運動直後の食事と次の日の食後中性脂肪

中性脂肪値は食事や運動などで変化します。運動後の食事の種類によって、中性脂肪値はTGスパイクを起こすのでしょうか?運動後で体脂肪を消費した後なので、TGスパイクは起きないのでしょうか?

運動をしない対照(CON)、運動後の食事摂取なし(EX)、運動後の高炭水化物食(EX + HCHO)、運動後の低炭水化物食(EX + LCHO)と4種類の実験を行いました。
運動は80分間のサイクリングです。運動後の高炭水化物食は878 kcal、82.9%炭水化物4.4%脂質、12.8%タンパク質であり、低炭水化物食は879 kcal、12.5%炭水化物、72.2%脂質、10.2%タンパク質です。運動直後に上記の食事を摂り、運動後1時間後に全てのグループで約500 kcal、33%炭水化物、42%脂質、25%タンパク質を摂取しました。

次の日の朝、高脂肪耐性テストを行いました。その食事は、体重1kgあたり16kcal、1.02g/kg脂質、1.36g/kg炭水化物、0.31g/kgタンパク質を摂取し、食後検査を行いました。

結果は次のようになりました。(図は原文より)

上の図は食後の4時間の脂肪酸化量を表しています。EX群とEX + LCHO群は有意に脂肪酸化が増加しています。しかし、EX + HCHO群はCON群と比較して有意差はありませんでした。つまり、同じ運動を行いながら、運動直後に糖質をたっぷり摂ってしまうと、次の日の脂肪酸化に影響を与えて、脂肪の酸化を低下させてしまうのです。

上の図は食後の中性脂肪値の変動です。運動していないCON群は空腹時から中性脂肪が高めです。食後CON群はTGスパイクを起こして、EX + HCHO群はCON群よりは少ないもののTGスパイクを認めています。EX群とEX + LCHO群は大きな中性脂肪の増加はありません。

中性脂肪の4時間の曲線下面積です。明らかにEX群とEX + LCHO群は低いですね。EX + HCHO群はEX + LCHO群より有意に高いです。

上の図は食後の脂肪酸化と中性脂肪の曲線下面積の関連です。当然、脂肪酸化が多ければ曲線下面積が小さくなります。

上の図Bは血糖値、Cはインスリン値の推移ですが、どのグループでも差はありません。

体の脂肪を酸化、つまり脂肪を燃やすかどうかは、運動をするかどうかだけではなく、運動後の食事によって変化します。カロリーという言葉で考えてしまうと、このことは理解できません。カロリーは脂質のカロリーも糖質のカロリーもカロリー量が同じであれば、エネルギーは同じだと考えてしまうからです。

古典栄養学のイメージとは反対で、運動後脂質をたくさん摂り、糖質を少なく摂った方が中性脂肪値は上がらず、脂肪酸化は増加するのです。また、運動直後に何を摂取したかにより、次の日のエネルギー源の使い方も変化するのです。

以前の記事「運動前の糖質摂取は脂肪をエネルギーにしにくくなる」「高脂肪食と運動の組み合わせで寝ているときのエネルギー消費量が増加する」などで書いたように、運動の前であっても、運動後であっても、食べるものによりエネルギー源やエネルギー消費量は変化するのです。

運動は大切ですが、何を食べるかの方がもっと大切です。

「Postexercise macronutrient intake and subsequent postprandial triglyceride metabolism」

「運動後の主要栄養素摂取とそれに続く食後中性脂肪代謝」(原文はここ

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