スタチンの副作用は心臓にまで起こる

スタチンは様々な副作用をもたらします。副作用のない薬はないのですが、許容範囲の副作用であれば仕方がないと思うかもしれません。

例えばちょっとした眠気、腹部膨満感などが一時的であれば良いと思う人もいるでしょう。しかし、その副作用によって別の治療が必要であれば本末転倒だと思います。

特にLDLコレステロールが高いだけで、何も症状がないのに、スタチンを飲んで副作用に悩まされてしまう、さらに副作用がひどく、日常生活にも支障があったり、副作用に対する治療が必要になったりするのであれば、非常に問題です。

今回の研究では、初診時にスタチン療法(平均28か月)を受けていた連続50人の循環器内科新規患者を対象に、スタチンの副作用(筋肉痛、倦怠感、息切れ、記憶障害、末梢神経障害)の可能性について評価しました。44〜84歳で平均年齢は60歳でした。患者全員が主訴として1つ以上のスタチン関連の副作⽤を⽰したため、スタチンは初診時に中⽌され、すべての患者が同時にコエンザイムQ10(CoQ10)を開始しました。(CoQ10はミトコンドリアにおいてエネルギーを作り出すのに必須のものです。また抗酸化作用もあります。)

患者は平均22.4か⽉ (2〜41か⽉の範囲) 追跡され、84%が12か⽉以上追跡され、51%が24か⽉以上追跡されました。(図は原文より)

上の図は初診時の診断です。上から順に(心臓の)拡張機能障害、特発性拡張型⼼筋症、虚⾎性⼼疾患、⾼⾎圧、糖尿病、肺気腫、うっ⾎性⼼不全、⼼嚢液貯留、⼼臓弁膜症、不整脈、末梢⾎管疾患です。

上の図は初診時の症状と最も最近の再診時の症状の有病率です。症状は上から筋⾁痛、倦怠感、息切れ、記憶障害、末梢神経障害です。倦怠感はなんと初診時に84%でしたが、スタチン中止で16%にまで減少、筋肉痛は64%でしたが、そのうち2人は軽度のクレアチニンキナーゼ(CK)上昇でした。筋肉痛はスタチン中止で6%にまで減少しました。息切れは⼼筋機能障害(駆出率の低下、拡張機能障害、またはその両⽅)または慢性閉塞性肺疾患を伴っていましたが、58%と多く、スタチン中止で12%にまで減少しました。記憶障害は興奮性や性格の変化を伴っており、8%から4%に半減、末梢神経障害(下肢の感覚喪失や感覚異常)も10%から2%に減少しました。

最も重篤な症状は、⾼齢の患者、およびスタチンの使⽤期間が最も⻑い患者で観察される傾向が強くありました。ほとんどの症状はスタチン中止とCoQ10開始で急速に改善されました。倦怠感と筋⾁痛は1か⽉の追跡調査までに改善し始め、3か⽉の追跡調査までにかなり⼤幅に改善されました。息切れは、特に慢性閉塞性肺疾患の患者では予測しにくいものでした。記憶障害と末梢神経障害は6〜12か⽉かけてゆっくりと改善しましたが、⼀部の患者は1年以上の追跡調査後でも残存症状を伴う重⼤な問題を抱えていました。

さらに重要なことは、スタチンの中⽌による悪影響の証拠は⾒られなかったことです。患者の84%が1年以上追跡調査されており、⼼筋梗塞や脳卒中の症例は観察されていません。死亡者は3⼈で、うち2⼈は喫煙者の肺がん、1⼈は⼿術不能な重度の⼤動脈弁狭窄症が原因でした。追跡調査中に冠動脈バイパス移植⼿術を受けた患者は1⼈だけでした。スタチンの中⽌後に狭⼼症が加速したりまたは不安定狭⼼症が発⽣した例は観察されませんでした。

上の図はスタチン中止による心機能の変化です。細かい内容は割愛しますが、50⼈の患者のうち28⼈で初回およびフォローアップの⼼エコーの所見が得られました。左⼼室駆出率は患者の50% で平均8.5ポイント改善しましたが、35.7%の⼈では変化がありませんでした。悪化したのはわずか14.3%でした。

拡張機能障害を示したのは13⼈および16人でしたが、そのうち46.2%から50%は改善し、15.4%と25%は変化がありませんでした。

6⼈の患者は初診時に左⼼室の拡⼤を⽰し、3⼈の患者は⼼臓サイズが平均0.7cm減少し、3⼈の患者は本質的に変化がありませんでした。

少なくともスタチンを使用して心機能の低下を起こしていた人の半分の人はスタチン中止で改善しています。つまり、スタチンには心毒性があるのです。心機能を低下させるのです。一般的には心臓を助けると思われているスタチンですが、実際には心臓にも様々な副作用があるのです。

今回の研究は以前に書いた「スタチンの心毒性」の前段階で行われた研究です。「スタチンの心毒性」も参照していください。スタチンは「スタチンでLDLコレステロール値の低い心不全患者の方が死亡率が高い」「スタチンと心房細動」で書いたように、心臓に有害な薬です。心血管疾患を予防するといいながら心臓を悪くさせます。患者は薬のせいではなく、自分の体が悪くなっていると思ってしまい、さらに薬に対する依存が増す可能性があります。

スタチンは良く知られている副作用の筋障害や糖尿病だけでなく、様々な副作用を起こします。

スタチンを飲んだ後にあなたに起きた様々な症状はスタチンの副作用ではありませんか?あなたのスタチンは本当に必要ですか?

 

「Treatment of statin adverse effects with supplemental Coenzyme Q10 and statin drug discontinuation」

「コエンザイムQ10のサプリメントとスタチン薬の中止によるスタチン副作用の治療」(原文はここ

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