冠動脈アテローム性動脈硬化症における糖化LDL

LDLコレステロールはいまだに心血管疾患の原因だと考えている人がいます。そもそもLDLとコレステロールを一緒に考えている人さえいます。どちらも人間にとっては重要ですが、問題はLDLの質でしょう。

今回の研究では、冠動脈のアテローム性動脈硬化症が原因の心筋梗塞と診断された200人と健康な人(実際には糖尿病や高血圧などがある人もいるので全員が健康な人ではありませんが)230人を比較しています。

下の表はそれぞれのグループの血中脂質と血糖値を示しています。(図は原文より、表は原文より改変)

症例群対照群
中性脂肪 (mg/dL)120107
総コレステロール (mg/dL)171192
HDL-C (mg/dL)43.356.1
LDL-C (mg/dL)104118
空腹時血糖 (mg/dL)14193
HbA1c (%)6.15.7

症例群と対照群の性別と年齢の分布は同等でした。 上の表のように心筋梗塞患者の空腹時血糖とHbA1cは、対照患者よりも高くなっていました。興味深いことに、症例群の方がLDLコレステロール、総コレステロールが対照群よりも低くなっています。やはりコレステロールと冠動脈疾患は関係ないですね。

上の図は(A)が糖化LDL、(B)が糖化HDLです。左が症例群、右が対照群です。どちらも対照群と比較して症例群で高くなっています。 糖化LDLは、空腹時血糖およびHbA1cと相関していますが、LDLコレステロールとは無関係でした。

アテローム性動脈硬化症はプラークにコレステロールが認められるからといって、コレステロールが原因であるという仮説は非常に短絡的です。高脂血症、特にLDLコレステロールは医療の標的になっています。しかし、今回の研究でも症例群の方がLDLコレステロールが有意に低くなっていました。

LDLやHDLの質に違いがあり、症例群では糖化LDL、糖化HDLが多くなりました。修飾されたリポタンパク質と正常な良質のリポタンパク質は違います。LDLコレステロール値を測定しても質はわかりません。しかし、糖化や酸化は高血糖で起こりやすくなることを考えれば、当然空腹時血糖や食後高血糖があるとリポタンパク質の質は低下するでしょう。

心血管疾患は糖質過剰症候群です。LDLコレステロールなんて気にせず糖質制限をしましょう。

「Study on the levels of glycosylated lipoprotein in patients with coronary artery atherosclerosis」

「冠動脈アテローム性動脈硬化症患者における糖化リポタンパク質のレベルに関する研究」(原文はここ

4 thoughts on “冠動脈アテローム性動脈硬化症における糖化LDL

  1. 清水先生。いつも書籍やブログ拝見させて頂き、勉強しております

    私も1年以上糖質制限しており、血液検査ではケトン体濃度が5000μmol/lを未だに超えています。1日の糖質量は20gを超えることは無いと思います(ほぼナッツの糖質量だと思います)

    LDLコレステロールは300くらいで急増しましたが、HDLコレステロールも100くらいで中性脂肪は40、hba1cも4.3以下くらいなので気にしておりません

    糖質制限をするようになってから、何故か喉が渇くので水と塩分を多く補給するようになりました。1日4ℓ以上は水を飲みます。身体の電解質が薄まらないよう塩分も出来るだけ摂るようにしてます。その影響なのか多尿になりました

    先生も水分は多く取られるでしょうか

    1. いのっちさん、コメントありがとうございます。

      糖質制限は水分も塩分も出しますので、水分や塩分はたっぷり摂ります。
      ただ人と比較したことがないのと、どれくらい飲んでいるかは考えたことがないのでよくわかりません。
      喉が渇いたり、飲みたい欲求があれば飲むというスタイルです。

  2. 不調は突然やってきますが、
    それまでには
    貯金ならぬ貯AGEが
    たくさんあったのでは
    ないでしようか?

    1. 鈴木武彦さん、コメントありがとうございます。

      仰る通りで、様々な有害なものの蓄積で症状が突然出ると思います。
      その前に食事を改善することが必要でしょうね。

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