糖尿病の胃の血流と消化管潰瘍とPPI(プロトンポンプ阻害薬)

高血糖、糖尿病では様々な組織の血流が低下します。当然胃の血流が悪くなります。胃粘膜の微小循環は糖尿病で有意に低下しているという報告もあります。(ここ参照)

そうすると、糖尿病では出血性の消化管潰瘍のリスクも高くなると思われます。

ある研究では非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)以外の危険因子として、糖尿病が3.1倍も出血性の消化管潰瘍の可能性を高めました。(ここ参照)

日本の研究でも、糖尿病があると消化管潰瘍による入院期間が長くなり、30日院内死亡率の可能性が2倍以上高くなったと報告しています。(ここ参照)

糖尿病では炎症が促進され、様々な痛みを発する可能性が高くなります。そうすると、消化管潰瘍の危険因子である、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)を使用する頻度も高くなるでしょう。

さらにそうすると、消化管潰瘍を防ぐために漫然とPPI(プロトンポンプ阻害薬)が処方されてしまいます。

糖質過剰摂取から消化管潰瘍、または糖質過剰摂取から痛み→非ステロイド性抗炎症薬→PPIの使用となっているのですから、PPIをやめるにも、消化管潰瘍を改善するにも必要なことは糖質制限ということになります。それをしなければずっと様々な薬を処方され続けます。根本原因から目を背け続けることがポリファーマシー(多剤併用)になってしまうのです。

一体、どれくらいの人がPPIの長期処方のリスクを説明されているでしょうか?また、PPIをやめる試みを医師から提案されているでしょうか?根本の原因を改善せずにあまりにも多くの薬が漫然と処方され続けています。

以前の記事「PPI(プロトンポンプ阻害薬)とすい臓がん」「PPI(プロトンポンプ阻害薬)は食道がんのリスクを高める」「PPI(プロトンポンプ阻害薬)の長期使用と胃がんのリスク」で書いたように、PPIは様々ながんのリスクを高めます。

すい臓がんのリスクはアジアの研究では2.7倍です。食道がんは腺がんが約4倍、扁平上皮がんが約2.8倍です。40歳未満だけを見れば、 腺がんが約28倍、扁平上皮がんが約12倍です。胃がんでは40歳未満のPPI使用者で最も高く、その発生率はなんと22.76倍!70歳以上では2.76倍でした。

このようなリスクを処方時に聞いたことがある人は恐らくいないでしょう。糖尿病、糖質過剰摂取自体ががんのリスクです。そして、PPIが加わればさらに恐ろしいことになってしまう可能性が高くなります。

消化管の動きを低下させ、血流を低下させ、消化管潰瘍や胃食道逆流症のリスクになるような糖質過剰摂取をまずは止めるべきでしょう。PPIは根本的な解決にならないどころか長期的には有害である可能性が高いのです。

こんな危険をおかしてまで糖質を摂り続けますか?

糖質過剰症候群

「Problems Associated with Deprescribing of Proton Pump Inhibitors」

「プロトンポンプ阻害剤の説明に関連する問題」(原文はここ

2 thoughts on “糖尿病の胃の血流と消化管潰瘍とPPI(プロトンポンプ阻害薬)

  1. 根本原因から目を背け続けることがポリファーマシー(多剤併用)になってしまうのです。←あまりに正論で、現状の医療に不信感を持ってしまいます。

    1. 鈴木 武彦さん、コメントありがとうございます。

      医療も利益を上げなければつぶれてしまいますから。

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