インスリン抵抗性を表す中性脂肪/HDLコレステロール比の性差

インスリン抵抗性は非常に重要ですが、インスリン値を測定するのは通常ではハードルが高いでしょう。しかし、日常の診療で血液検査する項目で十分に予測可能です。それが中性脂肪/HDLコレステロール比(TG/HDL-C比)です。

今回の研究では、日常的に測定できる項目とインスリン抵抗性の予測の精度を分析しています。(図は原文より)

上の図は全ての人、正常空腹時血糖の人、空腹時血糖障害の人のインスリン抵抗性またはメタボリックシンドロームの予測の精度です。TG/HDL-C比が最も精度が高くなっています。

ちなみにHTWというのは、高中性脂肪-腹囲表現型で、男性の腹囲90cm以上、女性の腹囲≥85cm以上かつ中性脂肪値が男性177mg/dL(2mmol/l)以上、女性133(1.5mmol/l)以上と定義されています。

TG/HDL-C比に関して、この研究では男女によって最適なカットオフ値の違いを述べています。親切にも今回のTG/HDL-C比はmg/dL単位で示してくれているので、日本の検査の単位で計算すればそのまま当てはまります。

TG/HDL-C比について、インスリン抵抗性およびメタボの最適なカットオフ値は男性で2.8、女性で1.9だそうです。人種差があるかもしれないので、日本人にもそのまま適応できるかどうかはもちろんわかりません。中性脂肪が100であれば、女性でTG/HDL-C比1.9というのはHDLコレステロール53程度です。

私はTG/HDL-C比は1.3以下(日本の単位で)をお勧めしています。しかし、恐らくは性差はあり、女性の方がカットオフ値は低くなると思われます。

 

「Impact of the Triglyceride/High-Density Lipoprotein Cholesterol Ratio and the Hypertriglyceremic-Waist Phenotype to Predict the Metabolic Syndrome and Insulin Resistance」

「メタボリックシンドロームとインスリン抵抗性を予測するための中性脂肪/HDLコレステロール比と高中性脂肪-腹囲表現型の影響」(原文はここ

6 thoughts on “インスリン抵抗性を表す中性脂肪/HDLコレステロール比の性差

    1. 鈴木 武彦さん、コメントありがとうございます。

      スーパー糖質制限をしていれば、多くは1未満でしょう。

  1. 清水先生、こんにちは。

    私のデータは、中性脂肪 63 mg/dL、HDL 94 mg/dL、LDL 255 mg/dLですので、TG/HDLはmmolに変換した場合で0.29、日本の単位で0.67です。LDLは高値です。個人的にはLDLは気にしていませんが、健康診断で指摘をされてしまうので、糖質制限を少し緩めています。TGとHDLの関係はそのままで、少しLDLが下がって欲しいと思っています。

    先日、糖質過剰症候群IIを予約注文しました。楽しみです。

    1. じょんさん、コメントありがとうございます。

      拙著の予約ありがとうございます。
      LDLに関しては本当に健康診断時鬱陶しいですね。何とかごまかす方法はないものでしょうかね。

  2. 清水先生、こんばんは。
    人間ドックでの脂質関係の結果です。

    中性脂肪 51 mg/dL
    HDL 109 mg/dL
    LDL 227 mg/dL

    少し糖質制限を緩めていますが、LDLは多少下がった程度です。個人的には気になる結果ではないのですが、医師からは、とんでもない値のように指摘されました。医師を説得するのは難しいです。

    1. じょんさん、コメントありがとうございます。

      糖質制限を緩めても中性脂肪が増加しなくて良かったですね。
      医師を説得するなんて考えない方が良いでしょう。せめて自己責任としてスルーしてくれれば良いのではないでしょうか?

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