以前の記事「超厚底ランニングシューズは衝撃を逆に強めるかもしれない」では超厚底のクッション性が非常に高いと思われる、HOKA ONE ONEのボンダイというシリーズが実際には脚への衝撃が高いことを書きました。
今回も似たような研究ですが、また標的はHOKA ONE ONEです。クッション性MAXと思われるHoka Conquestというシューズですが、日本では売っているのかどうかよくわかりません。対照となるのは一般的なランニングシューズとして適当なのかどうかはよくわかりませんが、見た目は普通のシューズである Brooks Ghost 6です。
これらの2つのシューズを履いて、低速10km/hおよび高速14.5km/hで走ってもらいました。その結果は次のようです。(図は原文より)
上の図の青は普通のシューズ、赤がHOKA ONE ONEのクッション性MAXのシューズです。aは衝撃のピーク、bは負荷率です。衝撃のピークはクッション性MAXシューズの方が低速で6.4%、高速で10.7%高く、高速になる方がよりピークの差が広がっているようです。負荷率は低速ではあまり違いがありませんが、高速になると明らかにクッション性MAXシューズの方が12.3%高くなります。
上の図のaは脚の剛性、bは脚の圧縮、cは重心の下降、dはトータルの重心の振幅、eは垂直に地面から受ける反発力のピークです。脚の剛性は高速になると差が認められ、クッション性MAXシューズの方が高くなりました。スピードに関わらず、脚の圧縮や重心の下降はクッション性MAXシューズの方が少なくなりました。重心の振幅、垂直に地面から受ける反発力のピークはクッション性MAXシューズの方が低速では少ないのに、高速では大きくなりました。
クッション性MAXシューズは高速になるとその分バウンドするように重心の振幅が大きくなるのでしょうか?クッションが吸収するのか脚の圧縮は少なくなるようですが、その分脚の剛性が高くなるようです。
いずれにしても、クッション性が高いことは脚の負担を軽減するわけではなく、逆に衝撃を増加させ、負担が大きくなるようです。
ただ、多くの市民ランナーは今回のような高速のスピードで走ることはないので、どちらのシューズを履いても衝撃はその分低下するので、ケガに繋がる確率はほとんど変わらないでしょう。逆に速く走るランナーはクッション性は大きくない方が故障する確率が減る可能性はあります。
クッション性を売りにしているシューズもあります。メーカーはきちっとしたエビデンスを出さずに、クッション性が高いことは脚の負担が少ない、という一般的なイメージを利用しているだけです。低速であってもクッション性は脚の負担を増加させます。ただ、全くクッション性がないのも故障が起きる可能性があります。今回の研究では普通のシューズとの比較だけです。ほどほどが良いのかもしれません。
私自身は来年のシューズをどうするかまだ迷っています。先日「ビモロ」を発見して、試しに履いてみたのですが、脚の形に全く合わずに断念しました。残念です。試行錯誤が続きます。
「Running in highly cushioned shoes increases leg stifness and amplifes impact loading」
「非常にクッション性の高いシューズで走ると、脚の剛性が増し、衝撃荷重が増幅される」(原文はここ)
人類7000000年の歴史の中で素足で生活していた時代はどうだったのでしょうか?もちろんアスファルトはなかったわけですから、怪我をしない限りはよかったんでしょうかね?きっと足の裏の皮の厚みも結構あったのかもしれないですね。いずれにしても現代人はひ弱ですね。
ジェームズ中野さん、コメントありがとうございます。
私を含めて、現代人は相当ひ弱になってしまったのだと思います。
裸足で走る気にはなりませんが、テクノロジ-ばかりに頼るのも問題でしょうね。
清水先生、こんにちは。
先日ホームセンターで地下足袋を見た時、もしかしてこれで走るといい具合だったりしないかとふと思いました。自分で履いたことがないのでどんな感じなのかは知らないのですが・・・
中山さん、コメントありがとうございます。
地下足袋で実際に走っている人もいますし、裸足の人さえいます。
石を踏んだりしたら結構痛いと思います。でも、人間は本来は裸足で走れるように進化しているはずです。
しかし、ひ弱な私の脚とランニングフォームでは最低限のクッションはどうやら必要なようです。