屋外でマスクって必要?

新型コロナウイルスの感染がだんだんと収束してきていますが、いまだにどこに行ってもマスクだらけです。そんな中、日本小児科医会は5月25日に、「2歳未満の子どものマスク着用をやめるよう」にメッセージを出しました。(この記事参照)素晴らしい。

屋外でランニングをしている人までマスクしています。札幌はまだ涼しいですが、東京などでは大変でしょうね。屋外でマスクって必要でしょうか?必要だという人は私にわかるように説明していただきたいです。

マスクの効果を議論するのは、非常に難しいです。エビデンスは少ないし、マスク大好き人間に何と言ってもわかってもらえないこともあります。普通のマスクは自分がウイルスに感染しないような性能は期待できません。(「マスクの効果が良くわかる本」「マスクが手に入らないからと言って手作りの布マスクな危険かもしれない」など参照)(この論文参照)

しかし、誰が感染しているのかわからない状態であると、自分が感染しているかもしれません。その時に自分が人に感染させないように、ということでみんながマスクを付けるように世界的な流れになっています。

しかし、マスクは本当に人に感染させないと思います?吐き出した息はマスクの中だけに留まるはずがありません。結局は吐いた息や咳はマスクを貫通するか、脇から漏れるだけです。脇から漏れる、つまり前に向かっていかないとしたら、空気の流れは横に行くと思いませんか?そうしたら、横並びは危険でしょ?さらに横から漏れた息は後ろにも広がります。人の後ろも危険でしょ?ではマスクの効果はあるのでしょうか?気休め程度かな…?マスクは空気の流れの方向を変えるだけでしょう。マスクから外に出たウイルスは気流に乗って少し飛んでいくので、風向きや空調の空気の流れでどこに行くかが決まるでしょう。もちろん大きな液滴は下に落ちるのも多いので、距離を取れば少し良いかもしれません。しかし、大きな粒子ばかりではないでしょう。新型コロナウイルスのエアロゾルはICUの中でさえ4mも先まで到達しているのです。(この論文参照)

今回の研究(プレプリント)では様々なマスクを付けた状態での空気、エアロゾルの到達距離を分析しています。(図は原文より)

上の図は今回試した様々なマスクです。順にサージカルマスク、手作り布マスク、FFP1マスク、FFP2マスク(微粒子ろ過率FFP1:80%以上、FFP2:94%以上)、レスピレーター(細かいほこりにさらされる労働者が一般的に着用するマスクのタイプ)、大学作成の軽量フェイスシールド、市販の頑丈なフェイスシールドです。人間の静かな呼吸、激しい呼吸、咳およびマネキンからの模擬咳でテストされました。

上の図は左がFFP2マスクで、右が手作り布マスクです。FFP2マスクの咳の気流は前方の貫流の最も効果的な防止を示しました。手作りのマスクによって部分的に封じ込められた咳の気流の分散により、大幅な漏れジェットが起きています。

上の図はサージカルマスクで、左が静かな呼吸、右が激しい呼吸です。サージカルマスクによって効果的に閉じ込められた静かな呼吸の気流は上向きに排出されています。激しい呼吸では部分的に閉じ込められた大量の呼吸の気流の分散により、大幅な漏れジェットが起こっています。

軽量のフェイスシールドで咳をすると、強い下向きジェットをもたらします。

上の図は気流の漏れの方向を示します。

上の図は静かな呼吸の場合の比較です。表の一番上はマスクなしですが、それと比較すると、前方への貫流の到達距離は、レスピレーター以外は約10分の1以下になっています。サージカルマスクは眉の方向(Brow)に20cm以上のジェットを起こしています。眼鏡していると曇りますからね。

上の図は激しい呼吸の場合の比較です。静かな呼吸と異なり、前方の貫流の到達距離はサージカルマスクで半分程度、FFPマスクで3分の1程度でした。意外なことに市販の頑丈なフェイスシールドでも前方への貫流が認められます。継ぎ目などにわずかな隙間でもあるのでしょうか?サージカルマスクと手作りマスクに眉の方向(Brow)にジェットを認めました。

上の図は咳の場合の比較です。サージカルマスクで3分の1程度、FFP2マスクでは10分の1程度でした。頭の方向(Crown)へのジェットをすべてのマスクで認めました。

上の図は様々なマスクのジェットが移動した様々な方向の最大距離です。すべてに共通するのは頭の方向(Crown)のジェットです。またいくつものマスクで眉の方向(Brow)にもジェットが出ているので、マスクをして座っている人の近くに立つのは危険です。

レスピレーター以外ではすべてで横方向(Side)もジェットを形成しています。つまりマスクをしている状態での横並びは危険です。

前方への貫流を認めないのは作成した軽量フェイスシールドだけでした。通常は数十cmは気流が出ているようです。

2つのフェイスシールドと手作り布マスクは下方向(Down)にジェットが出ています。アベノマスクをしている安倍さんを思い出せば、顎がガッツリと出ていますからね。下向きのジェットが出ているマスクをしている人が近くに立っている場合、その人そばに座っているのは危険でしょう。

さらにサージカルマスク、手作りマスク、フェイスシールドでは後ろのジェットを認めます。マスクをしている人の後ろも危険です。

サージカルマスクでも手作りのマスクでも一般的なマスクでは、吐き出された呼吸の前方への流れは制限しますが、側方、後方、上方、下方に広範囲に及ぶ漏れのジェットを生成します。ウイルスを出している場合、マスクをしていると顔中ウイルスだらけになりそうですね。危険と考えるならば、どこにどうやっていても危険です。ジェット気流に乗って飛び出したウイルスはその後は下に落ちるか、風や室内での空調の気流に乗ってしばらく漂うかもしれません。避けようがありませんね。そうであるならば、ある程度の距離を取れば、マスクはほとんど意味が無いと思われます。

室内ならまだしも、屋外でマスクは必要でしょうか?これから夏に向かって気温が上がってきます。室内ではアリバイのようにマスクをするのは良いと思いますが、外にいるときぐらい状況をみて外しましょう。そうしないと具合が悪くなるかもしれませんよ?ランナーがマスクをしても激しい呼吸が前方に行くか、側方や後方にジェットになるかです。どちらにしても風向きでどこに行くかわかりません。誰のための、何のためのマスクでしょうか?風に乗って届いたそのウイルスに感染性があるかどうかはわかりません。

人に新型コロナを感染させないためのマスクと思い込まされていますが、かなり怪しいでしょう。自分が感染している状態でマスクの外に自分のウイルスを出さないようにすることは不可能ですし、ほとんど減りもしないでしょう。よくもこれまで満員電車で新型コロナウイルスが感染拡大しなかったですよね?やはり日本人はBCGでブーストされて、新型コロナに強いのでしょうか?やはり、無症状の人はほとんど感染力が無いのでしょうね。

先日テレビで、これからの新しい日常では電車はみんなが同じ方向を向いて乗る方が良いと言っていましたが、マスクによる後方ジェットを考えると、相当危険なアドバイスです。

そういえば、緊急事態宣言解除されたのに、アベノマスク届いてないなあ…

「Face Coverings, Aerosol Dispersion and Mitigation of Virus Transmission Risk」

「フェイスカバー、エアロゾル分散、ウイルス感染リスクの軽減」(原文はここ

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コメント

  1. 川瀬 より:

    この記事待っていました。ありがとうございます。ずっとマスクに?でした。戸外で必要なんだろうか。1人で車に乗っている人がなぜしているの?不要不急のマスク反対って。私はマスクの効果も疑問だし嫌いなので今までマスクなしでどうにか過ごしてきましたが、職場で強制されるので、6月から憂鬱です。教員なんですが、マスクして授業なんて、本当に嫌。相手は重症化の危険のほとんどない10代の子どもたちなのに。強制するならマスクして人前で話すのと、しないで話すのではこれだけ違うという科学的根拠が欲しいです。無理そうなので、この記事で少し溜飲を下げて、6月に備えます。

    • Dr.Shimizu より:

      川瀬さん、コメントありがとうございます。

      結局何のためにやっているかを理解していない人が多いし、根拠も乏しいことを同調圧力でやらざるを得ないのでしょうね。
      女性で顔を隠すためのマスクは別として、一人で運転している人がマスクをしているのは失笑してしまいますね。
      マスクだけでなく、過度な手指消毒も子供たちに悪影響にならないと良いですね。普通の風邪をひきやすくなったり、アレルギーなど増えそうな予感です。

  2. 西村 典彦 より:

    >日本小児科医会は5月25日に、「2歳未満の子どものマスク着用をやめるよう」にメッセージを出しました。

    私もそうすべきだと前々から感じていました。

    通勤時にマスクを着けて歩きながら、SpO2を連続測定してみたんですが、明らかにSpO2が下がったり、それを補うように脈拍が上がったりして体に負荷をかけている事が気になっていました。子供に限らず、心臓疾患のある方や高齢者にも良くないかもしれません。

    • Dr.Shimizu より:

      西村 典彦さん、コメントありがとうございます。

      動きながらのSpO2測定は脈拍を含めて、ノイズが入り不正確である可能性もあります。
      しかし、マスクあり無しで比較したのなら貴重な経験ですね。
      マスクが負担になり、心疾患や高齢者がコロナよりもマスクで死んでしまったのでは本末転倒ですね。

  3. kazu より:

    私も気休めにもならないと思っていたのですが、たまに行くスーパーや病院ではマスクをしています。マスクをつけないのは非常識だ、という同調圧力に屈した形です。
    ところで、マスクをつけていれば、physical distanceの必要はないと京大・宮沢氏が言っているという話題を目にしました。密な空間では意義があるということか?
    話は変わりますが、昨晩のNHK番組で北大・西浦氏の話として感染が再拡大した場合でも今回のようなステイホームは必要ないと考えているようです。具体的な理由の説明はありませんでした。東洋経済の記事から類推すると、集団免疫の考えを宮坂先生提唱の域値に変更した?のではと思われます。
    仲々このテーマから離れられないですね。

    • Dr.Shimizu より:

      kazuさん、コメントありがとうございます。

      私は同調圧力というより、無用な争いを避けるためのマスクです。
      西浦先生の番組は見ていませんが、なんとなく何か結果に合わせて、言うことを修正しているようですね。

  4. 鈴木 武彦 より:

    マスクでランニングといえば、50歳になっても現役復帰を目指して日々トレーニングをしている
    辰吉丈一郎は、心肺に負荷をかける為に以前からロードワークはマスク着用で行っているそうです。
    マイクタイソンも復帰の為にトレーニングを行っている動画を見ました。
    男、50を過ぎると目前の老いに抗って、もう一花咲かせたくなるのでしょうか。
    (同年代なのでなんとなく共感はしますが、、、)

    新型コロナウィルス感染症で気になるのは、都市封鎖等の極端な対応を行わなかった
    北欧スウェーデンが、感染者、死者共に北欧諸国の中で突出している、という記事です。どういうことなのでしょうか。

    • Dr.Shimizu より:

      鈴木 武彦さん、コメントありがとうございます。

      辰吉丈一郎さん、懐かしいですね。薬師寺選手との1戦は歴史に残る名勝負でしたね。
      しかし、もうパンチドランカーなのでやめた方が良いかと思います。

      北欧諸国と比較するのか、他のヨーロッパ諸国と比較するのかで、そこから見えるものが違うと思います。
      北欧では突出していますが、イギリス、スペインなどと比較すると少し少ないぐらいです。
      評価が難しいところでしょう。