新たにがんと診断された患者でもLDLコレステロールが低いほど死亡率が高い

LDLコレステロールは、相変わらず悪者扱いですが、LDLコレステロールが高い方が死亡率が低いことは専門家は教えてくれません。

今回の研究では、新たにがんと診断された患者におけるコレステロール値と全原因死亡リスクとの関連性を分析しています。追跡期間中央値は5.77年で、59,217人のがん患者のうち、12,624人が死亡しました。総コレステロール、LDLコレステロール、HDLコレステロール、中性脂肪の値によって、パーセンタイル(データを小さい順で並べたとき、データの小さい方から見て何%の位置にあるかを表すもの)で分類して、死亡リスクを調べました。(図は原文より)

総コレステロールが61~80パーセンタイル (172~196 mg/dL) と比較して、1~5パーセンタイル (≤ 97 mg/dL) のがん患者の全原因死亡リスクは1.54倍でした。96~100パーセンタイル (> 233 mg/dL) では1.28倍でした。

LDLコレステロール値が61~80パーセンタイル(115~136 mg/dL) と比較して、1~5 パーセンタイル (≤ 57 mg/dL) のがん患者の全原因死亡リスクは1.38倍でした。しかし、96~100パーセンタイル (> 167 mg/dL)では0.94倍でした。つまり、LDLコレステロール値は低いほど死亡率が高いのです。

HDLコレステロール値と全原因死亡率の関連はQ4(> 61 mg/dL)と比較して、Q3(50~61 mg/dL)で1.27倍、Q2(40~50 mg/dL)で1.66倍、Q1(≤ 40 mg/dL)で2.10倍と、HDLコレステロールが低いほどリスクが高くなりました。

中性脂肪値と死亡リスクの間には関連は認められませんでした。

上の図は総コレステロールと全原因死亡リスクとの関連です。最も低い死亡リスクと関連付けられた総コレステロール値は181mg/dLでした。

上の図はLDLコレステロールと全原因死亡リスクとの関連です。LDLコレステロール値が142 mg/dLで最低の死亡リスクと関連していました。しかし、それよりもLDLコレステロール値が高くてもリスクは上がっていません。逆に低いほど死亡リスクが高くなっています。

LDLやHDLは免疫に関与しています。それらが低いということは免疫の低下と関連している可能性があります。がんに対する免疫も低下している可能性が高いでしょう。

LDLコレステロールを下げる必要はありません。LDLは量よりも質です。数値ばかり気にする医師は、スタチン御用達医師であり、患者を診ていません。LDLコレステロールの数値が低ければ健康であるという根拠は存在しません。むしろLDLコレステロールが低いと死亡率が高くなるという根拠はいっぱいあります。

「Association between total cholesterol levels and all-cause mortality among newly diagnosed patients with cancer」

「新たにがんと診断された患者における総コレステロール値と全原因死亡率との関連性」(原文はここ

2 thoughts on “新たにがんと診断された患者でもLDLコレステロールが低いほど死亡率が高い

  1. 処方ありきで、手段が目的より
    優先的になってしまっているのですね。

    定説は、思考停止を招いて
    覆り難いですね。

    1. 鈴木武彦さん、コメントありがとうございます。

      コレステロールビジネス、スタチンビジネスなどに気が付いていない人が多いですね。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です