人間のほとんどの臓器は勝手に働いてくれています。しかし、筋肉はじっとしていればほとんど動きません。人体のタンパク質などの構成成分は有限なので、働かないものは必要なしと判断し、どんどん減少します。
今回の研究では、たった3日間という短期間の不使用により骨格筋がどうなるかを調べています。平均年齢32歳の健康な成人男性が対象です。(図は原文より)
上の図のように水の上で浮かんでいる状態で3日間過ごします。拷問のようですね。トイレと体重測定で毎日20分だけこの状態から解放されるだけです。
上の図は大腿の外側広筋の筋生検のものです。この実験後、図の右のように筋線維断面積 (CSA) は10.6%の大幅な減少が観察されました。
上の図は筋肉への脂肪浸潤の蓄積、つまり筋間脂肪組織 (IMAT)についてです。(A)は脂肪細胞のマーカーだそうです。(詳しくはよく知りません)3日間でこれらが顕著な増加が認められました。
(B)のようにIMAT脂肪細胞CSAも増加しました。つまり脂肪細胞の増加傾向が認められました。
これらの脂肪細胞は、筋外膜の下や筋線維の間に位置し、異所性脂肪蓄積物であり、筋細胞内中性脂肪とは異なります。IMAT は健康な人間の骨格筋に自然に存在しますが、その増加と蓄積は筋肉の機能不全、コンディションの低下、さらには再生プロセスの中断につながります。これらの脂肪浸潤の蓄積は、運動不足、除神経、糖尿病、手術などで認められ、さらにはサルコペニアなど、筋肉のコンディション低下と密接に関連していると考えられます。
腰痛のある高齢者や脊椎の手術後では脊椎の周りの筋肉は脂肪浸潤が顕著です。
今回の研究のように、たった3日間でも筋肉への脂肪浸潤が促進されてしまいます。動かないことがどれほど悪いことなのかが理解できます。
筋肉を低下させないようにするには十分なタンパク質摂取が必要ですが、タンパク質摂取だけでは筋肉の低下は防げません。(「動かないことによる筋肉の減少はタンパク質の摂取だけでは防げない」参照)筋肉は動かす必要があります。運動するかしないかで、筋肉は大きな差が出ます。(「筋肉の低下を年齢のせいにしてはいけない」参照)
そして恐らく、ケトン体は筋肉のタンパク質分解を抑制します。(「食べられないときに筋肉は分解されるのか?」参照)逆に考えれば糖質過剰摂取が筋肉の低下を促進している可能性もあります。
一度失った筋肉をもとに戻すのは非常に大変です。(「高齢者は安静にしすぎると、筋肉の回復が難しくなる」参照)
不必要な安静、休息は有害です。歩けなくなってから、痛くなってから病院に受診しても、できることは限られます。歩くことによって悪化しない多少の痛みであれば動くことは続けた方が良いことも多いでしょう。
まずは毎日の生活で筋肉を低下させないことを考えましょう。糖質制限とたっぷりのタンパク質と運動です。
「Short-term disuse promotes fatty acid infiltration into skeletal muscle」
「短期間の不使用により骨格筋への脂肪酸の浸潤が促進される」(原文はここ)
「糖質制限・蛋白質・運動」
「早寝・早起き・朝ごはん」
より良いですね。
是非何かのCMで流してもらって、
日本を健康に!
(抵抗勢力多いでしょうが)