昼寝の時間が長くなることは認知症の前兆である可能性

高齢の方は比較的昼寝をしている人も多いのではないでしょうか?若年層を対象にした昼寝の研究では、昼寝が認知機能にとって有益なことが示されているようですが、これは糖質過剰摂取状態の人の場合です。糖質制限をすれば昼寝がほとんど必要なくなるでのはないかと思います。

糖質過剰摂取の高齢者の昼寝はもしかしたら認知症と関連しているかもしれません。

今回の研究では、平均年齢81歳の高齢者1,401人(女性は76.6%)に、14年間(毎年最大14日間)にわたり腕時計型デバイスを装着してもらい、睡眠と認知機能について分析しました。研究の開始時に、参加者の75.7%は認知障害がなく、19.5%は軽度の認知障害があり、4.1%はアルツハイマー病でした。(図は原文より)

上の図は昼寝とアルツハイマー型認知症の関係です。 AとBは、軽度認知障害を発症した平均年齢81歳(コホートの平均年齢)の仮想の女性と男性の人のモデルに基づいて、昼寝時間(A)と昼寝頻度(B)の予測平均レベルを示しています。軽度認知障害(MCI)はベースラインから3.7年後、アルツハイマー型認知症(AD)はベースラインから7.6年後です。予測された95%信頼区間は影付きの領域として表示されます。AとBの薄い挿入図は、フォローアップ中に軽度認知障害を示したことがない人のモデルに基づいています。

CとDは、2人の代表的な個人の昼寝時間(C)または昼寝頻度(D)の累積リスクを示しています。Cのオレンジ色の線は1時間/日以上の昼寝をした人(長い昼寝をする人)は、点線の1時間/日未満の昼寝をした人(短い昼寝をする人)と比較して、アルツハイマー病のリスクが40%増加しました。同様に、Dはオレンジ色の1日1回以上の昼寝をした人(頻繁な昼寝)は、点線の1日1回未満の昼寝をした人(まれな昼寝)と比較して、認知症を発症するリスクが40%高くなりました。

認知障害を発症しなかった参加者の場合、毎日の昼寝は年間平均11分増加しましたが、軽度認知障害と診断された人では増加率は2倍の24分になり、アルツハイマー病の診断ではほぼ3倍の68分になりました。

昼寝のし過ぎが認知機能の低下の原因ではないでしょう。認知機能が低下してくると昼寝が多くなるのだと思われます。

長年の糖質過剰摂取により、脳のインスリン抵抗性が増加してきて、段々と脳はブドウ糖を取り込めなくなるのでしょう。そうすると、認知機能も低下するのはもちろん、覚醒を司っている脳の領域のエネルギーも減少し、その脳細胞も減少してくるのでしょう。

また、以前の記事「日中に寝てばかりの認知症の高齢者はケトン食で覚醒する?」で書いたように、ブドウ糖の代わりにケトン体を高齢者の脳に与えてあげれば、昼寝時間や頻度は減少する可能性が高いと思います。

高齢者の脳はエネルギー不足で省エネのために覚醒状態を低下させているのかもしれません。

いずれにしても、昼寝の時間が長くなることは認知機能低下の前兆となる可能性が高いと思われます。

日本人は世界一の長寿ですが、健康で長生きしなければ私自身はあまり意味がないのではないかと思います。私は単に長生きしたいとは思っていません。ただ死ぬまで健康でいたいと思っているだけです。加齢とともに健康は何もしないでは得られなくなります。糖質過剰摂取、野菜と白米中心の食事など間違った食事では健康維持は難しいかもしれません。

長い昼寝を認めたら、糖質制限、MCTオイルなどでのケトン体増加が必要でしょう。しかし、本来はその前から糖質制限をお勧めします。認知症は糖質過剰症候群です。認知症は予防が重要なのですから。

 

「Daytime napping and Alzheimer’s dementia: A potential bidirectional relationship」

「昼寝とアルツハイマー型認知症:潜在的な双方向の関係」(原文はここ

3 thoughts on “昼寝の時間が長くなることは認知症の前兆である可能性

  1. 長い昼寝は原因ではなく、結果なのですね。

    「長年の糖質過剰摂取により、脳のインスリン抵抗性が増加してきて、段々と脳はブドウ糖を取り込めなくなるのでしょう。そうすると、認知機能も低下するのはもちろん、覚醒を司っている脳の領域のエネルギーも減少し、その脳細胞も減少してくるのでしょう。」

    先生はきっと実感されていると推察いたしますが、糖質過剰摂取(普通の食生活)の人
    とのコミュニケーションがスムーズにいかない場合があるのではないでしょうか?
    どちらの認知機能のせいかはあえて申し上げませんが、、、

  2. 私も糖質過剰な生活を送っていた時は昼寝が当たり前というか、みんながそうだと思っていました。
    昼寝というか、起きていられないほどの眠気が襲ってくるんですよね…。
    あの昼寝のせいでどれだけの時間を睡眠に費やしていたことか…。
    あのままの生活を続けていたら私も…?
    恐ろしいです…

    1. ミホさん、コメントありがとうございます。

      糖質制限をしていてももちろん全く眠気がないというわけではありません。
      しかし、おっしゃる通り起きていられないほど、抗えないほどの眠気が襲ってくることはなくなりましたね。
      それでいて夜の睡眠はぐっすりです。

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