役に立たないダイエットランキング

U.S.Newsというサイトに「Find the best diet for you」「あなたへの最善の食事を見つける」と題したダイエットランキングが発表されています。(ここ参照)

これは食事療法、栄養学、肥満、食物心理学、糖尿病、心臓病の全国的に認められた27人の専門家がレビューし、独自の事実調査を追加し、7つのカテゴリーで各食事療法を評価しました。

その食事を行うのは簡単か?
短期間の体重減少をもたらす力。
長期的な体重減少をもたらす力。
その栄養の完全性。
その安全性。
糖尿病の予防と管理の可能性。
心臓病を予防と管理の可能性。

栄養学や糖尿病の専門家がどのような結論を出すのかは容易に想像できますが、そのランキングを見てみましょう。

総合順位

順位食事法得点
1Mediterranean Diet(地中海式ダイエット)4.2/5
2DASH Diet4.0/5
2The Flexitarian Diet(フレキシタリアンダイエット:準菜食主義)4.0/5
4MIND Diet3.8/5
5Mayo Clinic Diet(メイヨークリニックダイエット)3.7/5
5TLC Diet3.7/5
5Volumetrics Diet3.7/5
5WW (Weight Watchers) Diet3.7/5
9Vegetarian Diet(ベジタリアン)3.6/5
10Nordic Diet3.5/5
10Ornish Diet3.5/5
12Jenny Craig Diet3.4/5
13Dr. Weil’s Anti-Inflammatory Diet3.3/5
13Asian Diet3.3/5
13The Fertility Diet3.3/5
13Noom3.3/5
17Nutritarian Diet3.2/5
17Vegan Diet(ビーガン)3.2/5
19The Engine 2 Diet3.1/5
20Biggest Loser Diet3.0/5
20Glycemic Index Diet(グリセミック指数ダイエット)3.0/5
20South Beach Diet3.0/5
20Zone Diet3.0/5
24Nutrisystem Diet2.9/5
25Macrobiotic Diet2.8/5
26SlimFast Diet2.7/5
27HMR Program2.6/5
27Intermittent Fasting(インターミッテントファスティング)2.6/5
27OPTAVIA2.6/5
30Alkaline Diet2.4/5
30Paleo Diet2.4/5
32Raw Food Diet2.3/5
32Sirtfood Diet2.3/5
34Atkins Diet2.2/5
35AIP Diet2.1/5
35Whole30 Diet2.1/5
37Keto Diet(ケトン食)2.0/5
37Modified Keto Diet(修正されたケトン食)2.0/5
39Dukan Diet1.9/5
39GAPS Diet1.9/5

なんと、40種類の食事法が並んでいます。ほとんどまたは全く聞いたことがないものもいくつもあります。私は15くらいしか知りません。聞いたことがないということは、ほとんどが科学的根拠が示されていないと言って良いでしょう。必ずしもエビデンスが必要とは思いませんが、栄養学や糖尿病の専門家たちはエビデンスもない食事法を推奨しているのです。一方糖質制限系の食事法は現在最もエビデンスがそろっているはずです。

栄えある総合第1位は地中海式ダイエットです。地中海式好きな専門家多いですね。地中海式も一応エビデンスが多いのですが、スペインの研究では心血管疾患の死亡率は5年で2%減少しましたが、全原因死亡率の差はありませんでした。(ここ参照)

2位のDASH食は血圧は低下するとされていますが、LDLコレステロールだけでなくHDLコレステロールも減少させます。ときに中性脂肪を増加させます。(ここなど参照)

以前の記事「肉が大腸がんのリスクを増加させるなら、ベジタリアンは?」で書いたように、ベジタリアンやビーガンの方が肉を食べる人よりも大腸がんのリスクが高くなりますし、「ビーガン、ベジタリアンの子供は不健康」で書いたように、ビーガンやベジタリアンは子供の健康に悪影響を与える可能性も高くなります。

糖質制限系、肉食や高タンパク質系はほとんどが下位となっています。何とも恣意的に感じます。ケトン食はビーガンよりもかなり下です。

糖尿病のための最適なダイエットでさえ、地中海食が1位、ビーガンが2位、DASH食5位で、グリセミック指数ダイエットが19位、アトキンスダイエットが22位、ケトン食は26位です。アメリカの糖尿病学会は現在、糖質制限食が最もエビデンスがあると言っているにも関わらず、このようなランキングです。

このU.S.Newsというサイトのオーナー、編集長はモーティマー・ズッカーマンという人で、彼はビーガンです。(ここ参照)

だから、ベジタリアンやビーガン、その他の植物系の食事を中心とした食事法が上位にあるのでしょうね。そして肉は不健康、飽和脂肪酸は不健康というこれまでの知識をアップデートされていない専門家たちの勝手なランキングになってしまうのでしょう。専門家を選んだ基準もよくわかりませんし。

しかし、このようなランキングの記事を信じてしまう人もいるのでしょうね。先日、医師が高齢者に「マクドナルド」勧める記事を真に受けて話をしている中年の女性を見かけました。この記事のお勧めは何とハンバーガ-にポテトとコーラですから、びっくりです。

マクドナルドを例に挙げると、ベーコンエッグバーガーは1個で390キロカロリー。たんぱく質も23グラム含まれています。こうしたハンバーガーにマックフライポテトとコーラでもつければ軽く1000キロカロリーくらい摂れることになります。手軽に効率よくカロリーとたんぱく質を摂れるという点ではたいへん優秀。マクドナルドは子どもや若者に人気のイメージがありますが、高齢者も利用しない手はありません

タンパク質を摂取するのに、わざわざジャンクフードです。実際には現在ベーコンエッグバーガーというメニューは無く、ベーコンレタスバーガーというエネルギー量の近いメニューはあるので、これを見てみると、エネルギー374kcal、タンパク質17.7g、脂質20.8g、糖質27.4gです。(データはマクドナルドホームページより)

しかもポテトとコーラまで付けると、ポテトSサイズで225kcal、タンパク質2.9g、脂質11.3g、糖質25.4g、コーラもSサイズで90kcal、タンパク質0g、脂質0g、糖質22.7gです。この記事では1000kcalを軽く超えると書いてあるので、ポテトとコーラのサイズが小さすぎました。ポテトLサイズで517kcal、タンパク質6.7g、脂質25.9g、糖質58.3g、コーラLサイズで181kcal、タンパク質0g、脂質0g、糖質45.4gです。これでやっと1000kcalを超えました。

合計してみましょう。ベーコンレタスバーガー+ポテトL+コーラLで

エネルギー1,072kcal、タンパク質24.4g、脂質46.7g、糖質131.1g!!

タンパク質を20数グラム摂るために糖質を130gも摂る羽目になります。タンパク質の5倍以上の糖質摂取です。これを真に受けて食べた高齢者の安否が気になります。恐らく血糖値は300を超える高齢者も多いでしょう。

カロリー神話をいまだに信じている人はこんな考えになるんですね。

医療をビジネスと考えれば、患者さんを作り出すためにハンバーガ-にポテトとコーラは良いですが、通常医師がこのようなことを推奨するのは考えられません。でも、一般の人で何も考えない人であれば信じてしまうのです。

先ほど見かけた中年の女性が「おじいちゃん、マクドナルドのセット買ってきてあげたよ!1000kcal摂った方が良いからポテトもコーラもLサイズのセットにしたよ!これが高齢者にはすっごくお勧めなんだって!在宅医療のエキスパートの先生が言ってたよ!明日は吉野家の牛丼並盛に生卵を付けて買ってくるからね!牛丼と生卵で700kcal以上でタンパク質も20g以上だし、糖質も89gも摂れるよ!1000kcal必要なら特盛かな?そうすればタンパク質も34.5gだし、糖質も127.6gも摂れるよ!これで健康で長生きしてね!」と言っていなければ良いのですが…。これ以上妄想を進めると、変なことを書きそうなのでこれでやめます。

コメント

  1. ミホ より:

    私も高齢者にファストフードを勧める記事読みました。
    この方はファストフード業界からなんかもらっているんでしょうか…?
    高齢になったらタンパク質が重要というのは理解出来ますが、最後の、子どもや孫と同じものが食べれて良い、って言うなら子どもや孫とサラダチキン食べれば良いですよね…
    あっ、私はサラダチキン業界からはなんももらってませんよ 笑

    • Dr.Shimizu より:

      ミホさん、コメントありがとうございます。

      私はこの方の本心であり、この程度の知識なんだと思います。

  2. 鈴木 武彦 より:

    McDonald確かに美味くて癖になります。
    (そのように作ってあるので、当然ですが)
    ただ人生の選択肢として、私は食べません。