高齢者の総コレステロールと死亡リスク

今日の夏井先生の記事に紹介されていたギャグ漫画「名古屋以外全部壊滅」は名古屋出身の私にとっては最高でした。

「キットカットカットカントカンカッタノニナンデカットカンカッタン?」

「オミャーガキットカットカットカントカンテイットカンカッタデカンワ」

特に上のこの会話ホントにサイコーです。名古屋人以外には全く意味不明でしょう。もう名古屋で暮らした年月よりも北海道の年月の方が長くなってしまい、名古屋弁が口から出ることはほとんどなく、やや北海道なまりになってしまっています。でも、北海道に来たばかりのころはまだ名古屋弁でしたので、上の会話にちょっと近いことを言ったときに、友達にものすごく笑われました。方言って良いですね。

さて、今日の記事です。

慢性疾患と言われているものは、根本原因を改善しないために改善せずに、ずっと薬を投与されてしまいます。本当は薬は急性期に一時的に使うもので、その間に根本原因を改善すべきです。しかし、数値しか見ない医師は薬で数値を整えて満足しているのでしょう。だから、年齢を重ねるに従い、漫然と薬が処方され、どんどん飲む薬が増えて、多剤併用が当たり前になってしまうのです。

ちょっと古い研究ですが、高齢者とコレステロールの関係を分析したものがあります。

総コレステロールの単位を日本の単位にする場合は1mmol/L=38.7mg/dLなので、38.7をかけます。ちなみに総コレステロールの基準値は150~219mg/dLです。対象は中央値89歳の高齢者724人です。(図は原文より、表は原文より改変)

総コレステロール濃度(mmol / L)死亡リスク
年齢と性別で調整年齢、性別、および危険因子に合わせて調整
≥6.5(252mg/dL)0・62(0・49–0・77)0・64(0・50–0・82)
5.0–6.4(194~248mg/dL)0・78(0・65–0・94)0・81(0・66–1・01)
<5.0(194mg/dL)1・001・00
上の表は全ての原因による10年死亡リスクです。総コレステロールが高い方が死亡リスクが低いことがわかります。総コレステロールが1mmol/L増加するごとに、死亡率が15%減少しました。

上の図は3つの総コレステロールカテゴリーによる心血管疾患、がん、感染症、全原因の累積死亡率です。(点線が最もコレステロールの高い群、細い線が中間群、太い線が最も低い群だと図には書かれていますが、恐らくこれはミスプリだと思います。点線が最も低い群で太い線が最も高い群でしょう。そうしないと論文の中身と図が矛盾します。)

心血管疾患による死亡リスクは、総コレステロール値によって違いはありませんでした。がんと感染による死亡リスクは、コレステロールが高い群で有意に低く、全原因死亡率も最もコレステロールが高い群で低くなっています。生存期間中央値は、最低コレステロール群で2.5年、中間群で3.4年、最もコレステロールの高い群で4.3年でした。

つまり、85歳以上の男女の両方で、高い総コレステロール濃度は死亡率と逆相関していることを示しています。高いコレステロールは生存率の増加と関連しています。総コレステロール値が低い人と比較して、中程度と高値の人は、それぞれ22%と38%低い死亡リスクでした。

総コレステロール値が高いことは、85歳以上の人々の心血管疾患の危険因子ではなく、逆に長寿に関連しているのです。通常総コレステロールが高ければLDLコレステロールも高くなります。高齢者に対してコレステロールを低下する治療、つまりスタチン投与の意義は疑わしいです。もっと言えばスタチンが死を早めている可能性すらあります。

心血管疾患もがんも糖質過剰症候群であり、糖質過剰摂取では感染症にも弱くなります。

糖質制限をしてコレステロールを高く保った方が死亡率は低くなるでしょう。

 

「Total cholesterol and risk of mortality in the oldest old」

「最年長の高齢者の総コレステロールと死亡リスク」(原文はここ

7 thoughts on “高齢者の総コレステロールと死亡リスク

  1. あんたは正しい人だと思う。正しいことを言うから。
    私はそういう人がいること知ってる。
    大きな流れに逆らうって、とても勇気がいることだから尊敬するよ。
    ただ愚直なだけかもしれないけど、、、。
    まあ、明らかなのはそういう人は珍しいってことだよ。つまり一般的とは言わない。普通とも言わない。あんたのような人は特殊な人と呼ばれる。パイオニアと呼ばれる。

    1. 張さん、コメントありがとうございます。

      この場合は、ありがとうございます、が正しいのでしょうか?

  2. 「慢性疾患と言われているものは、根本原因を改善しないために改善せずに、ずっと薬を投与されてしまいます。本当は薬は急性期に一時的に使うもので、その間に根本原因を改善すべきです。しかし、数値しか見ない医師は薬で数値を整えて満足しているのでしょう。だから、年齢を重ねるに従い、漫然と薬が処方され、どんどん飲む薬が増えて、多剤併用が当たり前になってしまうのです。」
    現代医療の、真実だと思います。

    早朝のNHKラジオで、専門医が戦国武将の死因を推測するコーナーがあって、
    上杉謙信が49歳で無くなったのはおそらく脳出血、原因は高血圧で、
    塩分過剰の食生活のせいとのことでした。
    謙信にアドバイスするなら、塩分7.5g/日未満に控える、
    降圧剤も処方、だそうです。

    1. 鈴木 武彦さん、コメントありがとうございます。

      専門医が戦国武将の死因を推測する、という企画の意味が私にはわかりません。
      何の意味があるのでしょうか?NHKも相変わらず無駄な番組をやっているのですね。

  3. 「高齢者の総コレステロールと死亡リスク」
    これって、高血圧や高血糖にも同じことが言えるんじゃないでしょうか?
    つまり、高齢者にとっては高血圧や高血糖こそが自然の状態であり、降圧剤や高血糖の薬の服用、インスリン注射などは死亡リスクを上げたり、認知症のリスクを上げたりする。
    私は糖質制限をしている推進派ですが、それは若年~中年までであり、高齢になれば、糖質であろうが、たんぱく質であろうが、摂れる高齢者ほど元気で長生きできるのではと考えています。
    私の周りの高齢者は実にそういう人たちが多いです。

    1. 五月晴れさん、コメントありがとうございます。

      私は高齢者だから高血圧や高血糖が自然だとは思っていません。
      ずっと糖質過剰摂取をしてきた害が蓄積してそれらの状態が起きていると考えているからです。

      1. さすがにそれは言い過ぎだと思います。
        糖質の過剰摂取は良くないとは思いますが、それとは比較にならないのが加齢の影響です。
        仮に糖質を摂取しなくても、加齢による老化は進むわけですから。
        したがって、高血圧や高血糖は老いによる自然な流れと言えます。
        生活習慣により遅かれ早かれということでしょう。

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