青年期から若年成人期への体重状態の変化と高血圧および糖尿病のリスク

肥満はもちろん、高血圧も糖尿病も糖質過剰症候群です。青年期にすでに過剰な体重となってしまい、その後正常な体重になるか、過剰な体重のままか、で様々な疾患のリスクは異なるでしょう。

今回の研究では、アメリカの12〜19歳の合計4454人の青年を追跡期間の中央値13年で、25~32歳若年成人期まで追跡して、高血圧や糖尿病のリスクを分析しました。(図は原文より、表は原文より改変)

 
体重の状態高血圧糖尿病
青年期→成人OR (95% CI)OR (95% CI)
 正常→正常1.001.00
 過剰→正常1.37 (0.64–2.95)1.65 (0.45–6.05)
 正常→過剰2.49 (1.98–3.15)1.59 (1.01–2.51)
 過剰→過剰3.72 (2.86–4.84)3.32 (2.11–5.21)
正常体重から正常体重のままだった人と比較して、過剰体重から過剰体重のままであると、高血圧になる可能性は3.72倍、糖尿病になる可能性は3.32倍でした。青年期に正常体重でも若年成人で過剰な体重になってしまった場合には、高血圧の可能性は2.49倍、糖尿病の可能性は1.59倍でした。

上の図は左が高血圧の有病率、右が糖尿病の有病率です。横軸は青年期と若年成人期の体重状態のさまざまな組み合わせです。

高血圧では、青年期の状態にかかわらず、成人期に正常であれば、有病率は変わりありませんが、成人期に過剰な体重だと、有病率は2倍、3倍になってしまいます。糖尿病は過剰体重から過剰体重で大きく有病率が上がっています。

20代はすでに代謝的には若いわけではないのでしょう。たとえ10代で過体重、肥満であっても、できる限り早く正常な範囲に減量することは、その後の病気のリスクを大きく減少させることができる可能性があると思われます。

ただ、アメリカ人と違い日本人はインスリン分泌能が低く、太らなくても糖尿病になってしまいます。インスリン分泌能が低いのにそれに見合った糖質量を摂取しなければ当然高血糖になります。当たり前です。若くても食後の血糖値スパイクを起こしている人は非常に多いでしょう。おにぎり一個でも過剰な糖質量となる人は大勢いると思います。一度、食後1時間値を測定してみるとわかると思います。

肥満も高血糖も糖尿病も糖質過剰摂取で起こります。糖質制限が改善にも予防にも重要です。

 

「Weight Status Change From Adolescence to Young Adulthood and the Risk of Hypertension and Diabetes Mellitus」

「青年期から若年成人期への体重状態の変化と高血圧および糖尿病のリスク」(原文はここ

One thought on “青年期から若年成人期への体重状態の変化と高血圧および糖尿病のリスク

  1. 「20代はすでに代謝的には若いわけではないのでしょう。」確かに10代の頃無制限に食べても太らなかったような、、、
    偏見かもしれませんが、TVCMの食べている映像は不快に感じることが多いのですが、不思議と不快に感じない場合も有ります。
    更に偏見ですがご高齢の方の場合は甚だしいです(不快か、そうでもないのかは敢えて述べません)。
    代謝の盛んな若年者のほうが「自然な」食欲の発露によって食事場面も自然に見えるような気がしています。

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