現在の日本の陽性率を見るとPCR検査数は妥当な数?

日本のテレビではネタがないのか、まだ新型コロナウイルスのPCR検査について毎日のように少ない少ないと言っています。最近最も感染拡大が心配されていた北海道の札幌でさえ、すでに陽性率は3.3%(5月9日)でしかありません。(札幌の発表している陽性率は毎日変動しますので5月10日は8.7%でした。7日間移動平均も発表してほしいですね。)(ここ参照)感染が疑われたり、濃厚接触など陽性率が高い人で検査して3.3%であれば問題ない数でしょう。症状が無い人までやりたい人にすべてPCR検査をしたら大変なことになります。ちなみに大阪は5月9日で2.6%、東京は7.6%です。(ここここ参照)陽性率3%を基準と考えるとすれば、大阪は丁度いい検査数、東京(札幌も)はまだまだ少ないことになります。

驚くことに、日本の政府、厚労省はPCR検査の陽性率を把握しておらず、5月6日の報道によると、やっと「集計方法などを検討する方針」だそうです。いまだに検討する段階です。情けなし…

ドイツのプロサッカーリーグのブンデスリーガでは、再開に向けてPCR検査を行いました。(ここ参照)1,724人中陽性者は10人でした。陽性率0.58%!

PCR検査の感度を70%、特異度を99.5%とすると、

コロナ感染ありコロナ感染なし
検査陽性1.4人8.6人10人
検査陰性0.6人1,713.4人1,714人
2人1,722人1,724人

上のような計算になるでしょうか?陽性的中率14%!陽性者の8~9人は陽性でもないのに、陽性者として扱われてしまいます。ドイツブンデスリーガでの現在の有病率は0.1%程度と考えられ、こんな低い有病率でPCR検査をするのは全く意味がありません。陽性者を多めにカウントしたとしても、1人でも陽性者を見つければ良い、またはリーグ再開の目安だけに用いるのだとしたら、それはそれで良いのかもしれませんが…一般市民でこんなことはできません。こんな状態で大勢の人が偽陽性と判定されたら、本当は感染していないのに、社会的な差別を受ける可能性があります。

ニューヨークはすでに陽性者数や死亡者数が減少してきてはいますが、まだ1日30,000件以上の検査を行い、陽性率は10%以上です。日本とレベルが違います。アメリカの人口当たり死亡率は日本の125倍以上です。しかし、人口当たりのPCR検査数はアメリカは日本の16倍程度です。どう評価するかは難しいですね。

上のtwitterのように、ニューヨーク市の死亡者数はアジア全体の死亡者数よりも多いのです。よく報道では、欧米では誰でもPCR検査を受けられる、という論調ですが、この記事によると実際は違うようです。クオモ知事の会見での話では、

ニューヨークでは基本的に、コロナの軽症だとされる人は受診したりウイルス検査(日本でいうPCR検査)をしたりすることがなかなかできない。よって感染者として確認された人というのはつまり、ある程度「重め」の症状がある人ということになる。そこからさらに重い症状の人は入院治療となり、それ以外の人は自宅療養となる。

と言っていたようです。つまり、日本と大して状況は変わりません。しかしあまりにも感染者が多いというだけです。どちらが本当かわかりませんが、市長が会見で言っているくらいなので、実際にはPCR検査のハードルはものすごく低いわけではなさそうです。

現在の日本は感染率がかなり減少傾向となっているのに、まだPCR検査について議論しているのが良く理解できません。今後の再拡大に向けて準備をしておくという意味だと思ってはいますが、感染率がかなり低下してきたこれから韓国のように何でもかんでもPCR検査は意味がないばかりか有害になると思います。

PCR検査数が多いこと=感染の拡大防止に成功、といういくつかの国の成功例はありますが、本当の因果関係はもちろんはっきりしませんし、日本のように検査数が非常に少ないのに感染拡大がそれほど起きていない国もあります。何が良いのか悪いのかはまだわかりません。欧米はものすごい数の検査をしても陽性率20~30%ですから、どんどん検査しないとならない状況であったとも考えられます。ドイツも4月20日の時点で陽性率8%なので、まだ検査数が十分ではない状態なので、どんどん検査をしていると思います。

そして、この記事ではさらに興味深いことが書かれています。新規の患者が罹患した場所として、

その他8%
特別養護老人ホーム18%
刑務所1%以下
ホームレス2%
自宅66%
集会、礼拝所、葬儀など人が多く集まる場所2%
介助者付き居住施設4%

としています。自宅が最も多いのです。さらに仕事に関しては次のようです。

働いている人17%
退職者37%
失業もしくはもとから無職で働いていない人46%

感染者の多くはロックダウンでも働かざるをえないエッセンシャルワーカーではないかと言われてきたのですが、実際には働いていない人の方が感染が多いのです。さらに日々の移動手段については次のようです。

カーサービス(タクシー、ウーバーなど)1%
自家用車3%
公共交通機関(地下鉄、電車、バス)3%
徒歩 2%
N/A(在宅勤務で何も利用していない、など)90%

つまり、Stay homeが最も感染が多いのです。(「感染拡大防止に「Stay home」は意味がない?」参照)感染者の多くはエッセンシャルワーカーなどで、通勤のため公共交通機関を頻繁に利用しているのではないかと言われてきたのですが、どうやら違うようです。つまり、通勤は感染を拡大させない可能性があります。在宅勤務がどれほど有効なのかは未知数ですし、この結果を見ると逆効果だということになります。

感染拡大防止策は根拠が非常に乏しい状態で、どの国も思い込みで実施している感じですね。

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コメント

  1. 鈴木武彦 より:

    新型コロナウィルス感染症、謎の部分が多いですね。

    PCR検査、抗原検査、抗体検査、
    手洗い、(running中にも!)マスク、三密防止、
    ソーシヤルディスタンス、ロツクダウン、ステイホーム、
    (補償無き、半強制的)自粛、等々
    対策はどれも有効性が曖昧で、「自粛ポリス」の横暴などの弊害も大きいです。

    国や地域によって感染者数、重症化率や
    死亡者数にあまりにも偏りがあるのは、
    先生も繰り返し述べられているように、元々の免疫力の差など、上記の「対策」とは無関係なのかもしれません。

    ただ判明してしまったのは、社会の営みが、人と人とが直接会わなくても
    十分やっていけるのではないか?
    むしろこういう世界の方が無用なストレスや無駄な業務から解放されるのではないか?
    ということだと感じています。

    • Dr.Shimizu より:

      鈴木武彦さん、コメントありがとうございます。

      ロックダウンやステイホームの有効性を十分に評価していただかないと、また同じようなことをやってしまうでしょう。
      無用なストレスや無駄な業務からは解放されたいですが、自由と引き換えではうれしくありません。

  2. 鈴木武彦 より:

    おっしゃる通り。

    国民が気がつかないうちに
    (総理の欲求に忠実に)
    基本的人権である”自由”を束縛しようとしている政府には、注意していく必要があると思いました。