昨日、私の心の中での漢方の「師匠」が札幌で講演をされ、その中で少しの時間だけ私も講演を依頼されました。
医師向けの漢方のセミナーでペインクリニック領域の講演会です。
会場はぎっしり、140人近くになったと聞いています。
そこで私は、数ある漢方薬の中でも一番好きなものについてお話をさせていただきました。
私が最も好きな漢方薬は「治打撲一方」です。ツムラの漢方で言えば89番です。
これは本当にすごい漢方薬で、痛みの治療を行う上では欠かせません。自分自身もぎっくり腰を起こした後にいつもお世話になっています。(「北海道マラソン2018 試練と復活のサブ4」など参照)
漢方は非常に不明なところが多い薬です。それは漢方薬は生薬を少しずつ合わせて作るのですが、それぞれの生薬は非常に少ない量です。西洋薬に比べたらかなりの差があるでしょう。しかし、漢方は効きます。
最近様々なエビデンスが出され、西洋薬よりも効果があるという結果もあります。今回の講演でお話しした内容の中のエビデンスをご紹介します。(図は原文より)
上の図は肋骨骨折を起こした患者さんに治打撲一方を投与した群と、通常の痛み止め(NSAIDs)を投与した群との治療期間の比較です。左が治打撲一方群で、右が痛み止め群です。明らかに治打撲一方群の方が治療期間が短いことがわかります。
私のペインクリニック外来でも恐らくこの治打撲一方が最も使われていると思います。効果がある方であれば劇的な効果を示します。1~2日で大きく症状が改善、消失するのです。
もし、何かの症状で困っていて、通常の西洋薬でパッとしないと思われる方は、一度漢方を試してみてはいかがでしょうか?
「Comparison of the Effects on Rib Fracture between the Traditional Japanese Medicine Jidabokuippo and Nonsteroidal Anti-Inflammatory Drugs: A Randomized Controlled Trial」
「治打撲一方と非ステロイド性抗炎症薬の肋骨骨折に対する効果の比較:無作為化対照試験」(原文はここ)