脂肪肝(非アルコール性脂肪肝疾患)は非常に増加していますが、それを危険なものだという認識は多くの人が持っていないでしょう。脂肪肝は肥満の成人の病気ではなく、小学生でも脂肪肝の子供もいますし、痩せていても脂肪肝の人はいます。
以前の記事「脂肪肝は肝臓がんへ進行する可能性がある」で書いたように、脂肪肝は肝臓がんのリスクを増加させます。肥満はがんのリスクを上げますが、脂肪肝の方が危険因子としては大きいかもしれません。
今回の研究では平均54歳の4,722人の非アルコール性脂肪肝疾患の人を平均8年追跡しました。(図は原文より、表は原文より改変)
上の図はがんリスクに対する脂肪肝(非アルコール性脂肪肝疾患)の影響を示しています。脂肪肝ではがんの全体的なリスクが90%高いことに関連し、リスクの最大の増加は肝臓がんで認められ、発生率比は2.8倍でした。続いて子宮がん2.3倍、胃がん2.3倍 、すい臓がん2.0倍、結腸がん1.8倍などです。右側の図は男女差を示しています。
上の図のAは非肥満と肥満のがん発生率比を示していますが、肥満の方が増加傾向ではありましたが、はっきりしていたのは子宮がんのみです。図のBは非肥満のコントロールおよび肥満のコントロールと脂肪肝のがん発生率比です。
肥満の存在だけでは非肥満と発生率に差がなく、脂肪肝の存在ががんのリスク増加に関連しているように見えます。
がんの種類 | 発生率比 | ||||
---|---|---|---|---|---|
肥満vs非肥満(脂肪肝の存在に関係なく) | 脂肪肝vs非肥満コントロール | 脂肪肝vs肥満コントロール | 非脂肪肝の肥満vs非肥満 | ||
すべてのがん | 1.2(0.9、1.6) | 2.0(1.5、2.9) | 2.0(1.5、2.7) | 1.0(0.8、1.4) | |
消化管がん | 肝臓 | 1.3(0.8、2.2) | 2.9(1.8、5.3) | 3.6(2.0、7.5) | 0.8(0.5、1.4) |
結腸 | 1.0(0.7、1.5) | 2.1(1.4、3.1) | 2.3(1.7、3.2) | 0.9(0.6、1.3) | |
膵臓 | 1.1(0.7、1.8) | 2.2(1.4、3.5) | 2.3(1.4、3.9) | 1.0(0.6、1.6) | |
食道 | 1.1(0.7、1.9) | 1.8(1.0、3.0) | 1.7(0.9、3.1) | 1.1(0.6、1.9) | |
胃 | 1.2(0.7、2.1) | 2.4(1.5、4.1) | 2.3(1.3、4.5) | 1.0(0.6、1.8) | |
ホルモン感受性がん | 乳房 | 1.2(0.8、1.8) | 1.7(1.2、2.5) | 1.6(1.3、2.0) | 1.1(0.8、1.6) |
子宮 | 1.7(1.1、3.0) | 2.4(1.6、4.0) | 1.9(1.4、2.7) | 1.3(0.9、2.2) | |
卵巣 | 1.4(0.9、2.4) | 1.9(1.2、3.1) | 1.4(0.8、2.4) | 1.3(0.8、2.3) | |
前立腺 | 1.0(0.7、1.6) | 1.8(1.2、2.7) | 1.8(1.4、2.3) | 1.0(0.7、1.5) | |
肺がん | 0.8(0.5、1.3) | 1.5(0.9、2.3) | 1.7(1.2、2.3) | 0.9(0.6、1.4) |
上の表は肥満と脂肪肝が、がんのリスクに及ぼす影響(年齢と性別で調整)を示しています。脂肪肝では2~3倍もがんのリスクが高いことになります。
もちろん、肝臓がん以外では脂肪肝そのものががんのリスクを高めているというよりは、脂肪肝、内臓脂肪をもたらす食事ががんのリスクを高めていると考えられます。その食事はもちろん、糖質過剰摂取です。糖質、特に果糖は脂肪肝をもたらします。
脂肪肝と言われて笑っている場合ではありません。すぐに食事を改善すべきです。
がんは糖質過剰症候群です。糖質はがんのエサです。糖質制限でがんをできる限り予防しましょう。
「The risk of incident extrahepatic cancers is higher in non-alcoholic fatty liver disease than obesity – A longitudinal cohort study」
「非アルコール性脂肪肝疾患では、肥満よりも肝外がんの発症リスクが高い-縦断的コホート研究」(原文はここ)
糖質制限とは直接関係はないかもしれませんが、トラックから脱輪したタイヤが当たり肝臓損傷のニュースがありました。肝臓は割と再生能力がある臓器と聞きますが、どうなのでしょう。
これも余談ですが「巨人・中田 17キロ増で逆襲へ「自信しかない」 合同自主トレで夜は米20合炊き」
だそうです。
日本ハム、昨年放出しておいて良かった、のかも。
鈴木 武彦さん、コメントありがとうございます。
マウスの肝臓の70%を切除しても一週間程度で元の重量と機能を回復するそうですから、かなり再生能力は高そうですね。
どうやら肝細胞の肥大が細胞分裂より先行するようです。
中田選手はもとから私は期待していなかったので、もっと早く巨人に行って欲しかったです。
いまだに米食べて体重増加なんて、今年も活躍は難しそうですね。