以前の記事「糖尿病治療薬SGLT2阻害薬は下肢切断を増加させるかもしれない!」で書いたように、SGLT-2阻害薬には下肢切断リスク増加の懸念があります。(その論文はここ)
CANVAS試験と言われるもので、利益相反たっぷりで、製薬会社がスポンサーになっているにもかかわらず、下肢切断リスクがおよそ2倍になる結果になったので、恐らく製薬会社は慌てたでしょう。その後いくつもの論文が出てくれば、当然そこでメタアナリシスが行われるので、下肢切断リスクを薄めるためのリスク増加がない論文およびリスク低下論文をいくつも用意すれば、分析の結果はリスクなしとなるでしょう。
しかも、プラセボと比較せず、他の薬と比較するという研究にすれば、SGLT-2阻害薬のリスクが非常に分かりづらいものになります。
例えばこの論文。(論文はここ、図はこの論文より)
上の図はSGLT-2阻害薬とGLP-1薬、DPP-4阻害薬、他の糖尿病薬との下肢切断リスク等の比較です。GLP-1とは有意な差はありませんが、DPP-4阻害薬や他の糖尿病薬よりもSGLT-2阻害薬はリスク低下を認めています。この研究も利益相反バリバリです。
SGLT-2阻害薬のリスクが非常に分かりづらくなるのは、どの糖尿病薬も下肢切断リスクを上げている可能性もあるからです。
例えばある論文では、インスリンはもちろん、経口糖尿病薬で下肢切断リスクは増加しています。(この論文参照)食事療法のみと比較してインスリン使用の2型糖尿病で2.41倍、経口糖尿病薬使用の2型糖尿病で1.62倍です。もちろん、インスリンを使用しなければならないほど糖尿病が悪化していたとも考えられますが、インスリンを使うほど悪化するまで糖質過剰摂取を続け、その後も糖質過剰摂取を続け、さらに血管損傷を悪化させたとも考えられます。いずれにしても薬を使うことで、下肢切断リスクは低下しないでしょう。
最近でもやはり、このSGLT-2阻害薬の下肢切断リスクを増加させるという研究が出てきています。(図は原文より、表は原文より改変)
1年 | 2年 | 3年 | 4年 | |
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SGLT2 | 0.33% (0.17~0.63%) | 0.66% (0.39 ~ 1.11%) | 1.14% (0.72~1.80%) | 2.15% (1.33~3.47%) |
DPP-4 | 0.37% (0.20~0.69%) | 0.70% (0.42~1.15%) | 0.77% (0.47~1.25%) | 0.77% (0.47~1.25%) |
累積ハザード比 | 0.89 (0.36–2.20) | 0.94 (0.45 ~ 1.95) | 1.48 (0.76–2.91) | 2.81 (1.63–4.84) |
上の表、図は4年間までの下肢切断の累積リスク、累積確率です。SGLT-2阻害薬とDPP-4阻害薬では2年間までは同じような感じですが、3年目からSGLT-2の方が多くなりはじめ、4年間では大きく差があり、SGLT-2はDPP-4の2.81倍もリスクが高くなっていました。SGLT-2阻害薬も長期に使えば危険なのかもしれません。
一応この研究では利益相反はなさそうです。
もちろん、メタアナリシスはこれらをまとめるので、リスクが高いのと低いのが集められれば、関連なしの結論になるのは当然かもしれません。実際にメタアナリシスは下の図のようです。(図はこの論文より)
上の図のようにトータルで見るとリスクは0.98でDPP-4と比較してもSGLT-2は下肢切断リスクが高くなるわけではありません。しかし、先ほども言ったように、DPP-4と比較するので本当の危険はわかりにくくなっています。本当は他の薬ではなく、プラセボや食事のみと比較しなければ本当の危険性はわからないでしょう。
いずれにしても、副作用のない薬は存在しません。糖尿病は糖質過剰症候群なので、薬で治療するのではなく糖質制限をしましょう。そうすれば下肢切断リスクなんて考えなくてもよくなると思います。
そして、糖尿病の標準治療の失敗が下肢切断を招いているのだと思います。それについては次回以降で。
「Risk of lower extremity amputations in patients with type 2 diabetes using sodium-glucose co-transporter 2 inhibitors」
「SGLT-2阻害薬を使用する2型糖尿病患者における下肢切断のリスク」(原文はここ)
そもそも「治療薬」と名乗っている
薬の「下肢切断リスク」が
論じられている時点で、
糖尿病に関しては、
いわゆる「標準治療」のレール
には絶対のりたくない。
鈴木武彦さん、コメントありがとうございます。
仰る通り、健康であれば下肢切断リスクなんてないはずですからね。
治療が成功していない証拠ですね。
糖質漬けが標準でそこから出発していますから、何をしてもダメですよね。甘いもの(甘くなるもの)を水分60%の体に入れて排泄させても、無かったことにはなりませんから。結句砂糖漬けになって、雑菌が繁殖して中から腐敗するのでは?くわばらくわばら。
ミンミンさん、コメントありがとうございます。
SGLT-2阻害薬は現在、持ち上げられ過ぎではないかと思います。
将来スタチンのようにならなければ良いですが。