牛乳って危ない? その1

これまでに私のブログで公開した記事は2000以上にもなります。最初のうちは何を書いたか、どこに書いたかほとんど把握していましたが、今では書いている途中に、何か書いた覚えがあるな?とか思って探してみると、同様な記事が見つかることも珍しくありません。一応同じ記事を書かないようには心掛けていますが、恐らくすでに重複している記事が存在していると思います。

今回の記事は、実は書いた記憶がありますが、どこに書いたか見つけられません。何回も探していますが、2000以上に記事を全部見返す気にはなりません。(もしかしたら全く書いていないかも、私の妄想かもしれません)なので、今回はもし以前に書いていたとしても、自分の備忘録としてのブログの意味を考えて、もう一度(?)書きます。

今回の記事(シリーズ)は、牛乳についてです。私自身は牛乳は飲みませんし、リスクのある食品だと思っています。何が危険なのか?

今回の研究は、牛乳および発酵乳に含まれるIGF-1についてです。IGF-1はインスリン様成長因子です。発達・成長・成熟などを促進します。しかし、成人になった後の成長はがん化と関連します。いくつものがんとIGF-1との関連が指摘されています。

では、牛乳のIGF-1含有量は熱処理など様々なプロセスでどう変化するでしょうか?(表は原文より)

プロセス
生乳均質化熱処理
75°C、15 分85°C、15 分オートクレーブ処理
IGF-1 (ng/mL)36.5  ±  8.433.4  ±  7.720.1  ±  5.020.0  ±  4.5ND

上の表は生乳と熱処理による変化です。均質化というのはよくわかりませんが、加熱と圧力を加えるようです。それではあまりIGF-1は変化していません。牛乳を75°Cまたは85°Cで 15 分間加熱した場合、IGF-1濃度は、加熱していない生乳と比較して、それぞれ45.0%程度に有意に減少ししました。牛乳をオートクレーブ処理(121°Cで15分間)した場合、サンプル中に IGF-1は検出されませんでした。

プロセス
生乳濃縮スプレー乾燥
IGF-1 (ng/mL)47.2  ±  6.969.5  ±  842.5  ±  7.3

上の表は全粉乳の製造過程での変化です。濃縮は生乳を濃縮し、総乳固形分を40~45%に調整するようです。乾燥させて全粉乳にしてもIGF-1は少し減っただけで大きな変化はありません。

pH
6.325.024.454.204.06
IGF-I (ng/mL)30.3  ±  7.531.8  ±  5.931.3  ±  5.326.0  ±  4.05.0  ±  2.2

上の表は牛乳発酵中のIGF-1濃度の変化です。発酵によりIGF-1濃度は30.3ng/mLから5.0ng/mLに劇的に減少しました。

上の図は、IGF-1強化牛乳(そんな牛乳が実際にあるのか知りません)を4℃で保存した場合の保存期間によるIGF-1の変化です。12日してもほとんど減少しません。

上の図はIGF-1強化全粉乳を20°C (本文では25℃と書いていますが)での保存中のIGF-1濃度の変化です。4℃と同様に保存による減少はありません。4週間でも減少しません。

上の図はIGF-1強化ヨーグルトを4℃で保存したときのIGF-1の変化です。発酵前と比較して発酵後はIGF-1濃度が大幅に減少し、約20%しか残っていませんでした。4℃で18日間保存した後も、IGF-I濃度のさらなる低下は認められませんでした。

つまり、牛乳の中のIGF-1はちょっとした加熱や乾燥、長期の保存によっても変化がほとんどないということです。しかし、発酵を受けると大幅に減少します。発酵でのIGF-1低下は、乳酸菌による利用が主のようです。乳酸菌による酸生成によるものではなく、乳酸菌によるIGF-1の窒素源としての利用によるものと推定されます。

そうすると、牛乳を摂取するのと、牛乳の発酵によってできた乳製品とは、人体に与える影響は大きく違う可能性があります。

前立腺癌や乳がんなどではIGF-1は危険である可能性が高いです。牛乳ではなく発酵した乳製品の方が安全でしょう。

発酵乳と牛乳の違いについては次回以降で書きたいと思います。

「The effects of dairy processes and storage on insulin-like growth factor-I (IGF-I) content in milk and in model IGF-I-fortified dairy products」

「乳製品の製造工程と保管が牛乳およびモデルIGF-I強化乳製品中のインスリン様成長因子-I(IGF-I)含有量に与える影響」(原文はここ

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