農林水産省が最近、妙なキャンペーンを行っていて様々なところで話題になっています。(記事はここ)
「日本人の主食であるお米の消費量は、食の多様化やライフスタイルの変化に伴い減少傾向にあります(1人当たりの年間消費量:118.3kg(昭和37年度)→54.2kg(平成29年度))。
また、近年、国民の食生活をめぐる環境の変化により、栄養の偏り、肥満や生活習慣病の増加、食料自給率の低下など様々な問題が生じています。
ごはんには、体を作るたんぱく質や、体を動かすために必要なエネルギーを供給する炭水化物等、生活のために必要な栄養素が多く含まれます。また、当省の試算によると、ごはんを1日にもう一口(17g)食べるだけで約1パーセントの食料自給率(カロリーベース)の向上につながるとされています。
このサイトでは、皆さんがごはんをもっと好きになる、もっと食べたくなる、そんな情報をお届けします。」
栄養の偏り、肥満や生活習慣病の増加、食料自給率の低下はごはんの消費の減少と関係ありません。ごはんばかり大量に食べていることの方が栄養が偏り、肥満や生活習慣病を招きます。食料自給率低下は別の作物を作れば低下しません。
ごはんの栄養価はものすごく低く、ほとんどが糖質です。エネルギーになることは確かですが、エネルギーにしかなりません。体を作るタンパク質は肉や魚や卵から摂るのが理想的です。
そして、食べログというサイトとコラボしてごはん大盛り・おかわり無料のお店をわざわざ宣伝しています。もっと国民を病気にさせたいのでしょうか?
全国のごはん大盛り・おかわり無料のお店 食べログ
「お米の消費量が減少すると、お米の生産量を抑制しなければなりません。水田は、雨水を一時的に貯留し洪水や土砂崩れを防ぐとともに、多様な生きものを育み、また、美しい農村の風景は、私たちの心を和ませてくれるなど大きな役割を果たしております。多機能な水田を維持するためにも皆さんごはんをいっぱい食べましょう。」
ここで書いてあるごはんをもっと食べなければいけない理由が笑えます。(いや笑えません!)
何としても水田を守らなければならない理由は、洪水や土砂崩れを防ぐため?という訳のわからない理論です。水田があれば洪水や土砂崩れを本当に防げるという証拠があるのでしょうか?水田でなくても水がしみ込むような土の地面であれば同じではないでしょうか?
多様な生き物は水田しか育たないのでしょうか?池や湖や川ではダメなのでしょうか?美しい田園の風景が私たちの心を和ませてくれる大きな役割があるのでしょうか?その風景を見ないと心は和まないのでしょうか?別の自然の風景ではダメなのでしょうか?
そのような理由のために私たちはごはんを食べさせられているのです。愕然とします。
さらに、森谷敏夫(京都大学名誉教授)という方が提唱する、「炭水化物摂取ダイエット (=京大式ダイエット) 」というものにもリンクしています。京大式と言っていますが、京大が推奨しているかのような誤解を招きかねません。京大は迷惑なのでは?
テレビ出演も多い、古典栄養学しか知らない管理栄養士のページにも行きつくなど盛りだくさんです。
そして、こんなところにもリンクしており、そこでは下のようなエビデンスを紹介しています。そうそうたる全国の教授陣たちが書いています。(図はここより)
ごはんは糖尿病や動脈硬化を防ぐそうです。何で?どうやってこのような都合の良いデータを取ったのでしょうか?
さらにさらに、問題なのは農水省は砂糖まで推奨しています。業界からどれだけの裏金が出ているのでしょうか?最悪のキャンペーンです。
「はじめに 「ありが糖運動」の立ち上げについて
砂糖などの高品質な原材料を上手に用いた和食・菓子・飲料等は、毎日の暮らし、人生の大切な節目、四季の移ろいに由来する折々の年中行事などの伝統と常に寄り添い、我が国の食文化において重要な役割を果たしています。こうした食文化の一層の発展を図るため、和食業界、菓子業界、飲料業界、観光業界、製糖業界、原料作物生産者等と連携して、「ありが糖運動」を発足しました。」
日本の食文化を守るために、というより、裏でお金をいただきながら関わっている業界を守るために、国民の健康はさておき、砂糖を食べましょう!という「画期的」なキャンペーンです。
「食文化(和食・菓子・飲料等)の文化の普及・促進を応援します!
・地域で生産された原料を上手に用いた、和食・菓子・飲料等のブランド力を高める取組を応援します。
・日本の季節、文学、芸術、歴史、伝統、文化と深く関連する和食・菓子等の文化を広く普及・促進します。
・2019年のラグビーワールドカップや2020年の東京オリンピック・パラリンピックなどを控え、「お祝い」「感謝」「おもてなし」の精神と深く結びついた食文化(和食・菓子等)の普及・促進を応援します。
インバウンド(訪日外国人)向けの消費促進や輸出拡大を応援します!
・増加するインバウンド需要(訪日外国人)に対応した和食・菓子・飲料等の消費拡大を応援します。
・店頭だけでなくSNS(口コミ)など多様な手法により、また、多言語により、国内外の消費者に対する菓子文化等の情報発信を応援します。
・訪日外国人に和食文化の現場(菓子等の製造現場等)を訪問し、実際に和菓子作りを体験するなど、「コト消費」の促進を応援します。
・海外消費者のニーズに応えた和食・菓子・飲料等の輸出促進を応援します。」
ラグビーワールドカップや東京オリンピック・パラリンピックまで引きずり出してきて、無理矢理のこじつけです。
以前の記事「アメリカの子供の驚くべき砂糖の摂取量」で書いたように、アメリカをはじめ多くの国では幼い子供にも深刻な問題が起きています。そして、肥満や糖尿病などの生活習慣病が深刻で、糖質の消費量を抑制するために、以前の記事「英国で砂糖税導入!」で書いたように「砂糖税」「ソーダ税」などを導入して、何とかしようとしているのです。「ありが糖運動」はそのような世界の動きとは全く正反対のキャンペーンです。
WHOの推奨する1日の砂糖の摂取量25gです。通常のまんじゅうは糖質量として1個30g程度ですが、その半分は砂糖です。群馬県の郷土料理の一つ「焼きまんじゅう」には60gもの砂糖が含まれています。ショートケーキにも糖質は1個30g程度ですが、10g以上の砂糖を含んでいます。実際には体の中では砂糖もそれ以外の糖質もほとんど同じなので、国がスイーツを推奨することはものすごく問題なのです。
そして、砂糖Q&Aには次のような問題の記述があります。
砂糖Q&A
【Q3】砂糖をとらないほうが健康にいいの?
【A3】砂糖は、虫歯や肥満などの原因と思いがちですが、砂糖の摂取が直接的にそれらを引き起こすことはありません。
また、誤解の多い糖尿病も、遺伝や肥満、ストレスなど複数の因子が発症に関連する病気で、砂糖の摂取は直接関与していません。
砂糖は虫歯にも肥満にも糖尿病にも関与していないそうです。ウソです!砂糖を含めた糖質がそれらの原因であることは事実です。恐らく「直接」という言葉を用いているので、それを逃げ道にしているのでしょう。砂糖を摂取して、インスリンが出て、糖質が取り込まれて、脂肪に変わり、肥満になるという流れの中で、「インスリン」が関係していて、「脂肪に変わる」という代謝が起こるので、「間接的」とでも言いたいのかもしれません。
糖尿病も、もちろん遺伝が関与することもありますが、ほとんどは直接的には糖質の過剰摂取が原因です。このようなウソを堂々とよく書けるものです。お金の力ってすごいですね!
「開催中のイベント情報等」にはこんなものもあります。(図はここより)
頑張った分だけ、砂糖を摂れ?何のこっちゃ?
何度も書いているように、久山町の研究ではごはん食べる量が少ないほど認知症のリスクは少ないと言っています。砂糖をはじめ糖質の過剰摂取は様々な病気を引き起こします。インスリン抵抗性が起これば「脳のインスリン抵抗性はうつ病、そして認知症をもたらす」で書いたように、アタマにもココロにも害をもたらします。糖質過剰摂取はAGEをどんどん作り出し、体を蝕んでいきます。
農水省のこのような行動は、無責任という言葉よりももっと重いものがあります。
ツッコミどころ満載ですね。
朝日新聞が取り上げているなら、テレビ朝日「羽鳥慎一モーニングショー」の「そもそも総研」で、玉川徹さんに突っ込んでもらいたい、と思いました。
げっしーさん、コメントありがとうございます。
テレビで取り上げてほしいですが、スポンサーに逆らえません。
新聞が取り上げているといっても、批判しているわけではないと思います。
突っ込んでもらうことはまず無理でしょう。
こんにちは、いつもブログで勉強させていただいています。
私は糖尿病患者ですが、今回の記事を読んであまりにも驚き、自分のブログにも記事を書きました。これはあまりにもひどい話ですね。
ご飯はまだしも、砂糖をもっと食べましょうと呼びかけるとは…もうなりふり構わないという感じに見えます。
ちなみに自分は玄米食をしていて妊娠糖尿病から2型糖尿病になりました。今さら「米は糖尿病の予防に良い」などと言われてもおかしくてたまりません。
よっしーさん、コメントありがとうございます。
国はお金で動いているということです。自分の管轄ではない国民の健康なんて興味ありません。
管轄の厚労省ですら、糖質たっぷりの食事を推奨しているのですから。