インフルエンザワクチンによる心血管疾患リスクの増加

新型インフルエンザのときにはA型インフルエンザウイルスに対するワクチンが接種されました。以前の記事「もう一度新型インフルエンザの年を振り返ることにより見えてくるもの」で書いたようにそのときには高齢者がワクチンの犠牲になったかのように接種後まもなく多数死亡しました。

この原因の一つとして考えられることがあります。それはワクチンにより血小板が活性化することと炎症を起こすこと、心拍数を増加させることです。どれも高齢者の心血管にとっては問題を引き起こす可能性があります。(図は原文より)

上の図は炎症所見であるCRP(縦軸の単位は日本の単位の10倍です)です。ワクチン接種前のベースラインより24時間後48時間後に右肩上がりにCRPが上昇しています。(表は原文より改変)

ベースラインワクチン後
CRP(mg/dL)0.280.726
心拍数変動(R-R間隔 ms)785753
単球 – 血小板凝集体(%)28.530.5

ワクチン後心拍数はR-R間隔が減少しているので、心拍数が増加していることを意味します。単球 – 血小板凝集体は増加しています。急性心筋梗塞や脳卒中の患者では、血小板と白血球の活性化を反映して血中の単球 – 血小板凝集体が増加することが報告されています。

つまりA型インフルエンザワクチンの接種は一時的に心血管イベントのリスクを増加させる可能性があるのです。だから、新型インフルエンザのときに高齢者の死亡者が多かったのかもしれません。

季節性インフルエンザのワクチンではこのようなリスク増加が認められるのかどうかはわかりません。しかし、インフルエンザワクチンにはわからないだけで、このようなリスクが隠れている可能性があるのです。

 

「Inflammation‐related effects of adjuvant influenza A vaccination on platelet activation and cardiac autonomic function」

「血小板活性化と心臓自律神経機能に対するアジュバントインフルエンザAワクチン接種の炎症関連効果」(原文はここ

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