家族性高コレステロール血症から考える 高LDLコレステロールは心血管疾患の原因ではない その5 家族性高コレステロール血症にはスタチンは禁忌ではないか?

以前の記事「家族性高コレステロール血症から考える 高LDLコレステロールは心血管疾患の原因ではない その1」「その2」「その3」「その4」で、LDLコレステロール値が高いことは心血管疾患の原因ではないことを家族性高コレステロール血症から考察し、スタチンがアテローム性動脈硬化症を改善しないことを書きました。

通常、細胞の必要とするコレステロールはどうやって調達するのでしょうか?ひとつは血中のリポタンパク質のLDLが運ぶコレステロールをLDL受容体というものを通して取り込むというものです。もう一つは各細胞が細胞内でコレステロールを合成するというものです。

家族性高コレステロール血症はLDL受容体に問題が起きている遺伝性の病気です。細胞がLDLを取り込めないので、血中にLDLが異常に増加してしまうのです。細胞にとってLDLが運んでくるコレステロールは非常に重要なものです。それが受け取れないので、それぞれの細胞に問題を起こす可能性があるのです。

LDLコレステロールの増加が心血管疾患の原因だという仮説を前提として、家族性高コレステロール血症の人にはスタチンが処方されます。スタチンは体内でのコレステロールの合成を阻害します。

家族性高コレステロール血症の細胞ではLDL受容体の問題によってLDLのコレステロールを受け取れないにも関わらずスタチンを使用してしまえば、細胞内で作り出すコレステロールさえも作れなくしてしまいます。

つまり、家族性高コレステロール血症にスタチンを使用すると、どこからもコレステロールを調達できなくなってしまうのです。もちろんスタチンが100%コレステロールの合成を中止させるわけではないので、即死することはありません。しかし、コレステロールが調達できないということは、それぞれの細胞にとって非常に有害作用があると考えられるのです。

以前の記事「スタチンはあなたの体の重要な機能を低下させる」で書いたように、スタチンは非常に有害作用がいっぱいあります。

スタチンで例え血中のLDLコレステロール値が基準値に収まっても、それぞれの細胞はLDLを取り込めず、自分の細胞内でもコレステロールを合成できずに、非常に苦しい状況に追い込まれます。

血液検査は体の中で起きていることのほんの一部しか見ていません。検査で見えない部分の方が多いのです。

LDLコレステロールが心血管疾患の原因だという証拠はありません。

だから、家族性高コレステロール血症にスタチンを使用することは禁忌だと考えます。

どこか間違っているのでしょうか?間違いがあればご指摘ください。

4 thoughts on “家族性高コレステロール血症から考える 高LDLコレステロールは心血管疾患の原因ではない その5 家族性高コレステロール血症にはスタチンは禁忌ではないか?

  1. 清水先生、こんにちは。

    今日、母(FH)の定期受診で付き添って来ました。
    胃もたれや胸焼けの症状がないからという理由でPPIをやめるつもりで行ったのですが、主治医の先生に胃もたれや胸焼けのために出しているわけではない、と一蹴され、やめてもらえませんでした…。

    次に、クレストールをやめて減らした分をゼチーアに置き換えてもらえないか聞いてみました。
    根拠を聞かれたので、日本脂質栄養学会の提言の話をしましたが、あれは一般論で、まだ病気をしていない人の話であること、学会の人は現場など見ていないこと、すでに病気を発症していて予防したいならコレステロールは下げなければいけないことなどなど、いつもの5分診療は何なんだろうかと思うほど、自分がいかに正しいか(というか、自分の勉強したガイドラインがいかに正しいか?)切々と説かれました。

    確かに、私と違い既に血管事故を起こしているので私のようにはいかないかもしれませんが、散々話して満足されたのか最後にはクレストールのみ一包化から外して処方して下さり、家族でよく話しなさい、と仰って下さいました。

    ただ、薬を出しても自分には何の利益もないし、飲まなくて良い薬なら自分もなるべく出したくない、と仰って頂けたので、それを聞けただけでも、良かったです。

    素人の自分には難しい内容もたくさんありますが、これからも先生のブログで勉強させて頂きます。

    いつも感謝しております。

    母に先生の本を貸したらちょっと読んだみたいで、良い先生に出会えて良かったね、と言っておりました。

    これからもよろしくお願いいたします(*^^*)

    1. ミホさん、コメントありがとうございます。

      PPIは何で処方されているのでしょうか?上部消化管出血予防でしょうか?
      まあ、いずれにしても話し合いができない相手と話をしなければならないというのは非常に大変なことです。
      もちろん、その医師も良かれと思い様々な薬を処方しているので、難しいところです。

      少しでも良い方向に向かうと良いですね。

      1. 清水先生、ご返信ありがとうございます。

        PPIは消化管出血予防のようです。主治医が黒い便が出たら教えて、と母に言っていました。
        スタチンをやめる理由については日本脂質栄養学会が味方になってくれたのですが、PPIには後楯になりそうなものを用意していなかったので、勝てませんでした…。

        主治医は肝臓がコレステロールを作りすぎるからそこを止める必要がある、というようなことを言っていましたが、敢えてツッコみませんでした(笑)

        実は、危険を承知で母にも糖質オフをさせていました。もちろん、スタチンをやめるのが前提で短期間のつもりでした。

        検査結果はHDLコレステロールは上がり、TGが下がりました。HDLが66.2、TGが36です。
        前回はHDLが46.5、TGが77でした。

        別包されたスタチンは私が持ち帰りました。母は薬が減って楽だわーと喜んでいました。

        今回の検査結果を元に、これからどうしようか思索中です。とりあえず、エネルギーが足りなそうなのでバターで増量しようと思っています。スタチンをやめればケトンも増えてエネルギー不足にはならないようになるとは思いますが…。

        母は、肉とマグロをいっぱい食べられて幸せだ、これからもこの食生活を続けたい、と言っているので糖質オフは続けられそうです(*^^*)

        正月におせち食べてもいい?と聞かれたので、舐めるだけだよ?と答えたらわかった、と言ってました。私は元々おせちが嫌いなので舐めたくもないですが(笑)

        母(と私)が明るく楽しく元気で生活出来るよう頑張ります!

        1. ミホさん

          >検査結果はHDLコレステロールは上がり、TGが下がりました。HDLが66.2、TGが36です。
          >前回はHDLが46.5、TGが77でした。

          素晴らしい結果ですね。
          今後もお母さんと一緒に明るく楽しい糖質制限を続けてください。

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