脂肪肝と中性脂肪/HDLコレステロール比

非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)はどんどん増加しています。一方、中性脂肪/HDLコレステロール比の上昇は様々なリスクを高くします。(「中性脂肪/HDLコレステロール比とうつ病」「中性脂肪/HDLコレステロール比と心筋梗塞」など参照)

今回の研究では、健康(?)な集団での中性脂肪/HDLコレステロール比と非アルコール性脂肪性肝疾患の関連を調べています。

対象は、健康診断を受けた18,061人で、少なくとも10時間一晩絶食した後に検査を受けています。まずは検査結果をNAFLDの有無で比較しています。NAFLDの全体的な有病率は24.8%でした。(図は原文より、表は原文より改変)

変数 非NAFLD NAFLD
人数 13,581 4480
性別(男/女) 5191/8390 3256/1244
年齢(歳) 39.5±10.5 45.8±9.9
BMI(kg/m 2 22.1±2.6 26.4±2.7
収縮期血圧(mmHg) 114.6±14.8 127.4±15.7
拡張期血圧(mmHg) 75.4±9.9 83.9±10.0
空腹時血糖(mM) 5.2±0.8 5.8±1.4
中性脂肪(mM) 1.0(0.7–1.5) 2.1(1.5–3.1)
総コレステロール(mM) 4.7±0.9 5.2±1.0
LDLコレステロール(mM) 2.7±0.7 3.1±0.8
HDLコレステロール(mM) 1.5±0.4 1.2±0.3
中性脂肪/HDL-C 0.7(0.4–1.1) 1.8(1.2–3.0)
尿酸(μM) 302.8±79.6 386.2±86.1
クレアチニン(μM) 70.1±15.3 78.1±15.2
ALT(IU/L) 10(7–13) 17(12–25)
AST(IU/L) 20(17–24) 24(20–30)

細かくは書きませんが、全ての項目でNAFLD群の方が悪い数値です。まあ当たり前です。

次に中性脂肪/HDLコレステロール比に従って4つのグループに分けました。それが下の表です。

Q 1 Q 2 Q 3 Q 4
人数 4522 4533 4466 4535
年齢(歳) 37.5±10.3 39.4±10.4 41.8±10.4 45.5±10.0
男/女 2123/2399 2107/2426 2098/2368 2115/2420
BMI(kg/m 2 21.5±2.6 22.5±2.9 23.5±3.2 24.9±3.1
収縮期血圧(mmHg) 112.6±13.9 115.3±15.0 118.4±15.9 124.7±16.6
拡張期血圧(mmHg) 74.4±9.7 76.0±10.3 78.1±10.5 81.7±10.3
空腹時血糖(mM) 5.1±0.6 5.2±0.9 5.4±1.0 5.6±1.3
中性脂肪(mM) 0.7(0.6–0.9) 1.0(0.8–1.3) 1.4(1.1–1.9) 2.5(1.8–3.5)
総コレステロール(mM) 4.5(4.0–5.0) 4.6(4.1–5.2) 4.8(4.2–5.4) 5.1(4.5–5.8)
LDL-C(mM) 2.5±0.6 2.7±0.7 2.9±0.7 3.0±0.8
HDL-C(mM) 1.8±0.4 1.5±0.3 1.3±0.3 1.1±0.2
ALT(IU / L) 9(7–13) 10(7–14) 11(8–17) 13(10–21)
AST(IU / L) 20(18–24) 20(17–24) 21(18–25) 22(19–28)
クレアチニン(μM) 69.9±14.9 72.5±15.4 74.6±15.6 78.7±20.2
尿酸(μM) 296.0±77.4 311.8±83.7 328.3±89.1 357.7±92.5

これまた、ほとんどのパラメータは中性脂肪/HDL比が高くなるに従い、数値が悪くなっています。

上の図は、NAFLDの有病率です。それぞれ4.9、14.1、26.8、53.5%です。中性脂肪/HDL比が最も高いグループの半分以上は脂肪肝です。思ったよりも少ない気がします。

様々な調整を行い、中性脂肪/HDL比の最も低いグループと比較したそれぞれのグループのNAFLDの可能性を分析しました。それぞれのグループの中性脂肪/HDL比が書かれていないので上の表から計算すると、Q1で0.39、Q2で0.67、Q3で1.08、Q4で2.27です。これは日本の単位と異なるので、日本の単位にするには2.29をかけます。

Q 1 Q2 Q 3 Q4
モデル4 1 2.1 3.6 9.2
(1.8–2.6) (3.0–4.3) (7.6–11.1)

そうすると、最も中性脂肪/HDL比が低いグループと比較して最も高いグループでは9倍以上にもなります。

NAFLDを検出するための中性脂肪/HDL比の最適なカットオフポイントは、女性で0.9、男性で1.4でした。つまり、日本の単位に直せば、女性で2.1、男性で3.2です。もちろんこれ以下だから安心ではありません。私は中性脂肪/HDL比は1.3以下を推奨しています。糖質制限をしていれば軽くクリアできる数値です。

中性脂肪/HDL比はインスリン抵抗性を表していることを考えれば、低い方が良いですし、それが高いことは脂肪肝のみならず、様々な疾患のリスクを高めます。

健康診断で中性脂肪とHDLコレステロールを測定していないことはないでしょうが、病院を受診したときの検査では中性脂肪とHDLのどちらかが抜けている可能性があります。何のための検査かよくわかりません。様々な疾患にはインスリン抵抗性が関係し、インスリン抵抗性は非常に重要な検査であり、それを見るもっとも簡単な検査が恐らく中性脂肪/HDL比でしょう。恐らくLDLコレステロール悪玉説をいまだに信じている医師では、LDLコレステロールは測定しても中性脂肪またはHDLが抜けることもあるのかもしれません。

脂肪肝も糖質過剰症候群です。中性脂肪/HDL比は簡単に計算できます。2を超えていたらすぐに糖質制限を始めた方が良いでしょう。

 

「Triglycerides to high-density lipoprotein cholesterol ratio as a surrogate for nonalcoholic fatty liver disease: a cross-sectional study」

「非アルコール性脂肪肝疾患の代理としての中性脂肪とHDLコレステロールの比率:横断的研究」(原文はここ

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