運動は健康的と考えられていますが、過度の運動は心臓に負担をかけてしまう場合もあるでしょう。(「トライアスロンのような過剰な運動は男性の心臓を危機に陥れるかもしれない」など参照)
しかし、座ってばかりの非活動的な生活では心肺機能が低下してしまうでしょう。適度な運動を行い心肺機能を良好に保つことは長生きの秘訣かもしれません。
今回の研究では年齢と性別に応じた、トレッドミルを使った運動テストを行い、どれくらいの運動が可能かを測定して、心肺機能で5つのグループ分けを行っています。低(低い方から25%未満)平均以下(25〜49%)、平均以上(50〜74%)、高(75〜97.6%)、エリート(97.7%以上)です。
結果は次のようになりました。(図は原文より)
上の図は生存率を示しています。心肺機能の最も低い、低群は見事に生存率が低下しています。それ以外のグループではそれほど大きな違いを示していませんが、心肺機能が高いほど死亡率が低くなっています。
上の図はリスク調整済み全原因死亡率で、Aが全体、Bは男女別ですが、どちらを見ても、心肺機能が高くなればなるほど死亡率が低くなっています。もっとも低い低群と比較して、平均以下群でさえ、リスクは半減しています。
上の図はそれぞれのグループの特徴です。当然のように、心肺機能のパフォーマンスが低いほど、BMIが高く、冠動脈疾患(CAD)、糖尿病(Diabetes)、高血圧(Hypertension)、末期の腎障害(ESRD)、喫煙者の割合は高くなっています。しかし、面白いことに脂質異常症(高脂血症)(Hyperlipidemia)は逆にパフォーマンスが高い方が割合が高くなっているのです。「コレステロール値に一喜一憂しないために」などで示しているようにコレステロールが高い方が死亡率が低いことと関連しているとも考えられます。
コレステロールの基準値自体が、実際の死亡率などの臨床的な有害性と乖離してしまっていると考えられます。スタチンを処方したいがための基準値であり、実際に患者を良くしているかどうかとはかけ離れているのです。
いずれにしても、運動は非常に重要でしょう。程度問題とは思いますが、何もしないことは心肺機能を低下させ、死を早める可能性があります。少し息が上がるくらい、汗が少し出るくらいの運動を週に何度か行うことは、健康につながると考えられます。
今日からエクササイズ!
「Association of Cardiorespiratory Fitness With Long-term Mortality Among Adults Undergoing Exercise Treadmill Testing」
「エクササイズトレッドミルテストによる成人の心肺機能と長期的死亡率との関連」(原文はここ)