以前の記事「5日間の高脂肪高エネルギー食負荷試験(人体実験) その2 リポタンパク質(a)Lp(a) あなたは何者?①」「あなたは何者?②」では、リポタンパク質(a)Lp(a)について、Lp(a)の増加は心血管疾患のリスク因子である可能性と、脳出血のリスク低下に関連する可能性を書きました。
様々な研究で、Lp(a)は糖尿病とも関連が認められています。(図は原文より)
上の図は年齢と糖尿病を発症する確率を示しています。実線はLp(a)が46以上であり、点線はLp(a)が46未満です。明らかにLp(a)が高い方が糖尿病の確率が低いです。
上の図は、Lp(a)を数値によって4つの群に分け、Q1は0~8.9mg/dL、Q2は9.0~17.9mg/dL、Q3は18.0~28.9mg/dL、Q4は29.0mg/dL以上です。Aのグラフは2型糖尿病の有病率、Bは前糖尿病の有病率、Cはインスリン抵抗性の有病率、Dは高インスリン血症の有病率をそれぞれ示しています。どのグラフもQ1が最も有病率が高く、Q4が最も低いのがわかります。つまり、Lp(a)が高い方が糖尿病やインスリン抵抗性などが起きにくいのです。
私自身の今回の人体実験でもLp(a)は24.5→9.2と低下しましたが、空腹時血糖値が89→97と上昇し、インスリン値が2.6→5.4と上昇しました。そしてインスリン抵抗性も0.57→1.29と上昇してしまいました。
なぜこのようなことが起きるのかは、現在の私では勉強不足でわかりません。しかし、スタチンを使用するとLDLコレステロールは低下するのに、糖尿病の発症が多くなることと何か似ている気がしてしまいます。
結局Lp(a)は何らかのマーカーにはなる可能性がありますが、治療で低下させるものではない可能性の方が高いと思います。所詮LDLの兄弟なのでしょう。
「High levels of lipoprotein(a) are associated with a lower prevalence of diabetes with advancing age: results of a cross-sectional epidemiological survey in Gran Canaria, Spain」
「高レベルのリポタンパク質(a)は、年齢とともに糖尿病の罹患率が低いことと関連している:スペイン、グランカナリアにおける横断的疫学調査の結果」(原文はここ)
「Serum lipoprotein (a) concentrations are inversely associated with T2D, prediabetes, and insulin resistance in a middle-aged and elderly Chinese population」
「血清中のリポタンパク質(a)の濃度は、中年および高齢の中国人集団において、T2D、前糖尿病、およびインスリン抵抗性に反比例する」(原文はここ)