がんもメタボリックシンドロームも糖質過剰症候群です。だからメタボの人ががんのリスクが高くなっても不思議ではありません。
今回の研究では、メタボリックシンドロームの1回の評価だけでなく、メタボの軌跡パターンでがんのリスクがどうなるかを分析しました。
平均年齢49歳の44,115人が対象で、2006年から2010年の間にメタボがどうなったかで分類しています。全体的なメタボリックシンドロームスコアは、中心性肥満、中性脂肪の増加、HDLコレステロールの減少、血圧の増加、空腹時血糖の増加など、メタボの構成要素を合計することによって計算され、スコアの範囲は0(最高)から5(最悪)です。(図は原文より、表は原文より改変)
上の図は4年間のメタボの軌跡パターンです。低安定パターンは、一貫して低いメタボスコアを維持した4,657人(10.56%)でした。中程度-低パターンは、一貫して中程度から低スコアを維持した18,018人(40.84%)でした。中程度から高のパターンには、中程度-高パターンは 中程度から高スコアを一貫して維持した18,288人(41.46%)でした。上昇-増加パターンは 3,152人(7.14%)で、最初にスコアが上昇していて、時間の経過とともに増加しました。
その後2010年から2021年の追跡期間中、追跡期間中央値は9.4年で2,271人ががんと診断されました。
MetS軌跡パターン | 調整済みモデル |
---|---|
HR (95% CI) | |
低安定パターン | 1 |
中-低パターン | 1.02 (0.86–1.19) |
中-高パターン | 1.07 (0.91–1.26) |
上昇増加パターン | 1.27 (1.04 ~ 1.55) |
2006年から2010年まで一貫してメタボスコアが3を超えていた上昇増加の軌跡パターンを持つ人は、がん全体のリスクが低安定パターンと比較して1.27倍でした。
特定のがん部位 | MetSの軌跡パターン | |||
---|---|---|---|---|
低安定 | 中-低 | 中-高 | 上昇増加 | |
肺癌 | 1 | 1.06 (0.77、1.47) | 1.02 (0.74、1.41) | 1.28 (0.85、1.91) |
乳がん | 1 | 0.99 (0.51、1.89) | 1.23 (0.64、2.37) | 2.11 (1.04、4.34) |
子宮内膜がん | 1 | 1.11 (0.51、2.90) | 1.56 (0.57、5.33) | 3.33 (1.16、6.77) |
白血病 | 1 | 0.57 (0.12、2.87) | 0.90 (0.20、4.08) | 1.15 (0.19、7.12) |
リンパ腫 | 1 | 0.44 (0.11、1.76) | 1.12 (0.32、3.88) | 1.63 (0.36、7.42) |
腎臓がん | 1 | 1.16 (0.33、4.05) | 1.88 (0.55、6.37) | 4.52 (1.17、10.48) |
膀胱がん | 1 | 0.78 (0.34、1.80) | 0.86 (0.38、1.94) | 0.70 (0.22、2.22) |
前立腺がん | 1 | 1.10 (0.24、4.97) | 3.44 (0.83、14.31) | 3.76 (0.76、18.74) |
膵臓癌 | 1 | 2.26 (0.53、9.65) | 2.30 (0.54、9.80) | 2.42 (0.44、13.39) |
頭頸部がん | 1 | 1.01 (0.68、1.52) | 1.05 (0.70、1.57) | 1.09 (0.65、1.82) |
食道がん | 1 | 1.18 (0.45、3.09) | 1.73 (0.68、4.40) | 0.55 (0.11、2.83) |
胃癌 | 1 | 0.93 (0.50、1.74) | 1.09 (0.59、2.02) | 1.56 (0.74、3.28) |
結腸直腸がん | 1 | 1.13 (0.72、2.46) | 1.59 (0.87、2.91) | 2.54 (1.27、5.09) |
肝臓がん | 1 | 0.99 (0.53、1.85) | 1.39 (0.75、2.57) | 1.61 (1.09、4.57) |
胆嚢がんまたは肝外胆管がん | 1 | 0.55 (0.11、2.84) | 0.71 (0.14、3.46) | 1.27 (0.18、9.18) |
上の表は部位別のリスクです。メタボスコアが3を超えていた上昇増加の軌跡パターンを持つ人は、低安定パターンと比較して、乳がん2.11倍、子宮内膜がん3.33倍、腎臓がん4.52倍、結腸直腸がん2.54倍、肝臓がん1.61倍でした。
メタボを維持し続けることは、がんのリスク増加につながります。中心性肥満、中性脂肪の増加、HDLコレステロールの減少、血圧の増加、空腹時血糖の増加のどれかでも引っかかるのであれば、すぐに糖質制限で改善が必要です。
「The association of metabolic syndrome scores trajectory patterns with risk of all cancer types」
「メタボリックシンドロームスコアの軌跡パターンとあらゆる種類のがんのリスクとの関連性」(原文はここ)
癌は、その発症要因や予防法、
治療にいたるまで情報過多で、
何が自分に有用か、判断しかねます。
ただ、生活習慣による発症が
多い事は間違いないでしょうから、
糖質制限で健康な身体を維持するようにしたいですね。
鈴木武彦さん、コメントありがとうございます。
病気になっても医療に頼るだけで、生活を見直す人は多くはないでしょう。
食事は本当は根本であるはずなのに。
食事を見直しても、医師や栄養士はバランスや3食しっかりと食べることが重要だと言って、
結局何も食事を見直していないのと同じになってしまうことも多いでしょう。