糖尿病ではインスリン抵抗性によりインスリン分泌が増加したり、β細胞が疲弊してインスリン分泌が低下したりします。
このとき、実際にすい臓はどうなっているのでしょうか?
今回の研究は41人のメトホルミンだけでHbA1c7.6%以下にコントロールされている糖尿病の人と正常の人(コントロール)14人を比較しています。(図は原文より)
上の図はすい臓の体積です。左側の黒のバーが2型糖尿病、右の白いバーがコントロールです。明らかに2型糖尿病の人のすい臓は体積が減少しています。33%も減少です。
上の図は上から順に、2型糖尿病グループ、コントロールグループ、すべての人を合わせたものにおけるHOMA-β(インスリン分泌能)とすい臓の体積の関係です。糖尿病の有無にかかわらず、すい臓の体積はインスリン分泌能と相関しているようです。ということは、もともとすい臓が小さい人は糖尿病になりやすいのでしょうか?
上の図は画像検査でのすい臓の形態です。一番上の画像の「pancreas」という部分がすい臓です。下の6枚は左が糖尿病、右側がコントロールです。糖尿病の3枚の画像のすい臓の辺縁はギザギザした不整像を認めているのがわかると思います。
上の図はすい臓の中性脂肪含有率です。2型糖尿病ではコントロールと比較して23%中性脂肪率が高くなっていました。
糖尿病ではすい臓の脂肪が多いのに、体積は減少しているのです。
糖尿病が改善すると、このすい臓の体積も改善するようです。(ここ参照)
もちろん、現段階では糖質制限によってすい臓の体積や形態がどのように変化するのかは不明です。恐らくかなり回復しているのではないかと思いますが…
「Altered volume, morphology and composition of the pancreas in type 2 diabetes」
「2型糖尿病におけるすい臓の体積、形態および組成の変化」(原文はここ)
糖質制限ダイエット(健康法)においては、食物繊維や必須微量元素(ミネラル/ビタミン)の摂取、
*ただ、サプリでの摂取は否定しています。
脂肪の質の大切さ(脂肪摂取は必須ですが、トランス脂肪酸などは不可)、
日常的な運動も必須 等、
『果糖中毒』(ロバート・H・ラスティング)を読んで改めて確認しました。とても面白い本です。
鈴木 武彦さん、コメントありがとうございます。
人間なので運動は必要でしょう。脂質もタンパク質も非常に重要だと思います。
>もともとすい臓が小さい人は糖尿病になりやすいのでしょうか?
ある方のブログの読者(私を含む痩せ型糖尿病)数名が、幼少期に少食であったと言う興味深い共通点がある事に気づきました。
体が発達する幼少期に少食で痩せ型であれば、将来、非肥満の糖尿病になるのでしょうか。
糖尿病患者の膵臓が小さいと言うデータは非常に興味深いです。
もしかしたら体が発達する幼少期に少食であったため、膵臓も大きくならなかったと考えることもできそうです。
もし、そうだとすれば、これは糖尿病発症リスクの因子となりうるかもしれません。
反対に、そもそも膵臓が小さかったから少食で、インスリンを節約していたとも考えられるのではないでしょうか。
西村 典彦さん、コメントありがとうございます。
私はもしかしたら幼少期というよりももっと前、つまり子宮内や乳児期が関係しているのではないかと思います。
子宮内や母乳を通じて、例えば高血糖や高インスリンにさらされたり、人工甘味料や様々な薬剤や環境などの影響で、
インスリンを分泌する細胞やインスリン受容体、インスリンのシグナル伝達などに影響を及ぼし、そのことで上手く脂肪を溜め込めなかったり、
筋肉がつきにくかったりなどで痩せ型になるのではないかと思います。
さらに、そのことで高血糖を避けるために、通常よりも早めに満腹になるように信号が出て、少食になっていたのかもしれません。