持久系アスリートにおける糖質制限と脂質制限

持久系アスリートにおける糖質制限と脂質制限では、血中の脂質にどのような違いが現れるでしょうか?

今回の研究では、7人の男性の持久系アスリートを対象に、6週間の糖質制限と脂質制限を行ってもらいました。糖質制限と脂質制限の間は2週間ウォッシュアウト期間が設けられています。参加者は平均年齢35.6歳、BMI21.5、体脂肪率5.0%、1週間あたりの走行距離63.0km、ランニング歴15.1年、VO2max 61.9mL/kg/minで、5kmを21分未満で走れる人たちです。

糖質制限は炭水化物50g/日未満、脂質75~80%、タンパク質15~20%、脂質制限は炭水化物60~65%、脂質20%、タンパク質15~20%です。(図は原文より)

上の図は糖質制限中の毎週のケトン体(βヒドロキシ酪酸)の平均値です。自己申告で炭水化物摂取量は43g/日であったにもかかわらず、ケトン体が0.5mMを上回ったのは2人だけでした。ちゃんと糖質制限できなかったか?適応力があり、すぐにケトン体をエネルギーにしてしまったか?わかりません。ちなみに、脂質制限中の炭水化物摂取量は402g/日でした。

上の図は赤が糖質制限、青が脂質制限での血中の脂質のパラメータのベースラインからの変化量の推移です。Aが総コレステロール、BはHDLコレステロール、CはLDLコレステロール、Dは中性脂肪、Eは中性脂肪/HDLコレステロール比、Fは総コレステロール/HDLコレステロール比です。

糖質制限では総コレステロール、HDLコレステロール、LDLコレステロールが増加しました。LDLコレステロールは40mg/dL以上も増加しています。

脂質制限はHDLコレステロールが減少傾向を示し、中性脂肪および中性脂肪/HDLコレステロール比が28日目に上がっていましたが、なぜか42日目にはベースラインにもどっています。適応でしょうか?

中性脂肪はもともとがそれほど高くなく、しかもアスリートなので、どちらの食事でも変動が少ないのかもしれません。

全体として、どちらの実験条件でも運動パフォーマンスに悪影響はありませんでした。

糖質制限でLDLコレステロールは増加しますが、通常糖質制限では大きなフワフワした良質のLDLが増加し、小さな危険なsdLDLは減少するとされています。

以前の記事「糖質制限でLDLコレステロールが大きく上昇する人の特徴」で書いたように、「除脂肪体重ハイパーレスポンダー」表現型と呼ばれる、LDLコレステロールが上昇するタイプの人がいます。特徴は痩せているまたは筋肉量が少なく、もともとのHDLが高く、中性脂肪が低い人である可能性があります。持久系の運動を習慣的に行っている人では、BMIが低く、筋肉もマッチョタイプではないので、LDLコレステロールが上がりやすいのでしょう。

「The Effects of Carbohydrate versus Fat Restriction on Lipid Profiles in Highly Trained, Recreational Distance Runners: A Randomized, Cross-Over Trial」

「高度にトレーニングされたレクリエーション長距離ランナーの脂質プロファイルに対する炭水化物制限と脂肪制限の効果: 無作為化クロスオーバー試験」(原文はここ

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