聞 より
酒類大手が、アルコール度数の低い商品を相次いで投入している。コロナ禍で増える「家飲み」で、飲み過ぎを防ぎたい消費者ニーズに対応した。病気につながるリスクへの関心が世界的に高まっていることも後押ししている。
アサヒビールは先月から、アルコール度数0・5%のビール風飲料「ビアリー」の販売エリアを全国に広げた。3月に首都圏などで先行発売し、20~30歳代を中心に売れ行きが好調だったためだ。
サッポロビールは9月、度数0・7%のビール風飲料「ザ・ドラフティ」を発売する。「ビール好きだが、アルコールの摂取量を抑えたい人に新しい選択肢を提供したい」(販売戦略担当)としている。
低アルコールのワインを投入するのはメルシャン。8月末、アルコール度数6%と、通常のワインの半分ほどの赤ワイン「ボン・ルージュ6%」を売り出す。
国内の低アルコール飲料市場は拡大が続いている。調査会社インテージによると、2020年の家庭向け商品の販売額は4191億円で、13年比で約7割増だった。家飲みに加え、アルコールが苦手な人の需要も取り込んでいる。
世界保健機関(WHO)は13年、がんや糖尿病などのリスク要因としてアルコールを挙げ、「有害な飲酒を少なくとも10%削減する」との目標を加盟国に示した。欧米の若者の間では、あえてアルコールを口にしない「ソーバーキュリアス(しらふに関心が高いという意味)」と呼ばれる生活スタイルも広がりを見せている。
政府は今年3月、「アルコール健康障害対策推進基本計画」を閣議決定した。酒類業界に対し、容器にアルコール量も表示することを検討するよう促している。アサヒ、キリン、サントリー、サッポロのビール大手4社は、主な商品に含まれるアルコールのグラム数を公表し始めた。
アサヒビールの松山一雄・マーケティング本部長は、「様々な度数の商品を用意し、グラム数の情報も提供することがメーカーの責務となっている」と話している。
このビアリーの成分表は以下のようです。
成分(100ml当たり)
アルコール分(度数)0.5%
純アルコール量(g)0.4g
エネルギー33kcal
たんぱく質0.1~0.5g
脂質0g
炭水化物7.4g
糖質7.4g
食物繊維0~0.2g
記事には「病気につながるリスクへの関心が世界的に高まっている」「がんや糖尿病などのリスク要因としてアルコールを挙げ」などと書かれていますが、成分表の糖質量は驚く数値です。通常のビールの2.5倍ほどです。このビアリーをアルコールが非常に少ないからと、何本も飲んでしまったら大変なことになります。1本でも糖質量が25.9gです。4本飲んでもアルコール量は5.6gですが、糖質量は100g超えです。これでは病気につながるリスクを増加させますし、がんや糖尿病のリスク要因になります。全く記事に書いてあることは矛盾しています。
アサヒもキリンとサントリーに続いて糖質ゼロのビールを出してほしかったのですが、逆の方向に行ってしまいました。残念!
糖質過剰症候群 糖質制限
販売する側は意図的に「健康」イメージを利用しているのでしょうが、
微アルコール飲料や菜食主義を「健康的」と信じてしまうのは悲しいですね。
鈴木 武彦さん、コメントありがとうございます。
企業は根拠を示さなくても、ヘルシーというイメージだけで売れればOKです。
消費者が考えれば良いのです。
清水先生、いつもありがとうございます。
お酒を飲むと陽気になったり、眠くなったりと、人それぞれですが、それだけ脳細胞に影響を与えるわけですから、それだけでも良いとは思えません。
「お酒はほどほどに」と言われても大半の人は理解してますし、飲んべえの人でも「分かっちゃいるけど止められない。」だと思います。
しかし、「糖質摂取はほどほどに」と言われたら、大半の人が「はっ?何言ってるのか意味が分からないし、全然止められない。」ですよね、きっと。
もっとも、日本糖尿病学会でさえも、相変わらずですから・・。
糖質過剰摂取の問題の方が闇は深いと感じています。
太田さん、コメントありがとうございます。
どちらが闇が深いかは、それぞれの摂取量、個人差などが大きいですが、
糖質は少なくとも1日のエネルギーの50~60%を摂るべきと言われているので、そこが問題でしょうね。
「糖質は少なくとも1日のエネルギーの50~60%を摂るべきと言われている」
糖尿病学会の御説は根拠がないだけに(合併症リスクが大きいエビデンスは明白ですが)、
意図が不明、なにか理由があっての(それとも本当に信じての)主張でしょうか。