2型糖尿病では糖尿病薬を飲んでも死亡率は低下しない

糖尿病で薬を飲んでいる人も多いでしょう。糖尿病では高血糖などにより血管に悪影響を与えるため、心血管疾患が増加します。まあ、糖尿病も心血管疾患も糖質過剰症候群なので当たり前ですが。糖尿病の薬が効果を発揮できるとすれば、心血管疾患の発症や死亡率が低下しても良いはずです。

糖尿病薬による治療の実力はどれほどでしょうか?

今回の研究では、糖尿病薬による心血管疾患の死亡率の低下効果、それ以外に、全原因死亡、重篤な有害事象、心筋梗塞、脳卒中、HbA1c、治療失敗(救急治療が必要または有効性の欠如)、低血糖、体重減少について分析しています。118,094人の患者を対象とした301件の臨床試験が選ばれ、そのうち177件の試験(56,598人の患者)は1種類だけ薬剤を投与したもの、109件の試験(53,030人の患者)はメトホルミンともう一つの薬剤(2剤療法)、29件の試験(10,598人の患者)はメトホルミンとスルホニルウレア剤ともう一つの薬剤(3剤療法)でした。(図は原文より)

上の図は結果のまとめです。笑えるほどの結果です。横軸に薬の種類、最後にプラセボと書かれています。縦は様々な死亡率や疾患、有害事象です。数値はそれらが起きる可能性についてです。

単剤療法、2剤療法、3剤療法のいずれの薬剤クラスでも、心血管疾患死亡または全原因死亡の可能性との関連に有意差はありませんでした。つまり、どんな糖尿病薬も心血管疾患死亡や全原因死亡を有意に減少させることはできないということです。しかも2種類の薬を併用しても、3種類併用しても、結果は同じで、死亡を減らすことはできません。心筋梗塞や脳卒中の可能性もどんな薬を使っても2種類の薬を使っても有意な差がありませんでした。(例外としてメトホルミン+DPP4阻害剤だけはメトホルミン+スルホニルウレアよりは脳卒中を低下させました)

治療失敗の可能性はメトホルミンと比較して当然プラセボで3.83倍と高いですが、薬でもDPP4阻害剤で1.53倍、メグリチニドで2.53倍にもなっています。

さすがにスルホニルウレアで3.13倍、インスリンで17.9倍低血糖の可能性が高くなっています。

いずれにしても、2型糖尿病の成人118,094人から得た累積試験データを分析すると、単剤の糖尿病薬またはメトホルミンとの併用で心血管死亡率、全原因死亡率、重篤な有害事象、心筋梗塞、脳卒中の可能性との関連性に有意な違いがあるという証拠は見つかりませんでした。

つまり、糖尿病の薬は、心血管疾患の発症やその死亡、全原因死亡を低下させるという明確なエビデンスもないままに、血糖値が下がっているように見せかけるために使用されていると考えられます。逆に言えば、血糖値が薬で多少低下しても、それによる有害な影響は減少していない可能性が高いと思われます。

糖尿病、心血管疾患は糖質過剰症候群です。まずは糖質制限です。

 

「Comparison of Clinical Outcomes and Adverse Events Associated With Glucose-Lowering Drugs in Patients With Type 2 Diabetes: A Meta-analysis」

「2 型糖尿病患者における血糖降下薬に関連する臨床転帰と有害事象の比較: メタアナリシス」(原文はここ

One thought on “2型糖尿病では糖尿病薬を飲んでも死亡率は低下しない

  1. 素人でもわかる糖尿病薬の
    効能ですね。
    「血糖値が下がっているように見せかけるために使用されていると考えられます。」

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