PPI(プロトンポンプ阻害薬)と尿路結石

PPI(プロトンポンプ阻害薬)は非常に多くの副作用が起こる可能性があります。先日の記事「PPI(プロトンポンプ阻害薬)だって腎機能障害を起こすのに」では腎機能障害のリスク増加について書きました。

今回の記事は、腎臓に関しての別の副作用、尿路結石(腎臓結石、尿管結石)のリスクについてです。

ある研究では、PPIは腎臓結石の発症、再発の可能性を共に増加させています。(この論文参照、図はこの論文より)

上の図のAは腎臓結石の発症、Bは再発の可能性で、横軸はPPIの使用年数です。年数が増加するほどリスクは高まるようです。

PPIの使用は腎臓結石が1.31倍になり、PPIの使用が1年増えるごとに、腎臓結石の有病率は4%増加しました 。さらに、PPIの使用は腎臓結石の再発の可能性を1.49倍にし、PPIの使用が1年増えるごとに7%増加します。

PPI使用に伴う低マグネシウム血症、低尿中マグネシウムおよび低クエン酸尿は、腎臓結石のリスクに寄与する可能性があります。(ここ参照)

別の研究でも、PPIは尿路結石のリスク増加を示しています。この研究では、28,962人の尿路結石症患者と115,848人の対照を分析しています。下の表はPPI非使用者と比較したPPI使用者の尿路結石の可能性についてです。(表は原文より改変)

オッズ比 (95% 信頼区間)
PPI使用
過去のPPI使用1.37 (1.29–1.47)
現在のPPI使用2.49 (2.33–2.66)
PPI使用期間
1日以上、30日未満1.65 (1.54 ~ 1.77)
30日以上 365日未満1.97 (1.84–2.11)
365日以上2.31 (2.14–2.49)

以前PPIを使っていた場合、尿路結石の可能性は1.37倍、現在PPIを使用している人では2.49倍でした。またPPIの使用期間が長くなるほど尿路結石の可能性は高くなり、30日未満では1.65倍ですが、1年以上だと2.31倍にもなります。

H2ブロッカーという胃酸を抑える薬でも尿路結石のリスクは高くなるようですので胃酸分泌抑制が大きな問題なのでしょう。(ここ参照)

PPI使用者の中で胃食道逆流症(逆流性食道炎)の人も多いでしょう。そして、胃食道逆流も糖質過剰摂取で起こります。胃酸は必要だから分泌されています。進化の過程で胃酸が分泌されない状態に人間が置かれたことはありません。人間のメカニズムを無視したPPIが人体に与える影響は甚大です。PPIは最悪のマッチポンプ薬のひとつです。

「Association between Urolithiasis and History Proton Pump Inhibitor Medication: A Nested Case-Control Study」

「尿路結石とプロトンポンプ阻害薬による薬物療法の病歴との関連性: ネステッドケースコントロール研究」(原文はここ

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