糖質制限ではLDLコレステロール上昇は珍しくありません。もちろん個人差がありますが、LDLコレステロールの変化は何に関連しているのでしょうか?
今回の研究では、1日あたり炭水化物摂取量が130g未満を糖質制限として、いくつもの研究のメタアナリシスを行いました。45の低炭水化物食試験で、1379人が対象となります。平均介入期間は19.4週間です。BMI、炭水化物摂取量、飽和脂肪摂取量、体重減少量はLDLコレステロールの変化のばらつきの51.4%を説明しました。BMIはLDLコレステロール変化と強く関連していました。(図は原文より)
上の図は平均ベースラインBMIとLDLコレステロール変化の関係です。Aは対象となるすべての試験を含む低炭水化物食で、Bは参加者がスタチン治療を受けた試験を除く低炭水化物食、Cは328人の個人データで、Dは312人の個人データの高炭水化物食のものです。糖質制限のAおよびBでは、BMIが25未満の場合、LDLコレステロールは大きく増加し、平均BMI25~35では変化なし、35以上では減少しました。個人データではBMIが30弱くらいよりも低いとLDLコレステロールが大きく増加しています。高炭水化物食は変化なしです。
上の図は個人データを使用して、A:低炭水化物食、B:高炭水化物食でのLDLコレステロール変化を示しています。縦軸LDLコレステロール変化、横軸ベースラインBMI、Z軸飽和脂肪酸です。
LDLコレステロール変化に対してBMIが飽和脂肪よりも大きな影響を及ぼしました。飽和脂肪酸の摂取量が7%から21%に増加するとLDLコレステロールは糖質制限では14mg/dL増加、高炭水化物食では9mg/dLの増加でした。しかし糖質制限のLDLコレステロール変化はBMI35からBMI20になると38mg/dL増加します。
この結果はこれまでの記事「糖質制限でLDLコレステロールが大きく上昇する人の特徴」「糖質制限でLDLコレステロールが上昇しやすい人はT3とBMIが低い」「糖質制限は一部の人のLDLコレステロールを劇的に上昇させる」などで書いたことと同様です。前回の記事「糖質制限によるLDLコレステロール上昇にはスタチンよりもオレオクッキーが効果的?」の実験の対象者もBMIが低い人でした。
脂質を悪玉だと思っている人は、この飽和脂肪酸摂取量の3倍の摂取でLDLコレステロールが14mg/dL増加することも強く指摘するかもしれません。さらに、BMIに関わらず、糖質制限でLDLコレステロール増加を心血管疾患リスクの増加だ、と騒ぐでしょう。
そのような人は、糖質制限で得られる他の利点を無視します。具体的には糖質制限では、小さなLDL粒子(sdLDL)の減少、中性脂肪の減少、HDLコレステロール増加、リポタンパク質(a )Lp(a)の減少および食後高血糖、インスリン抵抗性、慢性炎症、高血圧の改善、体重の減少が得られます。糖質制限反対派、特に専門家はスタチンなどしか武器を持たないため、それに則したこと、つまりLDLコレステロールのことしか攻撃ができません。LDLコレステロール増加=心血管疾患リスク増大を手放すことはできないのです。
LDLコレステロールが高い方が長生きだと言われています。あなたはLDLコレステロール増加以外、様々な有益だと考えられる変化が起きる糖質制限と、LDLコレステロールを下げることはできるけれども、様々な有害な作用を有したスタチンのどちらを信じますか?
「Increased LDL-cholesterol on a low-carbohydrate diet in adults with normal but not high body weight: a meta-analysis」
「正常体重ではあるが体重が高くない成人における低炭水化物食による LDL コレステロールの増加:メタ分析」(原文はここ)
糖質制限一択ですね。
鈴木武彦さん、コメントありがとうございます。
ですね
清水先生、こんにちは。
私も糖質制限を始めてLDLコレステロールが上昇したので、糖質摂取量を少し増やしてみようと思ったことがありました。
今では気にしていませんが、人間ドックを乗り切るのが大変です。
単に、LDLやHDLの高い、低いだけでなく、それらの質を評価するようになればいいのですが、検査費用が高くなり、むずかしいのかもしれません。
じょんさん、コメントありがとうございます。
検査費用というよりも、スタチンのせいです。
スタチンを売るためには、LDLコレステロールが悪でないと困るのです。