内臓脂肪の増加は動脈硬化を悪化させる

筋肉ではなく、体に脂肪が付いての体重増加は有害です。わざわざ有害な体重増加を無理やりさせる実験で、動脈硬化がどうなるかを調べた研究があります。

対象は14人の平均年齢23歳の若者で、平均BMIも24です。体重が5kg増加するまで6~8週間、1日あたり約1000kcalの過剰なエネルギーを摂取させました。平均45日で5.1±0.1kg (4.2~5.8kg)増加でした。(図は原文より、表は原文より改変)

ベースライン体重の増加後
年齢(歳)23±1—-
体重(kg)75.3±2.980.3±3.0
BMI (kg/m 2 )24.0±0.725.7±0.7
体脂肪 (%)21.3±1.224.6±1.1
総脂肪量 (kg)15.5±1.118.9±1.1
除脂肪体重(kg)56.7±2.358.2±2.5
腹囲(cm)84.9±1.990.5±1.7
腹部総脂肪 (cm 2 )226±19271±20
腹部皮下脂肪 (cm 2 )160±13190±11
腹部内臓脂肪 (cm 2 )66±881±11
VO 2max (ml/kg/分)44.7±1.843.8±1.5
VO 2max (l/分)3.4±0.23.5±0.2
VO 2max (ml/kg FFM/分)60.7±2.060.1±1.6
心拍数 (拍/分)62±265±3
収縮期血圧 (mmHg)114±2119±2
拡張期血圧 (mmHg)75±275±2
中性脂肪 (mg/dL)92±17135±31
総コレステロール (mg/dL)134±6148±8
HDL コレステロール (mg/dL)40±240±2
LDLコレステロール(mg/dL)80±689±8

上の表はベースラインと体重増加後の様々なパラメータです。体重増加に伴って、当然様々な値が悪化しました。

上の図は動脈硬化指数と動脈コンプライアンス(伸展性)です。黒がベースラインで白が体重増加後です。体重増加により動脈硬化が13%増加し、動脈のコンプライアンスは21%低下しています。

 

上の図は内臓脂肪の増加が小さい人と大きい人の動脈硬化指数の変化と動脈コンプライアンスの変化です。白いSVFは内臓脂肪の変化が小さい人で、黒いLVFは内臓脂肪の変化が大きい人です。内臓脂肪の変化が大きい人の方が動脈硬化の悪化が非常に大きいようですね。

体重が5kg増加しただけで、動脈硬化は大きく悪化します。そして重要なのは、腹部内臓脂肪の蓄積による動脈硬化とコンプライアンスへの悪影響は、体脂肪の増加量とは無関係に発生したことです。

内臓脂肪の増加は非常に有害です。そしてそれは脂質摂取で起きるわけではなく、糖質過剰摂取、特に果糖の過剰摂取で起きます。

果糖は猛毒です。ほとんどの市販されている加工されている食品には、大量の果糖が含まれています。外食ではどれほどの果糖が含まれているかは不明です。

いずれにしても糖質制限をすれば防げます。肥満も動脈硬化も糖質過剰症候群です。

「Large artery stiffening with weight gain in humans: role of visceral fat accumulation」

「人間の体重増加に伴う大きな動脈の硬化:内臓脂肪蓄積の役割」(原文はここ

2 thoughts on “内臓脂肪の増加は動脈硬化を悪化させる

  1. お腹ぽっこりの人は、妊婦さん
    でなければほぼ内臓脂肪過剰
    なのだと思いますが、
    自覚して改善は極少数派、
    指摘してもスルーされるか、
    逆ギレが関の山、、、

    1. 鈴木武彦さん、コメントありがとうございます。

      内臓脂肪を気にしている人は非常に少ないと思います。
      内臓脂肪が多いことを知っていても減らし方を病院では教えてもらえません。

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