冠動脈疾患でインスリン抵抗性を指摘する医師はどれほどいるであろうか?

冠動脈疾患をはじめ心血管疾患は糖質過剰症候群です。それらの疾患を患った時に、診察した医師が「どんな食事をしているか?」をちゃんと聞いているでしょうか?「インスリン抵抗性」という言葉を発する医師がどれほどいるでしょうか?

今回の研究では、1998~2004年のNHANES調査からの個人別データを使用して、アメリカの20~30歳の若年成人を代表する模擬母集団を作成し、シミュレーションしています。

モデルで計算すると、現在アメリカの20~30歳の若年成人の生涯における致死的または非致死性心筋梗塞率は約43%でした。インスリン抵抗性の正常化が心筋梗塞に及ぼす影響は、インスリン抵抗性の正常化により、心筋梗塞の約42%が予防されます。(図は原文より)

 

上の図はインスリン抵抗性になる運命にある人とそうでない人の心筋梗塞の発生率を示しています。アメリカの若者の約50%はある程度のインスリン抵抗性を発症する運命にあるそうですが、ある程度のインスリン抵抗性を発症する運命にある人は、そうでない人に比べてほぼ3倍高い冠動脈疾患のリスクがあります。

インスリン抵抗性を防ぐことで心筋梗塞の約42%を防ぐことができるとされましたが、その他の要因はどうでしょうか?インスリン抵抗性の次に重要な決定要因は収縮期高血圧であり、これを予防すると心筋梗塞が約36%減少します。高血圧も糖質過剰症候群です。その次に重要な決定因子はHDLコレステロールで31%。低HDLコレステロールも糖質過剰摂取で起こります。その次がBMIで21%。当然体重増加も糖質過剰摂取で起こります。その次がやっとLDLコレステロールの登場で、16%です。しかし、実際には糖質過剰摂取ではLDLコレステロールの上昇はインスリン抵抗性で起こります。その次が中性脂肪で10%。意外と中性脂肪が低いパーセンテージになりました。その次が空腹時血糖で9%。これも意外と低いですね。しかし、空腹時血糖値が上昇するまでにはかなり時間がかかりますからね。同じく9%で喫煙です。そして家族歴は4%しかありません。

まあ、つまり糖質制限をすれば冠動脈疾患のほとんどを予防できると考えられます。

しかし、いまだに医師はLDLコレステロールだけに固執しているでしょう。食事に関するアドバイスがある場合でも、コレステロールや脂質、塩分の摂り過ぎに注意してくださいという程度でしょう。根本原因に触れないようにするのが今の医療です。食事で病気が予防できたり、治療できたりしたら商売になりません。

 

「Relationship of insulin resistance and related metabolic variables to coronary artery disease: a mathematical analysis」

「インスリン抵抗性および関連する代謝変数と冠動脈疾患との関係: 数学的分析」(原文はここ

2 thoughts on “冠動脈疾患でインスリン抵抗性を指摘する医師はどれほどいるであろうか?

  1. 検査は大事ですが、あくまで
    健康維持の手段の一つ。
    今の医療は
    薬による数値改善が主目的に
    なってしまっているように
    感じます。

    1. 鈴木武彦さん、コメントありがとうございます。

      数字、グラフ、統計のマジックは人を簡単に納得させてしまう素晴らしいアイテムです。
      それをどう使うかが問題ですし、情報を受け取る側も疑ってみて自分で考える姿勢が必要です。
      今回の新しい新型コロナのワクチンの抗体価も誤差レベルでしか増加していないのに、
      抗体価が数倍になったことだけが強調されて、考えることを知らない日本人は騙されっぱなしです。
      我々の次の世代までに日本がもつかな?と真剣に危惧しています。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です