カルシウムサプリメントは心筋梗塞の危険性を高めるかもしれない

骨粗しょう症の予防として、カルシウム摂取を推奨している方もいますが、サプリメントでのカルシウムは心筋梗塞の危険性を高める可能性があるかもしれません。

35〜64歳の23,980人を対象とした研究があります。食事に関しては食事のアンケートなので怪しいところがあります。(表は原文より改変)

下の表は1994年 – 2010年の総食事摂取カルシウムの摂取量の4分位による心筋梗塞および脳卒中の発生率、心血管疾患死亡率です。ちなみにモデルAは性別、募集時年齢、学歴、身体活動、BMI、喫煙、生涯アルコール摂取量、エネルギー調整総食事性カルシウム、ビタミンD、飽和脂肪酸と総タンパク質摂取量、総エネルギー摂取量と自己報告の高脂血症、募集時の糖尿病、NSAIDsの使用により調整、モデルBは追跡調査の最初の2年間に発生した心血管イベントを除外したものです。

 四分位数HR
モデルAモデルB
心筋梗塞発生率1(低)1.001.00
20.94(0.70〜1.25)1.01(0.75〜1.37)
30.69(0.50〜0.94)0.67(0.48〜0.94)
4(高)0.85(0.63〜1.16)0.92(0.66〜1.27)
脳卒中の発生率1(低)1.001.00
21.50(1.06〜2.11)1.38(0.94〜2.01)
31.24(0.86〜1.79)1.28(0.86〜1.89)
4(高)1.12(0.76〜1.65)1.17(0.77〜1.77)
心血管疾患死亡率1(低)1.001.00
21.34(0.95〜1.88)1.51(1.05〜2.17)
31.15(0.80〜1.65)1.22(0.83〜1.81)
4(高)1.18(0.82〜1.72)1.30(0.87〜1.94)

心筋梗塞は食事のカルシウムが多いほど発生率が低下しているように見えますが、直線的に低下していないので、恐らくは食事によるカルシウム摂取量とは関連していないでしょう。脳卒中、心血管疾患についても有意差が出ているものもありますが、全体的には関連していないようです。食事のアンケートの限界でしょう。

では、サプリメントはどうでしょうか?

 サプリメント人数ハザード比
モデルAモデルB
心筋梗塞発生率サプリメントの不使用2561.001.00
カルシウム201.86(1.17〜2.96)1.79(1.09〜2.96)
 カルシウムのみ72.39(1.12〜5.12)2.70(1.26〜5.79)
 カルシウム+その他131.66(0.95〜2.93)1.45(0.77〜2.75)
その他のサプリメント780.75(0.58〜0.97)0.75(0.57〜0.99)

上の表で示すように、心筋梗塞発生率はいかなるサプリメントを使用していない人と比較して、カルシウムサプリメントの摂取で有意に心筋梗塞のリスクは高くなり、中でもカルシウムサプリメントのみを使用している場合には、2倍以上のリスクになっています。

脳卒中発生率、心血管疾患死亡率に関しては関連は認められませんでした。

恐らくは、サプリメントでのカルシウム摂取は、急激な血中のカルシウム濃度の上昇をもたらし、血管の石灰化など負の影響をもたらすのではと考えられます。

以前の記事「ビタミンのサプリメントは飲めば良いってもんじゃない!本当に必要か、効果はあるのかの慎重な検討が大切かも?」で書いたように、ビタミンであっても、カルシウムであっても慎重に考えて使用した方が良いかもしれません。

基本は「栄養は食事から」です。

「Associations of dietary calcium intake and calcium supplementation with myocardial infarction and stroke risk and overall cardiovascular mortality in the Heidelberg cohort of the European Prospective Investigation into Cancer and Nutrition study (EPIC-Heidelberg) 」

「ヨーロッパの癌と栄養に関する前向き研究(EPIC-Heidelberg)のハイデルベルクコホートにおける食事性カルシウム摂取とカルシウムサプリメントと心筋梗塞および脳卒中リスクおよび全体的な心血管死亡率との関連」(原文はここ

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