糖尿病では血栓性合併症を起こすことが珍しくありません。高血糖は肝臓でのトロンボポエチンの増加をもたらすと考えられています。
トロンボポエチンは血小板の前駆細胞の巨核球の増殖および分化に関与し、血小板の形成を促進します。そして、血液中に新たに放出された血小板は網状血小板と呼ばれ、サイズが大きく反応性が高い血小板です。
糖尿病では平均血小板容積の増加や網状血小板の数の増加を認めます。反応性の高い血小板は白血球と凝集体を形成する可能性が高く、炎症ももたらします。
(図はここより)
上の図は横軸がHbA1cで縦軸が網状血小板の割合です。HbA1cが高くなるほど網状血小板の割合は高くなります。
上の図は網状血小板と白血球との凝集体など、コントロールと2型糖尿病の比較をしています。網状血小板と白血球との凝集体は2型糖尿病で多くなっています。健康なコントロールでは、網状血小板は血液1リットルあたり約1.4×1010でしたが、糖尿病では血液1リットルあたり約3.2×1010でした。
糖尿病患者はしばしば抗血小板療法に対して低反応性を示しますが、網状血小板は抗血小板薬に対する反応が悪いようです。
実は高血糖で肝臓でのトロンボポエチンの増加により血小板数自体の増加があるのではないかと考えていました。例えば小児のてんかんでケトン食療法をすると、ベースラインで軽度の血小板増加が24%で観察され、それがケトン食で正常化したという報告もあるからです。(この論文参照)つまり何らかの炎症があると血小板が増加し、血糖値を低下させたり、ケトン体を増加させれば血小板数が減少するのではないかと思いました。しかし、どうやら反応性の高い網状血小板の割合による血小板の反応性の増加がメインで、血小板全体の数は増えないのかもしれません。
いずれにしても血栓症のリスクを減らすには高血糖を避けるべきでしょう。糖質制限がやはり大事ですね。
「Sugar makes neutrophils RAGE: linking diabetes-associated hyperglycemia to thrombocytosis and platelet reactivity」
「砂糖は好中球終末糖化産物(RAGE)を産生する:糖尿病関連高血糖を血小板増加症と血小板反応性に結びつける」(原文はここ)
残暑お見舞い申し上げます。
『幻覚剤は役に立つのか』という翻訳新刊本、怪しい題名ですがとても示唆に富む、
好意的に評価すれば画期的精神療法の内容です。
糖質制限も決して医学の主流ではない状況ではありますがその画期的な効果は間違いない、と感じます。
(そもそも製薬会社も、医療機関も、継続的、安定的に収入をもたらす薬剤の製造、治療法が主流になりがちなのでしょうか。経営的には当然なのでしょうが)。
もしかしたら、健康・幸福であることと、現在医学の主流と言われるものが乖離しているのでしょうか。
鈴木武彦さん、コメントありがとうございます。
怪しい題名の本のご紹介ありがとうございます。
ただ医師としてはなかなか使えないかも。
現代医療の主流は薬物治療でしょう。
薬を使わないと治療ではないと思っている医師も多いかもしれませんね。