運動には素晴らしい健康効果があります。冠動脈のプラークさえ減少させる可能性があります。
今回の研究では、経皮的冠動脈インターベンション(PCI)を受けている安定狭心症の患者60人が対象です。60人を2つのグループに分けました。週2回ピーク心拍数の85~95%の高強度インターバルトレーニング(HIIT)を6か月行う群と、通常の予防ガイドラインに従う対照群です。
6か月後の冠動脈アテローム性プラークの病変の長さ、アテロームの体積などを比較しました。ちなみに強力なスタチンはHIIT群で72%、対照群では87%、低効力スタチンはHIIT群で28%、対照群で13%、エゼチミブ(ゼチーア)との併用療法はHIIT群で7%、対照群で10%でした。(図は原文より、表は原文より改変)
上の図のように平均のアテローム体積率はHIIT群で低下(-1.2%)し、対照群では変化がありません(0.2%)でした。総アテローム体積もHIIT群で-9.0mm3減少し、対照群では3.0と変化がありませんでした。病変の長さはHIIT群で有意ではありませんが減少傾向(−0.7mm)でした。
下の表のように心血管系のパラメータはVO2peak(最高酸素摂取量)はHIIT群で有意に増加しました。
HIIT群 | 対照群 | |||
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ベースライン | ファローアップ | ベースライン | ファローアップ | |
VO2peak、mL/kg/min | 32.6±5.8 | 35.9±6.6 | 29.0±6.1 | 30.5±6.9 |
腹囲 cm | 105.5±8.9 | 100.2±6.8 | 107.6±10.9 | 106.8±11.7 |
BMI kg/m² | 29.0±4.0 | 28.3±4.2 | 29.1±3.5 | 29.0±4.0 |
HbA1c % | 5.6±0.8 | 5.5±0.6 | 5.8±1.0 | 5.8±0.8 |
総コレステロール、mmol/L | 3.7±0.8 | 3.8±0.8 | 3.8±0.9 | 3.9±0.9 |
LDLコレステロール、mmol/L | 2.1±0.7 | 2.1±0.7 | 2.2±0.7 | 2.2±0.6 |
HDL コレステロール、mmol/L | 1.1±0.3 | 1.2±0.3 | 1.0±0.2 | 1.1±0.2 |
中性脂肪、mmol/L | 1.3±0.6 | 1.2±0.4 | 1.6±0.8 | 1.8±1.9 |
さらに、HIIT群では腹囲やBMIが有意に減少しました。さらに、HIIT群でアテロームが減少したにもかかわらず、総コレステロール(約147mg/dL)、LDLコレステロール(81mg/dL)に変化はありませんでした。スタチンはどちらの群も飲んでいて、LDLコレステロールが変化したからHIIT群でアテロームが減ったわけではありません。つまり、アテロームの体積はLDLとは関連していないとも言えます。
健康のためには食事だけでなく、運動が必要です。糖質制限は運動をしなくても体重が減少しますし、様々なパラメータは改善します。しかし、運動を何もしないでいれば、タンパク質を十分に摂っていても、やはりそのうち筋肉は低下してくるでしょう。使わなければ体は必要がないと判断し、その筋肉を減らしてしまいます。
HIIT、タバタ式などの高強度インターバルトレーニングは大して時間もかかりません。部屋の中でも可能です。しかも週2回程度でも効果があります。
運動は健康のために必要だと考えます。
「High-intensity interval training induces beneficial effects on coronary atheromatous plaques: a randomized trial」
「高強度インターバルトレーニングは冠動脈アテローム性プラークに有益な効果を誘発する:ランダム化試験」(原文はここ)
あまりにも便利な生活で忘れがちですが、人間も動物と同じように動くこと(そして糖質制限も)が自然、いわゆる
デフォルトなのでしょうね。
不自然な生活が生活習慣病を始めとした不調の原因なのでしょうね。
鈴木 武彦さん、コメントありがとうございます。
野生の動物は、自分で食べ物を調達しなければなりませんから、動かなければ死んでしまいます。
動かず、自分の体も支えられない高齢者が非常に増加しています。