「その1」「その2」「その3」の続きです。糖尿病では、炎症、血管新生、プラーク内出血の増加が起こります。糖尿病という病気によって起こるのではなく、糖質過剰摂取による高血糖、高インスリン血症によるものです。
糖質過剰摂取による高血糖で、血糖コントロールが悪かったり、代謝の異常が高いとプラーク内出血はどうなるでしょうか?
まずは一つの研究を見てみましょう。虚血性脳卒中または一過性脳虚血発作(TIA)を呈し、発症後4週間以内にMRIを施行した患者220人が対象です。平均年齢は56.6歳で、糖尿病患者の割合は102人(46.4 %)でした。
102人の糖尿病患者のうち、58.8 %は糖尿病罹患期間が10年未満(短期糖尿病群)、41.2 %は罹患期間が10年以上(長期糖尿病群)でした。コントロール良好群(HbA1c < 7.0 %)およびコントロール不良群(HbA1c ≥ 7.0 %)には、それぞれ31人(30.4 %)および71人(69.6 %)の患者が含まれていました。
ポジティブリモデリング(血管内腔ではなく血管内(中膜、外膜の方向)へプラークが蓄積すること。不安定な危ないプラークであるサイン)や表面の不整、プラーク内出血、プラークの増強を評価しました。
糖尿病罹患期間が10年以上の長期糖尿病群は短期糖尿病群と比較して、ポジティブリモデリングを示す可能性は2.9倍でした。 HbA1c < 7.0%のコントロール良好群と比較して、コントロール不良群は、プラーク内出血の可能性が9.14倍、プラーク増強の可能性が3.09倍、および表面不整の可能性が2.72倍でした。
非糖尿病患者と比較して、すべての脆弱プラーク特性が共存する可能性は、長期糖尿病群の患者では3.84倍、コントロール不良群は3.41倍でした。
そうです。あなたの血管を傷めつけているのは、LDLコレステロールではなく、糖質です。
もう一つ研究を見てみましょう。症状のある頸動脈アテローム性動脈硬化症の人1,037人が対象で、2,010個の頸動脈が解析されました。参加者は、代謝状態とBMIに基づき、4つの代謝BMI表現型に分類されました。メタボリックシンドロームは基準を3つ以上満たす場合にメタボ陽性としました。
代謝的に健康な正常体重(MHNW)(BMI < 25 、メタボなし)、代謝的に異常な正常体重(MANW)(BMI < 25、メタボあり)、代謝的に健康な肥満(MHO)(BMI ≥ 25、メタボなし)、および代謝的に異常な肥満(MAO)(BMI ≥ 25、メタボあり)の4つです。
MHNW(51.6%)、MANW(6.9%)、MHO(16.7%)、MAO(24.8%)でした。合計2,010個の頸動脈プラーク病変はMHNW:1,036個、MANW:138個、MHO:339個、MAO:497個でした。(図は原文より)
上の図は、代謝-BMI表現型別の高リスク頸動脈プラーク(HRCP)バイオマーカーの有病率FCRは線維性被膜破裂、IPHはプラーク内出血、LRNCは脂質に富む壊死核です。ほとんどの項目で、代謝的に異常な肥満(MAO)で割合が高いことがわかります。正常体重でも、代謝異常があるMANWの方が割合が高くなっています。
上の図は、高リスク頸動脈プラーク(HRCP)の因子と頸動脈プラーク脆弱性に関連する分析です。男性、65歳以上、喫煙歴、収縮期血圧、LDLコレステロール(LDL-C)値、降圧薬およびスタチンの使用歴で調整しています。FCRは線維性被膜破裂、IPHはプラーク内出血、LRNCは脂質に富む壊死性コアです。代謝的に異常な肥満なMAOはプラーク内出血の可能性が1.549倍でした。それ以外にも興味深いことに、LDLコレステロールは高リスク頸動脈プラークの因子のどれとも関連していません。スタチンの使用は、高リスク頸動脈プラークの可能性が1.667倍、脂質に富む壊死性コアの可能性が2.025倍、線維性被膜破裂の可能性が1.838倍でした。
上の図は、男性、65歳以上、喫煙歴、LDLコレステロールで調整した、スタチン未使用患者における高リスク頸動脈プラーク(HRCP)因子と頸動脈プラーク脆弱性に関連する分析です。
代謝的に異常な肥満なMAOはプラーク内出血の可能性が1.983倍、高リスク頸動脈プラークの可能性が1.656倍でした。これも興味深いことに、LDLコレステロールはそれぞれの可能性を高めるどころか、保護的です。LDLコレステロールは高リスク頸動脈プラークの可能性が0.747倍、線維性被膜破裂の可能性が0.699倍でした。
いずれにしても、体重よりも代謝の異常の方が血管を傷つけている可能性が高いです。
肥満もメタボも糖質過剰症候群です。プラークもプラーク内出血も糖質過剰摂取が主な原因でしょう。
「Duration of diabetes, glycemic control and intracranial atherosclerotic plaque vulnerability」「糖尿病の罹病期間、血糖コントロール、頭蓋内動脈硬化性プラークの脆弱性」(原文はここ)
「Metabolically Abnormal Obesity and Carotid Plaque Vulnerability: A Vessel Wall MRI Study Linking Obesity Phenotypes to Atherosclerotic Instability」
「代謝異常肥満と頸動脈プラークの脆弱性:肥満表現型と動脈硬化性不安定性を関連付ける血管壁MRI研究」(原文はここ)



糖質摂取で分泌されるインスリンも過剰であれば代謝異常をもたらすのであれば、
「治療」の為のインスリン注射は血糖値は下がるのでしょうが、代謝異常などの副反応が半端無さそうですね。