サプリや健康食品が健康被害を起こすと大騒ぎです。しかし病院で処方されている薬は大丈夫ですか?
以前の記事「PPI(プロトンポンプ阻害薬)は腎臓にも良くない」「PPI(プロトンポンプ阻害薬)は慢性腎疾患や末期腎不全を増加させる」などで書いたように、PPIは腎機能障害も起こす薬です。
PPIの腎機能障害性の研究は他にもいっぱいあります。例えば、アテローム性動脈硬化症リスク(ARIC)研究の参加者10,482人を追跡調査した研究では、PPIを使用していない人と比較して慢性腎臓病のリスクは1.5倍、急性腎障害のリスクは1.64倍でした。(ここ参照)
別の研究を見てみましょう。(ここ参照、表はこの論文より改変)5,636人を追跡調査した研究で、PPI使用者は非使用者よりも高い慢性腎臓病リスクを示しています。
調整後のHR (95%CrI) | |
PPI非使用者との比較 | 1.39 (1.15–1.61) |
用量。標準 | 1.33 (0.90–3.31) |
用量。高用量 | 2.21 (1.15–3.76) |
PPI 曝露期間 | — |
1か月未満 | 1.20 (0.50 ~ 3.51) |
1~3ヶ月 | 1.22 (0.59–3.63) |
3~6ヶ月 | 1.42 (1.11–2.11) |
> 6か月 | 1.61 (1.08–2.73) |
上の表のように、PPI非使用者と比較して、PPI使用者の慢性腎臓病リスクは1.39倍で、高用量のPPIを使うと2.21倍にもなりました。さらにPPI使用期間が3か月以上になると有意に慢性腎臓病リスクが上がり、6か月以上では1.61倍でした。
では、もう一つ、専門家大好きメタアナリシスを見てみましょう。約260万人の患者を対象とした4件のコホート研究と5件の症例対照研究が含まれていました。このうち534,003人 (20.2%) が PPI使用者でした。分析の結果、PPI使用者は急性腎障害のリスクが1.44倍、急性間質性腎炎のリスクが何と3.61倍!、慢性腎臓病が1.36倍、末期腎不全が1.42倍でした。
サプリで腎機能障害が起きれば自主回収されますが、薬で問題が起きても、漫然と処方され続けることがあります。まるでその薬が原因ではないかのように。
可逆的で一時的な深刻ではない症状であれば副作用としても良いと思いますが、その薬を飲んで他の疾患を惹起することは副作用ではなく健康被害です。
胃酸を抑えるPPIを飲んで腎機能障害を起こしたり、症状は無いのにLDLコレステロールが高いというだけでスタチンを飲んで糖尿病になったりすることは、副作用ですか?副作用として受け入れるべきですか?
「The association between proton pump inhibitor use and the risk of adverse kidney outcomes: a systematic review and meta-analysis」
「プロトンポンプ阻害薬の使用と腎臓への有害転帰のリスクとの関連性:システマティックレビューとメタアナリシス」(原文はここ)
副作用が起きると「待ってました!」
と言わんばかりに副作用を抑える薬を
処方するの、
やめて欲しいです。
鈴木 武彦さん、コメントありがとうございます。
それは恐らくやめられません。
現代の医療のビジネスモデルだからです。