最近は抗うつ薬処方に対するハードルが非常に低くなっているのではないかと思います。うつ病の原因がセロトニン仮説だけに偏ってしまい、それに対する薬が非常に多く使われています。セロトニン仮説は正しいかどうかは確かめられていませんし、私は間違っていると思っています。
さらに、製薬会社は抗うつ薬を腰痛などの治療にも広げてしまっています。本当に腰痛に効果があるのでしょうか?(「サインバルタ慢性腰痛症に適応拡大」など参照)
さて、安易に処方されるようになった抗うつ薬(SSRI、SNRI)には様々な副作用がありますが、大きな問題の一つに性欲や性機能の低下があります。薬を中止してもかなり長い間(数か月から数年)、またはもしかしたら永続的に起こる可能性があります。
しかも男性では勃起不全や性欲減退だけでなく、中には陰茎のサイズの減少、精液量の減少、精巣萎縮という変化さえ現れる可能性もあります。女性でも深刻です。
これは「Post SSRI Sexual Dysfunction」(SSRI後の性機能障害(PSSD))としてよく知られています。しかし、患者側にしっかりと説明されているかどうかは非常に疑問です。
また、一部の医師はこのような症状をうつ病の再発や新たな病気として捉えるかもしれません。
さらに問題なのは適応外でありますが、早漏の治療薬として一部の医師が処方していることです。
このような性機能障害のメカニズムはまだはっきりとはわかっていません。セロトニンの90%以上の大部分は脳ではなく末梢に存在しています。それが関係していいるのか、遺伝子発現の変化、ドーパミン-セロトニン相互作用、セロトニン 神経毒性、受容体などの低下、中枢および末梢神経系のホルモン変化などが考えられています。
これらの抗うつ薬は服用後30分以内でほとんどの人が性器の感覚のしびれ、低下を感じるそうです。その効果はリドカインなどの局所麻酔薬の効果に匹敵するそうです。恐ろしい!ある人では、性的な刺激を誘発するために硬い毛のヘアブラシで外陰部をこすつけても、何も感じないほどだったそうです。さらに治療法がないことも非常に問題でしょう。
新型コロナウイルスのパンデミックで多くの人がうつ症状を訴えていると言われています。SSRIやSNRIといった抗うつ薬の処方が増える可能性があります。しかもこれらの抗うつ薬の副作用には自殺があるという事実も見逃せません。これらの薬が現在の若い人たちの自殺の増加の原因になっていないことを祈りたいと思います。
さらに、これらの抗うつ薬には深刻な離脱症候群も起こる可能性があります。それについてはいつか記事にしたいと思います。
うつ症状はまず食事が関係していないか見直すべきでしょう。(「うつ病の大きな原因のひとつは炎症である」「うつ、不安障害・気分障害などの一般的な精神障害の原因の一つは糖質過剰摂取である」など参照)また、腰痛や早漏などの症状ではこれらの薬に手を出さないようにするべきでしょう。
糖質過剰症候群 糖質制限
「Post-SSRI Sexual Dysfunction: A Literature Review」
「SSRI後の性機能障害:文献レビュー」(原文はここ)