自己申告の食事アンケートの過少申告はご飯大盛り3膳分

様々な研究で食事アンケートによるリスク評価が行われています。以前の記事「自己申告による食事アンケートの不正確性」でも書いたように、自己申告の食事アンケートのデータは非常に不正確で、過少申告がほとんどです。

また、「自己申告による食事アンケートのエネルギー摂取量は肥満の人ほど過少申告する」で書いたように、肥満の人ほど過少申告の程度が多くなる可能性があります。

今回の研究では、肥満でも痩せていても過少申告をしているという結論を出しています。平均年齢53歳の221名を対象に、二重標識水法という方法を用いて、エネルギー消費量を測定し、自己申告のエネルギー摂取量と比較しました。エネルギーバランスが取れている場合、エネルギー摂取量はエネルギー消費量と同等で、二重標識水法を使用してエネルギー摂取量の食事評価を検証できると考えられています。(図は原文より、表は原文より改変)

男性(n=106)女性(n=115)肥満(n=73)非肥満(n=178)合計(n=221)
平均平均平均平均平均
年齢(歳)5453565253
身長(m)1.751.621.681.681.68
体重(kg)86.074.297.571.279.8
BMI28.128.234.425.028.1
肥満(%)34.032.233.0
エネルギー消費量(kcal/day )30592478300026362757
エネルギー摂取量(kcal/day )20371644180118481833
身体活動レベル1.721.751.701.751.73

確かに上の表だけを見ると、肥満の人の方がエネルギー摂取量の自己申告は過少申告している程度が高いようです。肥満では1,200kcal程度、非肥満では800程度過少申告です。

上の図は性別、年齢、肥満かどうか、身体活動レベルによる過少申告の程度を示しています。性別ではそれほど差が無いように見えます。年齢は55歳以下の若い人の方が過少申告をしているようです。また、身体活動レベルが高いほど過少申告の程度が大きくなります。

上の図はallometric exponents(相対成長指数?詳しくはよくわかりませんが)というものを使って分析したものです。これは体重の影響を取り除くためのようです。そうすると、肥満かどうかは過少申告の差が無くなりました。

肥満の人で、エネルギー摂取量の自己申告と実際の消費量の間のギャップが大きいのは、どれだけ食べたかについて嘘をついているからではなく、より多くのエネルギーを消費しているからかもしれません。体重当たりで考えれば、肥満の人の方がエネルギー消費量は少ないようにも見えます。

いずれにしても、平均すると誰もが900cal程度の過少申告をしているようです。900kcalと言えば、白米大盛り(180g)3膳分、マクドナルドのチーズバーガー3個分、スタバのキャラメルフラペチーノ(トール)3杯分です。ここまでの大きな誤差があって、まともな分析ができると思いません。しかし、多くの研究は自己申告の食事アンケートを用いています。そしてその研究の結果がエビデンスとなり、それが食事の基準を作り出しています。

ガイドライン、食事摂取基準に従ってもこれでは健康にはなれません。厚労省がなぜずっとPFCバランスを変えないか非常に不思議です。健康にとって最も適切な栄養バランスなどわかっていないのに、エビデンスもないのに、ずっとPFCバランスは変わりません。そして医師も栄養士もずっと「バランス」という訳の分からない呪文を唱えています。

洗脳を解くには、自分で食事を変えて、自分で体験するのが一番です。なぜ、国や医師や栄養士が唱えている食事を守っても、様々な症状が出るのか、病気になるのか?食事が間違っているからです。1か月糖質制限をしっかりとすればよくわかります。糖質制限をすれば、5~10kgなんて活動性を増やさなくても簡単に減量できます。様々な症状、病気が糖質過剰症候群だったと気づくには時間はかからないでしょう。

 

「Obese individuals do not underreport dietary intake to a greater extent than nonobese individuals when data are allometrically-scaled」

「データが相対成長でスケーリングされている場合、肥満の人は非肥満の人よりも食事摂取量を過少報告しない」(原文はここ

2 thoughts on “自己申告の食事アンケートの過少申告はご飯大盛り3膳分

  1. 統計は様々な「バイアス」が入り込み易いでしょうから、鵜呑みにできません。
    色々な健康法やダイエット法がありますが、
    自分が納得して実践・検証するしかないのではないでしょうか。

    1. 鈴木 武彦さん、コメントありがとうございます。

      質の低いデータで様々なガイドライン、推奨事項が決められてしまっています。
      自分で考えるしかありません。

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