肥満の糖尿病に対する薬物療法は食事療法に負ける

糖尿病の薬の実力なんて大したことありません。糖尿病の薬で代表的なもの、メトホルミンおよびSGLT2阻害剤のエンパグリフロジンと5:2 間欠的断食ダイエットを比較してみましょう。

5:2 間欠的断食ダイエットというのは、食事療法で、週2日間の断食(通常の食事の4分の1のエネルギー摂取)と5日間の通常の食事摂取を組み合わせたものです。

今回の研究では、5:2 間欠的断食ダイエットとして、 2日間の連続しない断食と5日間の習慣的な食事摂取ですが、この2日間、参加者は通常の3食すべての代わりに低エネルギーのパック食(94kcal)を1食分ずつ摂取し、1日のエネルギー摂取量は、女性で500kcal、男性で600kcal でした。なぜ1日のエネルギー摂取量が500~600kcalになるのかはよくわかりません。間食あり?

残りの5日間は、参加者は朝食と昼食を自分で選びましたが、夕食にはパック食(88kcal)を1食分摂取し、16 週間を通して、食事摂取量は日記に記録されました。

参加者は405人(男性65.4%、平均年齢45.5歳、平均BMI29.5、平均HbA1c7.9%)が、5:2 間欠的断食ダイエット群とメトホルミン群とエンパグリフロジン群の3つのグループにランダムに割り当てられ、そのうち332人が16週間の治療を完了しました。(図は原文より)

上の図のAは16週間後のHbA1cの変化、Bは過体重(左)、肥満(右)の人のHbA1cの変化、Cは16週後でのHbA1cが7未満および6.5未満になった割合、Dは空腹時血糖値の低下量です。5:2 間欠的断食ダイエット群が最も濃い色のバー、メトホルミン群が少し薄いバー、エンパグリフロジン群が最も薄い色のバーです。

16週間で、HbA1cが最も減少したのは、5:2 間欠的断食ダイエット群で−1.9%でした。肥満の人でもやはり5:2 間欠的断食ダイエット群が最もHbA1cが減少しました。

HbA1cが7未満になった割合は、5:2間欠的断食ダイエット群が88.9%で最も多く、メトホルミン群は73.9%、エンパグリフロジン群70.6%でした。HbA1cが6.5%未満は5:2間欠的断食ダイエット群では80.0%、メトホルミン群で60.4%、エンパグリフロジンで55.1%でした。さらにその後の8週間の追跡調査終了時には、5:2間欠的断食ダイエット群の参加者94人中72人(76.6%)がHbA1c 6.5%未満を維持していました。

5:2間欠的断食ダイエット群では空腹時血糖値は−30.3mg/dL減少しましたが、メトホルミン群-20.2mg/dL、エンパグリフロジン群は−23.6mg/dLの減少でした。

上の図は体重変化です。5:2間欠的断食ダイエット群が−9.7 kgで最も減少量が多く、メトホルミン群は−5.5 kg、エンパグリフロジン群−5.8 kgでした。

Bの図に示すように、5%以上の体重減少も5:2間欠的断食ダイエット群で圧倒的に多く77.8%で、10%以上も56.2%、15%以上も22.2%でした。

空腹時インスリン値も5:2間欠的断食ダイエット群で−10.69µU/mLと大幅に減少し、メトホルミン群−3.78µU/mL、エンパグリフロジン群で−4.58µU/mLでした。このインスリンの大幅な減少は大きなことですね。

もちろん、今回の5:2間欠的断食ダイエットは通常食時の夕食もエネルギー制限食なので、全体では私の嫌いなエネルギー制限(カロリー制限)になっています。また、2日間は糖質制限ですし、5日間の夕食は糖質が制限されていますので、ある程度は糖質が少ない状態です。しかし、完全に糖質制限になっていなくても、薬物療法は簡単に食事療法に負けてしまうくらいの、わずかな効果しかないのです。

今回の5:2間欠的断食ダイエットをちゃんと糖質制限にすれば、恐らく糖質制限の圧勝でしょうし、エネルギー制限と違い一生続けることが可能です。

肥満も糖尿病も糖質過剰症候群ですからね。

「A 5:2 Intermittent Fasting Meal Replacement Diet and Glycemic Control for Adults With Diabetes The EARLY Randomized Clinical Trial」

「糖尿病成人のための 5:2 断続的断食食事代替食と血糖コントロール EARLYランダム化臨床試験」(原文はここ

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