高齢者の血圧を下げると死亡率が上がる

以前の記事「高齢者は血圧を下げすぎてはいけない! その1」で書きましたが、高齢者の血圧を下げすぎると、死亡率が高くなる可能性があります。

現在では、血圧は130を超えないよう、しかも出来るだけ低く保つというのが原則になっているようです。(「日本も高血圧の目標値を下げる?」など参照)塩分制限をして、減量を指導し、降圧薬を投与することが通常です。(私は疑問をいろいろ持っていますが。)

しかし、高齢者でも血圧を低くすることは良いことなのでしょうか?今回の研究では 、70歳以上の高齢者で高血圧として診断されている患者さんについて、血圧をコントロール(140/90mmHg未満)できているグループと、コントロールできていないグループに分けて約5年間追跡して、死亡数、血圧コントロールの効果を調べました。

そうすると、血圧をコントロールできているグループは、コントロールできていないグループと比較して、全原因死亡リスクがなんと26%高くなってしまいました。

これらのグループを、心血管イベントが以前にあった場合と、ない場合に分けると、心血管イベント既往例では、血圧をコントロールできているグループは死亡リスクが61%上昇したのです。さらに79歳までと、80歳以上に分けて、それぞれの死亡数を調べてみると、なんと80歳以上の高齢者では、血圧がコントロールできているグループの方が、コントロールできていないグループより死亡リスクが40%上昇していたことがわかったのです。(図は原文より)

上の図は、収縮期血圧(横軸)と全原因死亡のリスク(縦軸)の関連を示しています。収縮期血圧130 mmHg未満(および拡張期血圧90 mmHg未満)では、全死因死亡のリスクの42%増加と関連していました。 収縮期血圧150以上ではリスクが少し高くなるように見えますが、有意差はありません。つまり、血圧が下がることだけが死亡のリスクを上げることになり、薬で血圧を下げるメリットがほとんど感じられません。

上の図は全原因死亡のリスクと連続変数としての収縮期血圧との関連を示しています。グラフはU字を描いていますが、血圧130ぐらいから200まではリスクが高くなっていません。血圧が高くなることがリスクを上げるのは、210~220ぐらい以上のようです。逆に収縮期血圧が100前後などというのは非常にリスクが高くなることがわかります。

心血管イベントを起こした人の方で高齢者の場合、血圧をコントロールすることは、逆に死亡のリスクを高める結果となりました。心血管イベントを起こすということはすでに動脈硬化が進んでいます。そのような血管を持つ臓器は、高い血圧を保たないと臓器の血流が保てないのだと思います。

80歳を超えたら、血圧が150前後になっても気にしないようにしましょう。

「Control of blood pressure and risk of mortality in a cohort of older adults: the Berlin Initiative Study」

「高齢者のコホートにおける血圧の制御と死亡リスク:ベルリンイニシアティブ研究」(原文はここ

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