コレステロールが低い人は死亡率が高くなります。(「コレステロールの低い人は死亡率が高いというコレステロールパラドックス」「低LDLコレステロールはすべての原因による死亡率を増加させる」「LDLコレステロールが非常に低いと全原因死亡リスクが高い」など参照)
低コレステロールの人でアルブミン値とHDLコレステロール値によって死亡リスクがどうなるでしょうか?
今回の研究では、ベースライン時の年齢が70歳以上 (平均78.7歳) の4,128人が対象です。393人 (9.5%) は総コレステロール値が160mg/dl以下でした。全原因死亡率と冠動脈疾患および虚血性脳卒中に関連しない死亡率を調べました。追跡期間の中央値は4.9年で、その間に1,117 人が死亡しました。年齢と性別で調整すると、総コレステロールが低い人は、コレステロールが正常な人やコレステロールが高い人よりも死亡率が有意に高くなりました。
総コレステロールが160mg/dl以下の低コレステロールの人を分析しました。(図は原文より)
上の図は総コレステロールが低い人のアルブミン (Alb) とHDLコレステロール (HDL-C) の値に応じた死亡リスクで、左のグラフは全原因死亡率、右のグラフは冠動脈疾患および脳卒中とは無関係の死亡率です。アルブミン値は日本の単位にする場合、10分の1にしてください。そうするとアルブミンが3.8以下かつHDLコレステロールが47未満の人と比較すると、アルブミンが3.8を超えてかつHDLコレステロールが47未満では全原因死亡リスクが0.6倍となり、さらにアルブミンが3.8を超えてかつHDLコレステロールが47以上だと全原因死亡リスクは0.38倍に低下しました。
また冠動脈疾患および脳卒中とは無関係の死亡リスクは、3.8を超えてかつHDLコレステロールが47以上だと0.4倍に低下しました。
上の図は対象全体で、左のグラフはアルブミン3.8g/dLを超える人の場合の総コレステロールに応じた生存率です。総コレステロールが160以下の人が最も生存率が低くなっています。右側はHDLコレステロール47mg/dl以上の総コレステロールに応じた生存率です。こちらはあまり差がありません。
上の図はアルブミンとHDLコレステロールによって、総コレステロール値が低い高齢者の死亡リスクを特定するアルゴリズムです。 4 年半のリスクは、総コレステロール160以下、アルブミンが3.8以下だと41%と高リスクになります。総コレステロール160以下でアルブミンが3.8を超え、HDLコレステロールが47未満の場合は29%の中程度のリスク、総コレステロール160以下でアルブミンが3.8を超え、HDLコレステロールが47以上の場合は17%の低リスクです。
まずは糖質制限をし、良質の脂質とタンパク質を十分に摂って、LDLおよびHDLコレステロールを上げ、アルブミンも上げましょう。
「The Value of Serum Albumin and High-Density Lipoprotein Cholesterol in Defining Mortality Risk in Older Persons with Low Serum Cholesterol」
「血清コレステロールが低い高齢者の死亡リスクを定義する際の血清アルブミンとHDLコレステロールの値」(原文はここ)
私が20歳頃にドラマの主題歌など、ヒット曲を連発していた、
CCBの笠浩二さんも、糖尿病、脳梗塞で60歳の若さでお亡くなりに
なっています。
実際どうなのかは不明ですが、生活習慣が大きかったのでは?