糖質制限に適応する期間

糖質制限を始めたばかりのときは、人によってさまざまな負の症状を感じることがあります。いわゆるケトフルというもので、倦怠感や頭痛、めまい、気力の低下などが起こることがあります。多くはエネルギー不足や塩分や水分の不足だと思われます。(「糖質制限で倦怠感やエネルギー切れを感じる場合」参照)

では、どれくらいで糖質制限に適応するでしょうか?一般的(?)には2週間程度と言われていますが、個人差もあるでしょう。

今回の研究では、糖質制限に対する生理学的適応について、エネルギー消費量の変化という観点から分析しています。炭水化物の割合を変化させた様々な研究、29の試験、617人の参加者が含まれ、期間は1日から140日(中央値:4日)でした。介入群間の炭水化物の差は、エネルギー摂取の8%から77%の範囲(中央値:30%)でした。(図は原文より)

上の図は、0よりも右側が低炭水化物食の方が総エネルギー消費量が増加したもので、左側が高炭水化物食の方が総エネルギー消費量が増加したものです。興味深いことに、試験の期間によって総エネルギー消費量は影響を受けました。図の上側の23の試験は17日以下の期間のものでした。期間の短い試験では低炭水化物食の方が総エネルギー消費量は1日当たり50.0kcal減少しました。

しかし、下側の17日を超える6つの試験では低炭水化物食の方が、1日当たり135.4kcalも総エネルギー消費量が増加していたのです。炭水化物の10%減少ごとに、より短い試験とより長い試験での総エネルギー消費量に与える効果は、それぞれ-14.5kcal/dと50.4kcal/dでした。

つまり、糖質制限を始めて17日、約2.5週間経過すると総エネルギー消費量が大幅に増加するのです。この期間がある程度、糖質制限に対する生理学的適応を示す期間と考えられると思われます。おおむねこれまで言われてきた2週間というのはあながち間違ったものではなかったと思われます。

糖質制限を始めて2~3週間はある程度の我慢が必要なのかもしれません。

 

「Do Lower-Carbohydrate Diets Increase Total Energy Expenditure? An Updated and Reanalyzed Meta-Analysis of 29 Controlled-Feeding Studies」

「低炭水化物ダイエットは総エネルギー消費量を増加させるか?29の制御された摂食研究の更新され再分析されたメタ分析」(原文はここ

2 thoughts on “糖質制限に適応する期間

  1. >糖質制限を始めて2~3週間はある程度の我慢

    まさに私も3週間目に倦怠感と気力の低下を感じました。
    ここで制限を緩めるか続行するか悩みましたが、とりあえずスーパー糖質制限を続行しました。
    やがて倦怠感もなくなり、非常に体が軽く感じるようになったのを覚えています。

    糖質制限も12月から4年目に入り、先日もコメントしましたが、9月からは糖質制限に加え、カロリーも制限する実験中です。
    不思議な事にカロリーを制限してから、皮膚が滑らかになり艶が出てきました。皮膚のターンオーバーが早くなっているように思います。
    体も軽くなり、歩く速度も昔のように早くなっています。
    元々、痩せ型だったので、いわゆる標準体重では私個人としては、まだ肥満なのではないかと言う思いからカロリーも制限してみようと思ったのが始まりでした。
    体が低カロリーモードでいわゆるエコ運転しないように週末だけは多めに食べて(2500kcal程度)、平日は1500kcal程度にしていますが、間欠的ファスティングのような効果が出ているのではないかと思われます。
    βヒドロキシ酪酸が上昇し(400→900~2000μmol/L)、明らかに脂肪燃焼していることが分かります。
    現在BMIが21を切ったところですが、体調が良いのでもう少し(BMI20くらいまで)続けてみようと思います。

    1. 西村 典彦さん、コメントありがとうございます。

      非常に興味深い経験の情報をありがとうございます。
      今後も変化があったら教えてください。

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