AIもインスリン抵抗性は12種類のがんの危険因子だと申しております

AIが言っていることを鵜呑みにする人がいます。専門家もAIも平気でウソをつくので注意が必要です。AIが学習する内容は、専門家の情報なので、AIがウソをついてしまうのは仕方がないのかもしれません。

そんな中、東京大学医学部の研究者チームは、自ら開発した機械学習ツールを用いて、インスリン抵抗性といくつかの種類のがんとの関連性を分析しました。

artificial intelligence–derived insulin resistance (AI-IR)、日本語ではAIが導き出したインスリン抵抗性とでもいうのでしょうか?

インスリン抵抗性を評価するためのゴールドスタンダード法である高インスリン正常血糖クランプ法は、通常の臨床現場では実行できません。空腹時血糖(FPG)と空腹時血中インスリンから得られるインスリン抵抗性の指標、HOMA-IRは、ゴールドスタンダードのクランプ法と強く相関することが示されているため、代替法として広く使用されていますが、しかし、空腹時インスリンさえも一般診療で日常的に測定されていません。

そのため、インスリン抵抗性ががん発症に及ぼす可能性のある影響を集団レベルで検証することはなかなか困難でした。そこでこのチームは、アメリカ国民健康栄養調査(NHANES)コホートと台湾MJコホートを用いて、ヨーロッパ系とアジア系の非糖尿病集団において、9つの臨床パラメータ(年齢、性別、人種、BMI、FPG、グリコヘモグロビン、中性脂肪、総コレステロール、HDLコレステロール)を考慮した、機械学習ベースのインスリン抵抗性(HOMA-IR > 2.5)予測モデルを開発しました。

AI-IRをイギリスのバイオバンクに適用しました。(図は原文より)

上の図のbが示すように、 まずベースラインおよび完了した追跡調査訪問時に糖尿病ではなかった参加者におけるAI-IRの糖尿病発生率への影響を調べました。対象は14,16人で、AI-IR陽性は3,219人でした。平均 4.28 年の追跡調査中、309 人の参加者(2.18%)が糖尿病を発症し、AI-IR 陽性の参加者は AI-IR 陰性の参加者と比較して7.31倍糖尿病を発症する可能性が高くなりました。

cの図は、ベースラインで糖尿病ではなかった参加者における、糖尿病による入院のリスクに対する AI-IR の影響です。AI-IR 陽性だと、陰性よりも6.44倍も糖尿病による入院の可能性が増加します。

dとe は糖尿病なしでAI-IR陰性または陽性、糖尿病あり、における3ポイントMACE(急性心筋梗塞、脳卒中、心血管死亡の3項目複合エンドポイント) の累積発生率または心血管死亡率です。糖尿病なしでAI-IR陰性と比較して、糖尿病なしでAI-IR陽性は3ポイントMACEの可能性が1.38倍、糖尿病ありが1.84倍でした。心血管死亡の可能性は、糖尿病なしでAI-IR陽性で1.47倍、糖尿病ありで2.29倍でした。

上の図は糖尿病発症の可能性について、AI-IRの陰性および陽性と、他の指標の組み合わせで評価しています。bに示すように、AI-IRが陰性だと、BMIが30以上になっても糖尿病の発症は高くなりません。BMIにかかわらず、AI-IR陽性だと糖尿病発症は高くなります。

cに示すように、メタボリックシンドロームに関しては、AI-IRが陰性でもメタボ陽性では、糖尿病発症の可能性は3.14倍でした。AI-IR陽性かつメタボ陽性は11.71倍です。

dとeは他のインスリン抵抗性の指標との関係ですが、これらもメタボの分析と同様の傾向でした。

さて、今回のメインです。イギリスのバイオバンクでベースラインの訪問時にがんがなかった参加者は372,395人でした。その人たちのがん発生率を調べました。糖尿病がなく AI-IR 陰性の参加者は256,685人、糖尿病はないが AI-IR 陽性の参加者は94,782人、糖尿病のある参加者は 20,928人でした。ベースラインでがんがなかった 372,395 人の参加者のうち、51,193 人ががんを発症しました。

上の図は糖尿病がなくAI-IR 陰性と比較した、糖尿病はないがAI-IR 陽性、糖尿病ありのそれぞれのがんリスクです。がん全体では差がありませんでした。しかし、個々のがんで見ると、AI-IR 陽性で、子宮がん 2.340倍、腎臓がん1.557倍、、食道がん1.464倍、腎盂がん1.417倍、小腸がん1.393倍、胃がん1.374倍、肝臓および胆嚢がん1.367倍、すい臓がん1.291倍、結腸がん1.176倍、白血病 1.164倍、気管支がんおよび肺がん1.136倍、乳がん1.135倍でした。実に12種類のがんのリスク増加と関連しているのです。

上の図のaは、腎臓、食道、すい臓、結腸、腎盂、小腸、胃、肝臓および胆嚢、結腸、気管支および肺をまとめて複合がんとしています。その複合がんリスクはAI-IR 陽性で1.25倍でした。図のbは女性の子宮および乳がんのリスクです。同様に、AI-IR 陽性で1.26倍でした。

cに示すように、AI-IR陽性とがんリスクが正の相関関係にあるがんのうち、腎盂、小腸、胃、肝臓および胆嚢、すい臓、結腸、白血病、乳がんへの影響はBMIに依存していることが観察されました。

いずれにしても、年齢、性別、人種、BMI、FPG、グリコヘモグロビン、中性脂肪、総コレステロール、HDLコレステロールという9個のパラメータだけでインスリン抵抗性を評価して、それががんのリスクと大きく関連しています。年齢や性別、人種を除けば、総コレステロール以外で、それらが異常値を示すのは糖質過剰摂取のときです。コレステロールもインスリン抵抗性が増加すれば高くなります。つまり、糖質過剰摂取ががんのリスク増加に直接かかわっていると考えても間違いではないということでしょう。

がんも糖質過剰症候群です。AIのお墨付きです。

AIはウソをつきますが、チェリーが大好きな私は、この研究はウソではないと思っています。

「Machine learning-predicted insulin resistance is a risk factor for 12 types of cancer」

「機械学習で予測されたインスリン抵抗性は12種類の癌の危険因子である」(原文はここ

4 thoughts on “AIもインスリン抵抗性は12種類のがんの危険因子だと申しております

  1. 高インスリン血症の害って驚くほど浸透していないですよね。血糖値が高くなければそれでいいからどんどん薬使いましょうって言う人がなんて多いことか…

    1. IgA腎症患者さん、コメントありがとうございます。

      多くの医師もインスリンの怖さを知らないですからね

  2. AI先生、現状インプット情報を取捨選択してアウトプットする能力に関して一般人を凌駕。
    しかし未だ「良心」「罪悪感」等の「人間らしい」感情にはまだ影響されないご様子。
    人間の「専門家」発信と変わらないですね、
    AI先生に「利益相反」機能があるか不明ですが。

    1. 鈴木 武彦さん、コメントありがとうございます。

      AIにはぜひ利益相反を加味した情報を吐き出してほしいですね。

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